新たな仲間に捧ぐ大乱闘

10:新たな仲間に捧ぐ大乱闘【3】


 『空中スタジアム』──そこは通常の『スタジアム』とは異なり、第二の舞台として宰相マスターの指揮のもと作られた施設。本日はその舞台のお披露目でもあるのだ。
 コロッセオをイメージした『スタジアム』とは異なり、近代的な『空中スタジアム』の観客席は本日も満席。観客の熱気に包まれる中、関係者用の席につくピーチとゼルダの二人も今か今かと待ち侘びている。

「これが『大乱闘』……なるほど、こんなにも賑わうものなのですね」
「そうよ。いつもたくさんのお客さんが観に来てくれるの」

 初めての『大乱闘』に、少しばかりゼルダが浮かれているようにも見える。隣でピーチが微笑みを讃えると、観客席に囲まれたステージ上に着地する二つの影。マリオとカービィだ。
 両者共に構えると、カウントダウンが始まる。
 観客と一緒に数を数えるピーチとゼルダ。


 3
 2
 1
 GO!


「ヤッフー!」
「ぽよー!」

 地を蹴り走り出す両者。互いに回避しては相手に一撃を与え、距離を取る。再び距離を詰め、マリオがファイア掌底で威嚇するもバリアで受け止められ、逆にバルカンジャブの連続攻撃を浴びる。しかしマリオも負けておらず、次の攻撃がくるとバリアを張ったカービィの思考を逆手に取り、つかみ攻撃からのスルーダウン。すぐさま後方へと飛んだカービィは持ち前のハンマーを取り出しては打撃攻撃。マリオもファイアボールで威嚇する。
 膠着する戦局が傾いたのは互いのダメージが90%を超えた頃。
 虚を突きカッターを取り出したカービィが上昇からの下降【ファイナルカッター】を繰り出す。地上のマリオは冷静に回避し、アッパーカットで上空へと吹っ飛ばす。

「やああああああ〜〜……」

 それが決定的な一撃となり、彼方へと吹っ飛んだカービィを目にマリオは一回転からの帽子を外して観客にアピール。


 GAME SET


「「「「「マリオ! マリオ! マリオ! マリオ!」」」」」


 勝者であるマリオに観客席からコールが轟き、

「いったた〜」
「大丈夫か?」

 地上に帰還したカービィを助け起こすマリオとカービィに、観客席は大いに沸いた。

「今回はボクの勝ちだな」
「むっ、次は負けないもんねー!」

 互いに笑い合うマリオとカービィ。密かに目を輝かせるゼルダとピーチも、二人の様子に笑みが溢れる。
 だが、その時だった。


「な、なんだあれ⁉︎」
「「「「!」」」」


 観客の一人が叫んだ言葉に、全員が空の方角を見遣る。
 そこに悠然と飛行していたのは──巨大な空飛ぶ戦艦。
 黄昏を連れてやって来た戦艦は、底の部分が開き、中から紫色の物体を『空中スタジアム』にばら撒く。

「全員! 急いで避難しろ‼︎」

 ただならぬ気配を察したマリオの叫びを皮切りに、観客達は慌てて『空中スタジアム』と地上を結ぶ『ポータル』に飛び込んでいく。
 その間にも紫色の物体は更に集まってひとつの形となり、人形のような異形の姿となる。虚なおぼつきでこちらに向かう彼らに敵意をひしひしと感じたマリオとカービィは構え、

「ピーチさん!」
「ええ」

 観客席からワープしたゼルダと、パラソルで優雅に降り立ったピーチも合流。四人で未知の敵と立ち向かうことに。

(あれはメタナイトのハルバード……なんでここにあるんだろう? メタナイトもいるのかな?)

 ただ一人、カービィだけは別の事を考えて。

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