第1部短編集
「はい、さようなら」
呻き声を上げながら消えゆくモンスター。
二振りの刀を鞘に納めると、樹殺のダークナイトは愛竜グランハザートを呼び寄せ、共に拠点へと帰還した。
「……ブレイドの様子でも見に行ってみようかしら」
拠点がある“はじまりの地”へと向かっていた軌道を“森林の地”に変える。元気かしらと家の近くに降り立ち、カギを開けて中へ──。
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「はあぁぁぁぁぁ……」
はじまりの地にある闇黒騎士隊拠点。
任務から帰還して来たミリアムは、深すぎるため息を漏らした。
「……どうしたミリアム。依頼内容が不服だったか?」
たまたま近くを通りかかった女性が、目を丸くしながら問いかける。
「私で良ければ聞くが。」
光滅ダークナイトとも呼ばれるエステラの好意に甘え、ミリアムは溜まりに溜まった文句をぶつけた。
「──ホントにだらしが無いのよ。一人じゃ部屋も綺麗に出来ないのよね」
「ふむ、それはどうにかしなくてはならないな。士官学校に入れてみたらどうだ? 私が直接指導してやるぞ」
「……問題起こす気しかしないけど」
そうか、とコーヒーを口にするエステラに、ミリアムも同じようにコーヒーを飲み込む。
「ブ……幼馴染の気持ちは痛いほど伝わってくるから、あまり怒りたくはないのだけれど」
「ほう……」
エステラは「そういえば、こんな話があるんだが」と一枚の紙をミリアムに見せた。
「『新部隊採用試験のお知らせ』?」
「これは士官学校の生徒用に配布されたものだが、募集は掛けているはずだ。受けさせてみたらどうだ?」
確かに彼は自分と同じ残影剣の使い手。それなりに腕は立つだろう。だが、ミリアムは試験を受けてくれるとは到底思えなかった。
「必要な書類ならこちらで作成出来る。選考を通過したから行って来いと言えば、来るんじゃないか?」
少し強引な気もするが、ミリアムの心は決まった。
「そうね。無理やりにでもあの場所から引きずり出すべきだわ」
「決まったな。これに必要事項を書いて私に渡してくれれば、生徒のに紛れ込ませて出してやるぞ」
その二ヶ月後。ミリアムはエステラから渡された手紙を手に、幼馴染の彼のもとへと向かったのであった。
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