スマブラDiary for Refrain(夢小説)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
物語が繰り広げられる舞台を、仮称として『この世界』と呼ぼう。
冒頭からなんだという話だが、今回の話を綴るにあたって必要なことなのである。
では本題へと入るが、『この世界』は“情報”で成り立っているらしい。
『この世界』を作った創造神マスターハンドは、いずこより情報を集め、自然や建物、ファイターを始めとする住人を創り出した。そのため、『この世界』では“情報”こそが命。
マスターハンドと、弟の破壊神クレイジーハンドの務めはその“情報”を更新しつつ管理・修復することなのだが──。
『すまん、見失った』
「だろうな」
マスターハンドはかなりのサボり癖の持ち主だった。
◇◆◇◆◇
屋敷の地下にある管理室にて会話するリヨンとクレイジー。
色とりどりなパットに指を打ちつけるクレイジーの背中に投げつけられたのは、マスターサボり確定の知らせ。手を休めることなく嘆息をもらす。
「外に発生したバグはもう修繕されてるから、確実に遊び呆けてんな」
バグとは、『この世界』に突如として発生する異変のこと。主に穴となって現れ、周囲のものや人を吸い込もうとするのだ。
そのバグを修正出来るのは、創造神であるマスターだけなのだが……そのまま遊んではこちらに戻ってこないのは日常茶飯事。
『全く困ったものだ』
「いやお前も流されて一緒に遊んでたりするだろ」
『そ、それは……面目ない』
クレイジーは背中越しに「別にいい」と返す。
「俺と話していても大したことはないだろ。お前も好きにしていろ」
『ならここにいよう』
「……さっきの言葉に罪悪感を抱いたなら訂正するが」
『そうではない。私はお前達の騎士だ。つまらないなど思うものか。その身も心も守ってみせよう』
さらりと返答したリヨンに、クレイジーは沈黙で返す。
少しだけタイピングの手が緩んだのに気づいたリヨンは、「コーヒーでも淹れてこよう」とその場を後にした。
「……」
パタンと閉じられた扉に、クレイジーは手を休め肩から力を抜く。
「……鈍感で、大胆なやつめ」
◇◆◇◆◇
「ふんふふ〜ん♪」
僕、マスターハンド! この世界を作った神様だよ! 創造神なんて呼ばれるぐらいの力を持っているんだ!
そんな僕は今、近くの村で発生したバグをパパッと処理して戻ってきたところ。……まあついでに遊んできちゃったけど、直したんだからいいよね! うん!
『遅い』
「ひっ!」
廊下を鼻歌混じりに歩いていたマスターの背後から、湯気が立ち上るマグカップを手に眦を釣り上げるリヨンが佇んでいた。
『またクレイジーに仕事を任せて遊んでいたのか』
「ち、違うよ! 仕事はちゃんとやってきたもん! ただちょ〜っと休憩していただけで〜」
『休憩といってもバグを直すのに手間はかからないだろ』
「だってぇ〜」
指を突き合わせるマスターに呆れ顔を浮かべるも、次には瞑目。
『仕事うんぬんに関わらず遅くなるなら連絡を寄越せ。心配する』
「えっ……心配してくれるの……?」
『当たり前だろ。いくらお前達のほうが私よりも強がろうが、騎士でなかろうが、大切な仲間を心配して何が悪い』
「ぐはっ!」
『えっ⁉︎』
胸元を抑えオーバーに仰反るマスターに疑問符の嵐。
暫くしてマスターは大丈夫だからと右手を突き出すと、リヨンの手から強引にマグカップを奪う。
『あっ、おい』
「これは僕がクレイジーに持っていくからリヨンは休んでてじゃあね‼︎」
そう早口で告げ、逃げるようにその場を立ち去った。
残されたリヨンはぽかんと惚けるばかり。瞬きを繰り返し、遠のくマスターの背中を見送った。
「──ってことがあってさ〜。もう惚れるしかないよね、クレイジー」
「うるさい黙れ仕事しろ」
「あっ、照れてるっ。激レアだ」
「このデータ全部破壊していいんだな……?」
「あー! ダメダメやめてー!」