困惑の戦士達
ドォン、と地響きの音とともに闇の塊が遠方に現れる。
ラフェルトからそちらへと目線を移したエインシャントは、物憂げに目を細めた。
機械仕掛けの脳裏で再生されし、数々の『悲劇』。
同志達が次々と爆弾を起動させては見るも無惨に粉々にされてきた軌跡。
今もまた、同志がその
「悲しい?」
そう、悲しい。
人間『風』に言ってしまえばそうだ。
「悔しい?」
そう、悔しい。
大勢の同志の命と、少数の同志の命を天秤にかけざるおえない自分の無力さに。
「君は、君が思っている以上に人間らしい」
エインシャントはラフェルトに一瞥もくれず、今度は迫りつつある敵を観測しながら口を動かす。
『アナタハ何故、アノ方ニ協力スルノデスカ?』
「……」
『敢エテ、ファイターヲ「見逃シテマデ」』
ラフェルトは口元に笑みを貼り付けたまま、黒き瞳を瞬かせる。
「だってこの方が『効率がいい』から」
悍ましい、と感じた。
得体の知れぬ闇に、熱を感じないはずの体に悪寒が走る。
「そろそろ行かないと追いつかれちゃうよ」
変わらぬ笑みに言いしれぬ不快感を抱きつつ、エインシャントは次なる目的地に爆弾を運ぼうとするも。
「はあっ!」
威勢ある声に反射的に体を逸らせば、青白い矢がローブを掠めた。
いつの間にかラフェルトの姿はなく、代わりに五人のファイターがすぐ側まで迫ってきていた。
急がなくては。
路を急ぐエインシャントの姿に、マリオ達は一斉に走り出した。
「あと少し──どぅわっ⁉︎」
数々の障害がありながらも、流石歴代の戦士達といった具合か。爆弾を誤って落とさぬよう慎重に宙を移動するエインシャントとは異なり、身軽な彼らは着実にその距離を詰めていた──が。させぬとばかりに、エインシャントは足元の機械から赤いレーザー光線を発射。足元に撃たれたのをスレスレで躱しつつ、マリオはハイリアの盾を駆使しながら防御するリンクとともに攻める、攻める、迫る。しかしそこに、四体のロボットが道を阻むが如く現れれば足を止めざる終えず。ピット、カービィ、ヨッシーの三人は敵の包囲網を掻い潜りエインシャントの元へ。
「え……?」
ぽつりと洩らしたのはピットだったが、ロボットを除いた全員がその光景に瞠目する。それはエインシャントも例外ではない。
なんと、一体のロボットが自身の犠牲も厭わずエインシャントが運んでいた爆弾を地上に下ろし、別のロボットが爆弾を起動させたのだ。
「させるか‼︎」
迷わずピット、そしてマリオが爆弾を起動させているロボットに攻撃するも。背後からこれまた別のロボットに鷲掴みされ、退場を余儀なくされる。
「! サンキュー二人とも!」
「それよりもあれ、相当やばくないか⁉︎」
「はやくはなれよう!」
捕えられていたマリオとピットは、リンクとカービィに助けられる。口々に放たれる焦燥を煽る言葉に、マリオは奥歯を噛み締めた。
「カービィ! お前はアレを呼べ! ヨッシー、走るぞ!」
「分かった!」
「いつでもいいよ!」
カービィは《ワープスター》を呼び、リンクとピットを。マリオはヨッシーの背中に乗り、カウントダウンを終えて爆発する脅威から僅差で逃れる。
『……スマナイ』
エインシャントもまた、空高く飛び去っていく。かけがえのない同志の犠牲をもって得た退路へと。