Super Smash Bros. - Cross × Tale -
完全に陽も落ち、夜天が空を覆う時刻。
「マスター様。ご報告に参りました」
ノックしたのち、ヴィルヘルムはマスターの自室の扉を開ける。大抵システム制御室か執務室に居るマスターだが、夕食の時間を過ぎると城内にある自室へ戻っているのだ。
今日はギリギリまで外出していた為、報告書作成が遅くなってしまった。勤務外時間に申し訳ないと思うヴィルヘルムを、マスターは笑顔で迎えた。
「遅くまでご苦労様。でも、残業してまで報告書を仕上げなくても良かったのに」
「そういうわけにはいきません。時間が経てば、忘れてしまうこともあるでしょう」
「相変わらず真面目だな、ヴィルは。目を通しておこう」
「よろしくお願いします」
「……ようやく、第一段階を終えたな」
静かな口調で瞼を落とすマスターに、ヴィルヘルムは瞑目。
「……そうですね」
では。と踵を返そうとしたヴィルヘルムに、マスターは待ってくれと呼び止める。
「今日はどうだったんだ?」
「どう……とは? 調査の結果でしたら報告書にまとめてあります。ご確認ください」
「結果の話ではなくてだな。マリオと行動を共にしたのだろう。仲良くやっていけそうか?」
それまでマスターを見つめていたヴィルヘルムは、露骨に視線を床に落とした。
「……関係は良好かと。それ以上でも以下でもありません」
今度こそヴィルヘルムは部屋を後にし、マスターも止めはしなかった。
「っ……」
自室に戻ったヴィルヘルムを、強烈な
が、ビジャビジャと不快音ではなくカランカランと金属音が響く。
口から吐き出された“それ”に。荒い呼吸を紡ぎながらぐしゃりと握りしめ、床に倒れた。
「もう……終わりたいよ……」