第1部短編集
──『闇黒騎士隊』拠点。
「……」
アイザックは頭を抱えていた。その理由は、ついさっき街で遭遇したアランだ。あれは一体何だったんだ……。
ぐるぐると思考を巡らすも答えは見つからず。アイザックは仕方なく助言を求め、士官学校に出向いているエステラに連絡する。
『珍しいな、休みの日に掛けてくるなんて』
「……なあ」
『ん?』
「執事に妹、これから生み出される結論は?」
エステラはうーんと長考。
『結婚か?』
「けっ! ……こん?」
勢いよく立ち上がったあまり、座っていた椅子が倒れる。
『なんだ違うのか? というか、いきなりどうした? アンタらしくないぞ』
「邪魔したな」
ピッと強制的に通話終了。アイザックは椅子を戻すと、座り直した。
結婚……? あのアランが……?
あいつに限ってそんなこと……いやでもあり得るな……。
「おいアイザック。帰って来てたなら教えろよ」
そこにテラが現れた。ブツブツと俯きつつ呟くアイザックに、疑問符を浮かべる。
「……なにがあった?」
「……が」
「は?」
「アランが……結婚した……」
ガチトーンで告げられ、テラは嘘だと割り切れず。このままではいけないと、テラはミリアムを呼んで。
「で? 本人には確認したの?」
「……してない」
「確認しろよ。違うかもしれないだろ」
二人にそう言われ、アイザックはチラッとエレフォンを見遣るも。
「……出来ない」
「なんでだよ」
「そんなにショックだったの? 結婚したことが」
「うるせぇ!!」
図星。怒鳴るアイザックに二人はびくともせず、呆れたように溜め息を洩らす。
「じゃあ私が聞いてあげるわよ、本人に」
「それで事実だったらどうするんだ!」
「……良くないか?」
「良くねーよ!!」
ダンッと叩いた場所がへこむ。あーあ、とテラは目を細める。
「クソッ……餓鬼のくせにッ……」
「後で修理に出しとけよ」
「仕方ないわねー。ブレイドに聞いてあげるわ。同じ部隊なら知ってるでしょ」
こうして、アイザックの勘違いにより一騒動が起こってしまったのである──……。
「ま、よく考えたら結婚はないな。アイザックのことだし、本気で受け止めてるわけないだろうけどな」