SSまとめ
「ただいまー」
『第14小隊』拠点。本日の買い出し当番であるレベッカが帰宅する。
「お帰り……って、あれ? 今日はコロッケじゃなかったか?」
出迎えたベルタが食材が詰め込まれた袋をさっと持つと、中身が違うことに気づき小首を傾げる。レベッカはああ、と声を洩らすと。
「街の露店でね、珍しいキノコが格安で売っていたの。だから今日は鍋にでもしようかなーって」
「そうだったのか。確かにそれは良い案だな」
「今日はアランが一番帰り遅いでしょう? みんなで作りましょうよ」
「いいな」
うんうんと頷くベルタに、嬉しそうに微笑む。
そして時は過ぎ──。
「あ、お帰りなさい」
「ただいま。って……ご飯作ってくれてたのか?」
黄昏時。帰宅したアランの前には、ぐつぐつと煮立つ鍋が一つ。とりあえず荷物を部屋に置いて戻ってくると、他の四人同様椅子に座って鍋を。
「いきなりどうしたんだ? いや作ってくれるのはありがたいが……」
「レベッカが珍しいキノコを街で買ったから」
「珍しいキノコ……? 食用か?」
「毒だったら堂々と売ってないだろ。ほら、食べるぞ」
ヴァニラとブレイドの言葉に多少の不安を抱きながらも手を合わせる。
「……うん、おいしい」
「ホントだな。良いダシが出てる」
「意外と美味いな」
「失礼ね。でもおいしいわ。これがあんなに安いなんて……」
「幾らしたんだ?」
ベルタに問われるとレベッカは三本の指を立てる。300コインだったらしい。
「300コインか。……ふふふ、あはははは!」
「べ、ベルタ? フフフフ、なにがおかしいのよ、アハハハハ!」
普段なら声を上げて笑わないベルタが、ツボにハマったのか笑い始める。釣られてレベッカも笑い始め、他の三人にも。
「な、なんだかわたしも笑いたく……あはははは!」
「おい止めろ、俺にも……はははははは!」
「これやっぱりおかしいぞ、アハハハハ! レベッカなに入れたんだ、ハハハハ!」
「わ、わからない、フフフフ!」
『アハハハハハハハ!!』
──何かがおかしい。
アランは笑いで震える手を片手で押さえ込みながら、鍋の中に入っているキノコを取り出し凝視。
「こ、これは“笑いタケ”!」
「わ、ふふふ、“笑いタケ”って何だ、くくくっ」
「な、名前の、アハハ、まんまだ、ハハハ、生なら問題ないが火に通すと毒が……フハハハハ!」
「で、では、ふふっ、これは毒のせいか……!」
「な、治す方法はないの……あははははは!」
「た、食べた者全員が、フフフ、寒いギャグを言えば治る!」
一瞬の静寂後。
『アハハハハハハハ!!』
どっと湧き上がる笑い。
「や、やめ、冗談言うな、ふふっ」
「冗談じゃ、ククッ、ない! オレから行くぞ! で、電話に誰もでんわ!!」
『アハハハハハハハ!!』
「は、はやく、フハハハハ、次……」
「アッ、アルミ缶の上にあるミカン!!」
『アハハハハハハハ!!』
「こっ、こんな、あはは、くだらない、」
「ホットケーキは放っとけーき!!」
『アハハハハハハハ!!』
「ふふふ腹筋が痛いっ……!」
「ど、ふふっ、土管の中でどっかーーん!!」
『アハハハハハハハ!!』
これで残るはヴァニラ一人。腹筋が死ぬから早くしてくれと視線を送るも、ヴァニラは腹を抱えて笑ったまま。
「うふふふふ! ね、ねぇ」
「な、何だよ」
「寒いギャグってなに?」
再び訪れる静寂。
『アハハハハハハハ!!』
「わ、笑い事じゃねぇー!!」
「し、しかたないでしょっ、笑っちゃうのよ!!」
──五人の笑い声は、夜遅くまで響いていた……。
「え、ブレイド達全員休み?」
「なんでも全員、腹筋が筋肉痛だそうだ」
「……?」
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結論から言えば無事に助かりましたとさ。めでたし、めでたし。ヴァニラの笑い声はレア中のレアなので、皆さん写真に収めておきましょう。←??