新たな仲間に捧ぐ大乱闘

10:新たな仲間に捧ぐ大乱闘【2】


「あっマリオだー! おっはよ〜!」

 朝から元気なカービィはその勢いのまま、マリオの帽子の上に飛び込んだ。もう慣れた光景だ。マリオも特に注意することなく「おう」と返して、目的地である食堂に向かう。

「ねね、今朝の揺れって新しいおともだちが来るやつだよね!」
「多分そうだろうな」
「どんな子達なのかな〜。たのしみだな〜!」

 期待に胸を膨らませるのはマリオも同じ。【乱闘部隊】リーダーとして、後輩に会えるのが楽しみな様子。

「おーす、おはよう」
「おはようー! ……ってあれ?」

 挨拶をしながら食堂に入るも、普段より人が極端に少ないことに気づく。ほぼいないと言っていいほどだ。

「あ、マリオにカービィじゃない。おはよう」
「おはようございます」
「ピーチに……その、お隣さんは?」

 唯一食堂で食事を楽しんでいたピーチがマリオとカービィを手招き。歩み寄ったマリオはピーチの隣に見目麗しき女性が同席していることに困惑の表情を見せる。

「彼女は『新しく加入することになった』ゼルダよ」

 以前のゼルダは、ナビィを探すといって部隊を抜けた時の勇者リンクとともに城を後にした。
 今回の『地殻変動』の影響により、新たな時空のゼルダが呼ばれたのだとピーチが説明すれば、マリオは顎に手を添えつつ「なるほどなぁ」と納得。

「ぼくはカービィ!」
「ボクはマリオ。よろしくな、ゼルダ。歓迎するよ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 握手を交わしたマリオとカービィは各々食事をお膳に盛ると、彼女達の対面に座り現状を尋ねる。

「それでピーチ。どうして今日はこんなに人がいないんだ?」
「それについてマスターから二人に伝言よ」
「ぼくたちに?」

 ピーチは食指を立て、預かった言伝を繰り返す。

「『今朝の「地殻変動」で不具合があり、召喚に応じたファイター達が行方知らずとなってしまった。他の者が捜索している間、マリオとカービィには大乱闘をしてもらい、新たなファイター達を呼び寄せる調べとなってほしい』……だそうよ」
「よく覚えてたな……」

 人がいないのは新たなファイターの捜索に出払っているためで、自分達は分かりやすいように目印となってほしいとのことらしい。

(じゃあヴィルヘルムも捜索に加わっているんだな)

 と、自分達のマネージャーであるヴィルヘルムを想起する。

「ピーチとゼルダはどうするの?」

「わたくし達はあなた達の大乱闘を観戦するわよ。ゼルダにも見てもらいたいもの」
「はい。戦い、楽しみにしています」

 ピーチとは異なりクールな声のゼルダに身が引き締まる。

「っよし、カービィ勝負だ!」
「うんっ負けないよ〜!」

 互いに口の周りにソースを付けつつ盛り上がる彼らに、ピーチとゼルダはくすくすと笑みをこぼすのだった。

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