想イノ終着点
「! 戻ってきたぞ!」
ステージからリンク達が待つ『システム管理室』に帰還した一行。
リンクの言葉にマルスは笑みを浮かべ、ネスは真っ先にマリオのもとへ。
「ありがとう、マリオ」
「どういたしまして」
ニッと破顔したマリオは、「さてと」とマスターに振り返りふんぞり返る。
「約束は果たしたし、オマエにも勝った。これで文句はないだろ」
それまでヴィルヘルムの肩を借りていたマスターはやんわりと引き剥がし、マリオと一歩距離を詰めては「そうだな」と頷く。
「認めざるおえない。君達ならきっと、『ヤツ』に打ち勝てるだろう」
「『ヤツ』?」
眉間に皺を寄せるリンクとは裏腹に、ハッとしたヴィルヘルムはマスターを見遣る。
「マスター様、あの話をなさるのであれば僕からご説明いたします」
「ヴィル」
「元を辿れば僕の失態が原因です。その責任は取らなければ」
「ヴィル。」
諭すように名を呼べば、ヴィルヘルムは口ごもる。
マスターは少年の肩にそっと手を添えた。
「いいから。君は席を外しなさい」
「……承知いたしました」
彼らのやり取りを不思議に思う中、ヴィルヘルムを見送ったマスターはマリオ達と目を合わせる。
「この話は君達『全員』に聞いてもらいたい。残りのメンバーにも後日話をする」
「いいのか?」
「ああ、もちろん。君達全員の協力があってこそだ」
静かに耳を傾ける一行のうち──カービィだけはそっと、どこかへと立ち去る。
流し目で見送ったマスターは、見て見ぬふりをしてマリオ達に語り始めた。
己が正体とこの世界の歴史について──……
「ヴィル! ここにいたんだねっ」
「カービィ……」
アルス城地下教会。ステンドグラスを透ける
木の椅子に腰を落ち着かせる彼の隣に、追いかけてきたカービィもちょこんと座る。
「……話、聞かなくて良かったの?」
それがマスターが話そうとしたことについてだと察したカービィは、足をブラブラと上下に動かしつつ頷く。
「うん。ぼくはみんなを助けたかっただけだから」
そう答えては沈黙する彼の優しさに、ヴィルヘルムは目を逸らす。
「……あのね、カービィ」
「ん?」
「ごめんね」
突然の謝罪にカービィは目を丸くした。
ヴィルヘルムは教会のロザリオに目を向けると、懺悔をするかの如く言葉を紡ぐ。
「本当はおととい、何があったのか覚えているんだ」
「!」
「僕は殺されたんでしょう?」
カービィは返答のしようがなかった。それが肯定になることすら考えつかず。
「カービィ、僕はね──」
見開かれる青い瞳から逃げ出すことなく、少年は笑みを湛えて告白する。
「──もうとっくに、
死んでるんだよ」