困惑の戦士達
「もうマリオってば無茶振り過ぎだよ!」
「わりぃわりぃ」
両手を突き上げて抗議するピットに手を翳しながら、どうどうと鎮めるマリオ。
二人は無事に地上へと降り立ったわけなのだが、その降り方がマリオだからこそ出来る極めて危険な方法であり、ピットもまあまあ巻き込まれた。
「雲の下に浮遊岩がないことぐらいさすがのボクでも知ってるよ⁉︎」
(あるにはあるんだがな……ブロックとか)
マリオは考えなしに雲海を突っ切り、地上へとダイブしたのだ。一応スーパーマントがあればどうにかなるだろうレベルには考えていたが、あまりにも高度が高い。
それを地上付近でピットがマリオの服を掴み、必死に背中の羽を羽ばたかせ高度をゆっくりと下げてくれたおかげで降りられたようなものだった。
「とにかくありがとよ。ピットがいてくれて助かったよ」
「それならいいけど……はあ、こんな時にパルテナ様と通信出来ないなんて辛いなぁ」
「ん、パルテナ様?」
「うん! ボクが敬愛する光の女神パルテナ様は──って、ああっ⁉︎」
突如として声を上げたピットに肩を跳ね上がらせながらも、マリオもピットと同じ方角を見遣る。
『……』
そこには緑のローブで全身を覆い、大きく『×』印が描かれた球態を運ぶ人物の姿が。
「あれは……!」
マリオの脳裏に空中スタジアムで目にした爆弾とそれを置いて行った光景が過り、ピットは小さく頷く。
「あの人、スタジアムでもいた人ですよね」
「ああ。……また気づいちゃいない。こうなったら!」
マリオは発走、そして疾走。助走をつけ高く飛躍するも──既のところで届かず。くっと眉を顰める中、頭部に重い一撃──ならぬピットの『脚』が。
「はあっ!」
マリオを『踏みつけた』ピットも届かず、ローブの人物は一度こちらを見遣るも。急いでいるのかそれっきり遠くへと飛び去ってしまう。
「行っちゃったか……」
「ピット〜……」
「げっ」
恐る恐る振り向いた先では、目を血走らせる勢いのマリオが起きあがろうとしていた。
「ご、ごめんなさい……」