7章:冥府の姫と厄災の目

7章:冥府の姫と厄災の目


 静まり返る城の上空。マントをはためかせる堕天使は、眼帯の下に隠されし瞳ともども。空一面を埋め尽くす敵の大群を前に目を細める。

「……全ての準備は整った」

 聖なる光を発する弓の弦を肩に掛け、頭を飾る月桂樹に軽く触れた。

「これより【冥府軍】は、ペルセポネ様奪還作戦を開始する。総員、配置につけ!」

 堕天使の号令を合図に、城のいたるところから音が生じ始める。
 敵の大群――虚な瞳の少女を筆頭とした【からくり兵】らも敵の動きに合わせ、進軍を開始。
 冥府の女神を巡る戦いの火蓋が今、切られたのだった――。

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