新たな仲間に捧ぐ大乱闘

10:新たな仲間に捧ぐ大乱闘【4】


 ぞろぞろと迫り来る未知の敵を前に、マリオ、カービィ、ピーチ、ゼルダの四人はそれぞれ背中合わせとなり睥睨する。

「行くぞッ!」
「うんっ!」「ええ!」「はい!」

 威勢の良い返事と共に四方に散らばる。

「ヤッフー!」

 手袋をつけた緑の物体に向けて、マリオのファイア掌底が決まる。一発で吹き飛んだ敵に確かな実感を得たマリオは、他の三人に向けて叫ぶ。

「敵は雑魚敵みたいだ! 比較的強い技で戦え!」
「承知しました!」

 指示を受け取ったゼルダが「はあっ!」と覇気と共に光の魔力で敵を押し返す。

「せいやっ!」
「それ!」

 カービィやピーチも同じく、スマッシュキックやフライパンで殴り飛ばし、雑魚敵達を舌の根が乾かぬうちに片付けてしまった。

「さて、これで終わりかしら?」
「……うんや、まだみたいだ」

 と、上空を睨みつけるマリオの視線に釣られる。
 そこには、緑色のローブを纏い浮遊する謎の人物が、自分の体躯より一回り大きくバツが描かれた丸い『何か』を運んでこちらに接近していた。

「あれは……なんでしょうか……」

 不安げに眉を顰めるゼルダを他所に、ローブの人物はその『何か』をスタジアムに落下。するとすぐさまロボットが現れ、両手を『何か』に差し込むと中心から二つに割れる。
 中に組み込まれていたのは──禍々しい物質と秒針が刻まれるタイムウォッチ。
 “爆弾”だと判断するに難解ではなかった。

『……』

 そして緑のローブの人物は軽く頷き、上空に位置する戦艦へと帰還。

「まずいぞあれは……!」

 すぐさまマリオは爆弾を止めようと走り出すも、地響きに足を止め振り返る。
 彼らの視線の先で上がる煙に紛れて放たれた──鋼鉄の玉にマリオはクリーンヒット。遥か彼方へと吹き飛ばされる。

「マリオっ!」

 カービィはすぐに後を追おうとするも、背後から甲高い悲鳴が上がる。

「ちょっと! 出しなさいよ!」
「くっ……!」

 振り返ればピーチとゼルダが檻の中に閉じ込められていた。

「ピーチ! ゼルダ!」

 二人を捉えていたのは、足が生えた巨大な『花』。

「グアアアアアアアア‼︎」

 マリオがいない中、自分がどうにかするしかない。
 カービィはその小さな体で巨大な花──ボスパックンとの勝負に挑む。



◇◆◇◆◇



「カービィ! とにかくわたくし達に気を遣わないで!」
「その通りです! 破壊さえしてくれれば私達も助太刀できます!」
「うん……!」

 ガシャンガシャンといたぶるように檻を揺らすボスパックンに、カービィは発走。檻を使って攻撃するのをスライディングで躱しながら、「やああああっ!」とサマーソルトキックで連続して檻を攻撃する。

「うぐっ」
「ごめんっピーチ!」

 衝撃が激しいのだろうあらゆる四肢を痛めながらも、カービィを心配させまいと二人は耐え抜く。
 するとボスパックンが屈伸し、高く跳躍した。カービィはこの隙を見逃さず、落下地点スレスレのところで待機。懐から取り出したハンマーで打撃攻撃。

「やああああああっ!」

 それが決定打となり、ボスパックンは派手に爆発。
 脆くなっていた檻から脱出したピーチはカービィとともに噴煙を回避。

「ありがとう、カービィ」
「うんっ」

 一方、あまりダメージを受けていないゼルダは放り出された衝撃によって檻から脱出。地面に這いずりながらピーチ達との合流を目指すも。

「ワッハハハハハッ!」
「ワリオ⁉︎」

 見計らったかのように現れたのは、ピーチの知り合いであるワリオだった。何やらいかつい機械を持った彼に警戒するも、ワリオは一人逸れていたゼルダに向けてその機械の先端を向けた。
 凝縮されていくエネルギー。充填が終わり放たれた矢印型のビームはゼルダの体を貫き、彼女をフィギュアに変換させてしまった。

「ゼルダ!」
「ワリオアナタ何をしていますの⁉︎」
「ガッハハ、これも命令でな」

 ワリオはゼルダのフィギュアを担ぐと、高笑いを上げてその場を離脱。

「待ちなさい!」

 放っておけるわけがなく、ピーチとカービィが追いかけるが。カービィが爆弾の存在を思い出す。

「っワープスター!」
「カービィ⁉︎」
「早く乗って!」

 間一髪爆弾の餌食にならずに済んだ二人だったが、マリオとゼルダを失い悲壮感を募らせた。

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