スマブラDiary for Refrain(夢小説)
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本日。屋敷から少し離れた村で花火大会が催されると聞き、マスターは──思いを寄せる騎士リヨンを誘い、お出かけすることに成功した。甚平も着用して準備万端!
『待たせたな、マスター』
「ううん! 待ってな──」
屋敷前で待機していたマスターがリヨンの声に振り向くも、ぴしゃりと音が止まったごとく膠着する。
その様子にリヨンは、自身の体──群青色が映える浴衣を見下ろして呟く。
『やはり変だろうか。私がこんな格好……』
リヨンは浴衣の他にも、髪型をアレンジしておりいつものイケメンな面とは裏腹に大人の艶やかさが醸し出されている。マスターはイメチェンしたリヨンにぼうっと見惚れていただけなのだ。
「そんなわけないよ! すっっっごく似合ってる!」
『……はは。そう言ってくれるとは意外だな、どうもありがとう』
どうやらお世辞と捉えられてしまったらしい。そうじゃないのにと不貞腐れるマスターは気を取り直して、リヨンと共に会場近くまで向かう馬車に乗り込んだ。
◇◆◇◆◇
「うわ〜! 賑わってるね〜!」
到着するや否や、賑やかな声が村全体を埋め尽くしていた。赤い提灯が軒を連ねる屋台の上を彩り、道ゆく人々の活気のある声に不思議と口角が上がる。
『マスター。お手をどうぞ』
「えっ⁉︎」
『この分だと迷子になりかねんからな。手を繋いでいよう』
願ったり叶ったりの言葉にマスターは飛びつく勢いで食いつき、リヨンと片手を繋ぐ。
「よーしっ、花火が打ち上がるまで屋台を楽しむぞ〜!」
『ほどほどにな』
意気揚々と歩き始めたマスターは人混みを前に。背が高い自分の方が前に出たほうがいいと思い「ついてきてね」と声を掛け、波に乗り始める。
『……マス』
「──あっ、わたあめ! 僕食べたい!」
『ふっ、好きにしろ』
「やったー! ひとつくーださいっ」
袋から取り出したマスターはわたあめに食いつく。ん〜、と幸せそうな顔をすると「はいっ」とリヨンに差し出す。
「リヨンも食べてみて」
『いただくな』
手を繋いでいるほうとは反対の手で摘んだリヨンも、甘いなと頬を綻ばせる。
「次は〜、あっかき氷! リヨンもどう?」
『いいな。私も食べる』
かき氷の屋台の前で一度手を離した二人はそれぞれ注文。
マスターは定番のイチゴに練乳を。リヨンはブルーハワイの味付けに。
『お前はクレイジーと違って甘いものが好きだな』
「うん! あ、リヨン。舌が青くなってる〜」
『なっ……、み、見るんじゃない!』
「あはははは!」
恥ずかしがって口元を抑えるリヨンを愛らしいと感じつつ、マスターはかき氷を堪能。
その次はりんご飴、チョコバナナ、ソースせんべい、ベビーカステラといった食べ物系を回ったのち、マスターはふうとお腹を摩る。
「結構食べたね〜」
『お前が食べたいって言うからだろ』
「まあまあ、美味しかったじゃん! 次は……」
『もう食べ物は勘弁してくれ』
げっそりとした顔つきのリヨンに、分かってるよぉとマスターは辺りを見渡す。
「あ! 射的なんてどう?」
『興味あるな』
「だよねー! 行ってみよ!」
再び手を取り射的屋に向かった二人。マスターは参加費を払ったのち、得意げに銃を持ってみせる。
「ふっふっふ……見ててよ、リヨン! 僕の腕見せてあげる!」
『はいはい』
──パァン!
マスターが狙ったのは小さなウサギのぬいぐるみ。ここでリヨンにかっこいいところを見せつつ、プレゼントする魂胆だ。
「あ、あれ〜……」
しかしながら全弾命中するもウサギのぬいぐるみはゲットならず。
『命中率は高かったけどなー……』
「も、もう一回やってみるよ!」
『いや待て。私にやらせてくれ』
「ええ⁉︎」
と、参加費を払ったリヨンは綺麗なフォームで銃を構える。
──パァン!
撃たれた一撃は見事命中し……そのまま落下。なんと一発でゲットしてしまった。
「お嬢ちゃんやるねぇ」
『ありがとな』
「ええ……」
逆にかっこいいところを見せつけられてしまったマスターは自分の不甲斐なさに引いてしまうも、『ん。』と差し出されたぬいぐるみに目を丸くする。
「……?」
『何をぼーっとしている。欲しかったのだろう?』
「うんっ……! ありがとう! 一生大事にする‼︎」
『大袈裟だな』
笑うリヨンに釣られ、笑みが溢れる。
こういう優しさも、彼女に魅了される要因のひとつなのだ。
◇◆◇◆◇
そろそろ花火が見える場所まで移動しようと歩き出した二人。
ふとリヨンがとある屋台の前で立ち止まり、マスターは首を傾げた。
「わあっかわいいね」
それは煌びやかなアクセサリー類。マスターの言葉にリヨンも同調する。
『そうだな。あまりこういったものに興味はないのだが……綺麗で見てしまった』
「リヨン、綺麗だからきっと似合うよ」
『そ、そうか?』
「うん。今日の髪型も素敵だもんっ」
気恥ずかしげにリヨンは自身の頭部を優しく触る。
『せっかく行くのならとピーチがセットしてくれたんだ。私には似合わないと言ったのだが──』
「それは違うよ。そうだ! 今度は僕からリヨンに何かプレゼントするよ」
と、マスターは屋台に並ぶアクセサリー類を吟味し始める。
やがて手に取ったのは、星形のネックレスであった。
「これにします!」
「ありがとうございます」
お金と交換にネックレスを受け取ったマスターは、早速その場でリヨンにつけてあげる。
胸元で光るネックレスは、浴衣の色合いもあって夜空に輝く一番星のようにも見えた。
『あ、ありがとう……嬉しいな』
「なら良かった! ……あっ早く移動しないとね! 行こうリヨン!」
リードするマスターに──少しの頼もしさを感じつつ、リヨンはくすりと笑みを浮かべて追従する。
「ここからなら綺麗に見えるね」
『ああ』
二人仲良く手を繋いで並んで待つ。
会話はないが、心地よい空間が広がる中。開始のアナウンスが響き渡る。
──ヒュウウウ……ドーンッ!
宵闇に咲き誇る色とりどりの花火。
辺りから歓声が聞こえる中心で、マスターとリヨンも次々と打ち上げられる花火に見惚れていた。
「わああああ……」
夢中になるマスターの横顔をちらりと見遣る。
リヨンは胸元のネックレスを優しく握りしめ、花火にひとり願った。
(来年もその先も、彼と見れますように……)