想イノ終着点
「うあっぶね!」
「くっ……」
獣人ならではの尻尾攻撃が眼前を通過する。マリオは
先程から続く空回りする攻撃。一発一発繰り出すたびに、精神が焦りを帯び、ダメージ数とは関係なしに削れてゆく。泥仕合の真っ只中だ。
((このままじゃあ決められない――!))
何か打つ手はないものか。
熾烈な戦闘の最中、思案を巡らせる。
互いに互いの出所を伺う中――先に動いたのはマリオだった。考えるより感じろ、派はやはりノープラン。真っ向勝負と言わんばかりに拳を振り上げたマリオに、フォックスの瞳がキラリと瞬く。
「そこだ!」
「ぐはあッッ⁉︎」
マリオの速度を読み切った上で、フォックスは防御を捨て復帰技にあたる――【ファイアフォックス】での突進を
『兄さん⁉︎』
『マリオ!』
聞こえないはずの弟や姫の幻聴を耳にしながら、あっという間にステージ上が遠くに見える。
(……負けた?)
敗北を確信したマリオは――キッと
(まだだ! 諦めるなボク‼︎)
自身に発破をかけ、空中でもがき始める。
どうにか帰れまいかと抗う中、まるで天が味方をしてくれたかの如く、場外直前のラインでふわりと停止。
これにはステージ上でマリオを見送っていたフォックスも瞠目。
「よっしゃあ‼︎」
空中ジャンプと復帰技を駆使してステージに帰還。
勝利を確信し硬直していたフォックスと距離を詰めつつ、両腕を大きく広げ、くるりくるりと竜巻を帯びた回転攻撃を決行。
「だああッッ‼︎」
トルネードが直撃したフォックスは抗う間もなく場外へ。
ステージに残ったマリオは、力強く天に拳を突き上げた。
「ボクの勝ちだああああああああ‼︎‼︎」
マリオの叫びを皮切りに、これまで以上に熱く大きく湧き上がる観客席。
トーナメントを制した覇者に、数多の賞賛の声と拍手が送られた。
『決勝を制したのは、マリオ選手だ〜!』
決勝――勝者、マリオ。
スクリーンに自身の顔とともに映し出された文字に、マリオは安堵。帽子を脱ぎ、冷や汗を甲で拭う。
「おめでとさん」
「フォックス!」
ステージに帰還したフォックスが、拍手とともにマリオのもとへ。
互いに熱い握手を交わした二人は、ニッと笑い合う。
「熱い戦いをありがとな!」
「こちらこそ!」
手を離した二人は揃って観客席に感謝の思いを込めて、手を振るのだった。