想イノ終着点
「あわわわわ……兄さん……」
「やるじゃねぇか、フォックス」
大画面のモニター前では、ルイージとファルコを筆頭に【乱闘部隊】(仮)メンバーが試合を見守っていた。
誰もがその光景に釘付けとなり、カービィやアイスクライマーの二人は拳を握っては大きく振り上げて応援。
サムスやファルコンといった大人は、さすがに落ち着き払ってはいたものの、瞳に情熱の火を灯らせる。
「マリオー! ワガハイ以外に負けるとは許さんぞー‼︎」
「うあちっ⁉︎」
「火! 火出てるよ!」
興奮のあまりクッパの
「もうっ、静かにしてなさいっ」
「ぐぬぬ……」
「ふふ。」
ピーチの注意にたじろぐクッパの様子に、ゼルダはくすりと笑みを落とす。
「この勝負どうなるか……」
「ふむ、現時点ではどちらにも可能性が……おっと」
「ピッカ」
並んで観戦していたサムスとファルコンの合間に収まるかの如く、ピカチュウを始めとした小型なポケモンがわらわらと集う。
「はは、だいぶ懐かれたなサムス」
「フン……」
自身の肩に乗るピカチュウに頬擦りされたサムスは表情こそ変わらないものの、優しい眼差しで。
ファルコンは一同から離れた場所でこちらの様子を伺うミュウツーに一瞥をくれる。
誰もが彼らの試合に夢中になった。
それは、主催者である二人にも当てはまる。
「盛り上がっているようだな、ヴィル」
「はい、マスター様。
場面は変わり、『スタジアム』
観客らに紛れて観戦するマスターとヴィルヘルム。
火を見るより明らかな観客の反応に、『大乱闘』成功を予感した。
「この勢いを、これからもずっと繋いでいこう」
「……そうですね」
肯定とは裏腹に。太腿に乗せた拳にグッと力が入る。
マスターは目を細め、再び試合へと視線を向ける。
試合は終盤を迎え、双方共にギリギリのラインを超えた状態。気を抜けば、瞬く間に視界は空を映し出すだろう。
当事者も、観客も、ファイターも。
手に汗握る戦いが繰り広げられていた。