想イノ終着点

6:想イノ終着点【21】


「……という話になったから、ボク達【乱闘部隊】も邪神封印に協力させてもらうぜ!」

 意気揚々と胸を張るマリオの足元では、カービィが「うんっ!」とぴょこんと跳ね上がる。
 食堂での話し合いを終えた彼らは、話の内容を『アルス城』上層部に位置する鐘楼の間にいたヴィルヘルムに伝えた。

「承知いたしました。皆様には感謝してもしきれません」
「……って顔には見えねーけどな」

 上部だけの言葉は最早マリオには通じない。
 嘆息したヴィルヘルムは彼らに背を向け、欄干に手を添えつつ眼下に広がる城下町へと目を細める。

「マスター様は僕のために貴方方を利用していますから」
「利用? 物騒だな」
「……例え邪神との戦いで貴方方が命を落としても、それは『元の世界』の貴方方が死ぬことではない。だから僕が気を病めることはないとお考えなのです」

 頭の後ろで手を組んで、ふぅんと返したマリオにヴィルヘルムは違和感を覚えた。

「怒らないのですか……? 利用されているってことに……」

 こちらを振り向く少年の怯えにも似た目に、マリオは頬をかく。

「うーん……別に利用されてようがされていなかろうが、世界のピンチなんだろ? だったら協力するさ」

 な? と足元のカービィにも同意を求めると「そうだよ!」と元気な返事が返ってきた。

「ぼくらはいつだってヴィルの味方だよっ」
「そういうこった。信じてくれよ、ボク達を」

 同調するマリオ。再び彼らに背を向けたヴィルヘルムは、欄干に手のひらを深く刻み込む。



 信じてほしい。そう彼らも言っていた。
 僕も彼らを信じていた。その実力は確かだったから。
 けれど彼らも、僕も殺された。
 たくさんの無駄な犠牲を生んでしまった。
 今回だって犠牲者が出るかもしれない。
 今回だって僕の魔法は完成しないかもしれない。
 やってからじゃ遅いんだ。やる前に諦めなきゃ。
 ……希望を持つのが怖い。
 あのとき以上の絶望を産むのなら、希望なんて必要ない。
 抱いちゃいけないんだ。

 ──そう。君は、君のままでいいんだ。絶望の中で生きていいんだよ。

 僕の心の中にいる『誰か』が笑ってくれた気がした。



「……ありがとう。マリオ、カービィ」

 こちらを振り向いた少年の瞳に弱さは無かった。
 あるのはただ、穢れた復讐心。

「今度こそ成功させてみせる。みんなのためにも、自分のためにも」

 高らかな宣言に。マリオとカービィは顔を見合わせては各々力強く頷き返す。
 運命の決戦は明日。

 ──城の頂点で風を感じる男は、ひゅうっと口笛を鳴らした。

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