想イノ終着点
「……という話になったから、ボク達【乱闘部隊】も邪神封印に協力させてもらうぜ!」
意気揚々と胸を張るマリオの足元では、カービィが「うんっ!」とぴょこんと跳ね上がる。
食堂での話し合いを終えた彼らは、話の内容を『アルス城』上層部に位置する鐘楼の間にいたヴィルヘルムに伝えた。
「承知いたしました。皆様には感謝してもしきれません」
「……って顔には見えねーけどな」
上部だけの言葉は最早マリオには通じない。
嘆息したヴィルヘルムは彼らに背を向け、欄干に手を添えつつ眼下に広がる城下町へと目を細める。
「マスター様は僕のために貴方方を利用していますから」
「利用? 物騒だな」
「……例え邪神との戦いで貴方方が命を落としても、それは『元の世界』の貴方方が死ぬことではない。だから僕が気を病めることはないとお考えなのです」
頭の後ろで手を組んで、ふぅんと返したマリオにヴィルヘルムは違和感を覚えた。
「怒らないのですか……? 利用されているってことに……」
こちらを振り向く少年の怯えにも似た目に、マリオは頬をかく。
「うーん……別に利用されてようがされていなかろうが、世界のピンチなんだろ? だったら協力するさ」
な? と足元のカービィにも同意を求めると「そうだよ!」と元気な返事が返ってきた。
「ぼくらはいつだってヴィルの味方だよっ」
「そういうこった。信じてくれよ、ボク達を」
同調するマリオ。再び彼らに背を向けたヴィルヘルムは、欄干に手のひらを深く刻み込む。
信じてほしい。そう彼らも言っていた。
僕も彼らを信じていた。その実力は確かだったから。
けれど彼らも、僕も殺された。
たくさんの無駄な犠牲を生んでしまった。
今回だって犠牲者が出るかもしれない。
今回だって僕の魔法は完成しないかもしれない。
やってからじゃ遅いんだ。やる前に諦めなきゃ。
……希望を持つのが怖い。
あのとき以上の絶望を産むのなら、希望なんて必要ない。
抱いちゃいけないんだ。
──そう。君は、君のままでいいんだ。絶望の中で生きていいんだよ。
僕の心の中にいる『誰か』が笑ってくれた気がした。
「……ありがとう。マリオ、カービィ」
こちらを振り向いた少年の瞳に弱さは無かった。
あるのはただ、穢れた復讐心。
「今度こそ成功させてみせる。みんなのためにも、自分のためにも」
高らかな宣言に。マリオとカービィは顔を見合わせては各々力強く頷き返す。
運命の決戦は明日。
──城の頂点で風を感じる男は、ひゅうっと口笛を鳴らした。