第1部短編集



 ──ふふっ。頼もしい限りだ。少年よ──
 ──なら、我から汝に加護を授けよう。汝の行く末を切り拓く、光とならんことを──


「……よし、と」
 白き羽の髪飾りを頭に付け、アランの支度が完了する。

「……」
「……なんだよ、さっきから」

 その様子をジッと見ていたブレイドに、白い目を向ける。
 ブレイドは「その髪飾り」とアランの頭を指差す。

「休みの日でも付けてるよな? 大事な物なのか?」
「まあ……な。大事な御守りだ」

 少しだけ口角を上げるアランに、ふーんと相槌を打つと。

「なるほど。女からの贈り物か」
「ちっげーよ‼︎ 一ミリも理解してねーから!」
「ほほう、その反応……。怪しい、実に怪しい」
「ち、ちがっ、ホントに違うんだよ!」

 ニヤニヤと揶揄うブレイドに、珍しく狼狽える。

「オレが一方的に憧れてる人から貰ったんだよ……」
「なるほど。片想いか」
「一ミリも理解してないクセに『なるほど』って言うんじゃねーよ‼︎」
「で、実際のところはどうなんだ? 実りそうなのか?」
「なんでオレが片想いしてる前提なんだよ。片想いはしてねーし、そもそも彼女なんていねーよ」

 アランの返しに、ブレイドは口元に手を当てながら信じられないと言いたげに震えた。

「いかにも金にモノを言わせて札束風呂に入ってそうなお前が……⁉︎」
「どんなイメージ持ってんだキサマぁぁあああ‼︎」

 取っ組み合いが始まり、部屋がみるみるうちに酷い有様となっていく。

「うるさいぞ貴様ら‼︎」

 そこにベルタがノック無しで扉を開け、怒鳴る。しかし、二人の殴り合いは収まらず。
 やがてベルタの顔に青筋が立ち始め、勢いよく息を吸うと。

「うるさあああああいッ‼︎」

「「いでええええええッ⁉︎」」

 ベルタのパンチがクリーンヒット。
 頭部に出来た大きなたんこぶを抑えながら、二人は地面でのたうち回った。

「ベルター? 何かあっ……」

 そこにレベッカが現れる。部屋の惨状に口を閉ざすと、苦笑いを浮かべた。

「すまない、レベッカ。ご飯を食べに行こう」
「えっ、あ、うん……」

 ブレイドとアランに後ろ髪を引かれながらも、レベッカは先を歩くベルタの後を追っていった。


「……女って怖いな」
「だな……」
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