十字架の鎮魂歌
「【十と五の白き祈り──】」
「三方向に散会! 各々クレイジーを食い止めるぞ!」
ヴィルヘルムの詠唱が始まると同時に飛ぶ指令。事前の作戦通り三グループに分かれた彼らは、各々に与えられた役目を全うすべく精神を研ぎ澄ませる。
グループ1。最前線を担う彼らは開戦直後に攻撃を仕掛ける。1秒でも長く足止めするのが目的だ。
「はああっ!」
「せいっ!」
マルスとロイの裂帛した声が轟く。風切り音とともに振るわれた剣は惜しくも空中に浮遊するクレイジーハンドには届かない。
くっと奥歯を噛み締めて地面に着地。フォックスとファルコがホルダーから《ブラスター》を構え光線を浴びさせるも、どの程度効いているかは不明である。
「このままだと攻撃が効かんぞ!」
「! 動くぞ!」
クッパが地団駄を踏み、ファルコンが警告を促す。
直後、クレイジーハンドが反撃とばかりに動き出した。
予備動作もなく落とされたのは大量の『機雷』。地面に着弾するたびに爆発するそれらに、視界が爆風に煽られた砂埃で覆われる。
「っ危ない!」
「うわっ!」
暗黙の視界の中に灯る僅かな光を頼りに、ファルコンは今にも爆発に巻き込まれそうになったロイを救出。
「焼き払ってくれるわぁ‼︎」
「ファルコ!」
「分かってる!」
地面に着弾する前に機雷をご自慢の炎で焼き尽くすクッパに、フォックスとファルコは背中を預けてブラスターで誤発させる。
剣で爆風を切り裂くマルスはひとり、黒煙に紛れてクレイジーハンドの上空へと飛び上がる三つの影に目を見開いた。
「行くよ、ナナ!」
「うん! ポポ!」
「「せーのっ!」」
空中で縦の字に重なったポポとナナは、手にしたハンマーを下に構えクレイジーハンドの甲の部分を勢いよく叩いた。
『……!』
クレイジーハンドは怯んだものの僅かに威力が足りなかったが、そこだと言わんばかりに鍵を構えたゲムヲが甲に突き刺した。
三人の協力技に体制を崩したクレイジーハンドの機雷攻撃は止んだものの。クレイジーハンドは地面に這いずり、地面に帰還した三人もろとも五本の指で突き飛ばした。その威力はクッパでさえも簡単に吹き飛ばされるほど。
遠くに吹き飛ばされる彼らの心配をしたいところだが、今はヴィルヘルム優先。彼らの隙を埋めるようにグループ2が前線へと上がる。