想イノ終着点

6:想イノ終着点【11】


「……なんでだよ」
「……」
「なんでお前がいるんだよ! ――『マリオ』!」


 準決勝、A&Bチーム――マリオvsリンク。


 ステージに登場するや否や理不尽なお怒りを受けたマリオは、「しょうがねぇだろ!」と反撃。

「チーム分けは『マスターの件あの話』の前にされて……」
「そうじゃない! どうしてガノンドロフじゃないのかって聞いてんだよ‼︎」
「そっちかよ⁉︎」

 もはやリンクはマスターとの話を忘れているのかというレベルの、ガノンドロフに対する恐るべき執着心。いやいや、とマリオは手を横に振る。

「ガノンドロフとなら後でいくらでもやってくれ。頼むから今は戦いに集中しろよ」
「む……」

 それもそうかと思ったのか――はたまた、ここで負けるのも恥だと思ったのか――リンクは戦闘体勢を縫い直し、開始の合図を待つ。


 Ready Go!


「行くぞリンク!」
「負けるかッ‼︎」


☆★☆


 準決勝、C&Dチーム――フォックスvsマルス。


(向こうはマリオとリンク……どちらが勝っても、マスターとの約束を果たす可能性は残ってる。でも、確実なものにするには、この試合でぼくが勝たなければいけない)

 美麗な睫毛を揺らし思考に耽るマルスを、対戦相手であるフォックスは訝しむ。

「……おーい、マルス」
「ん? 何かな」
「それはこっちのセリフだ。何をそんなに考え込んでいるんだ?」

 いや、とマルスは頭を振りかぶる。

「少し緊張しているだけさ。気にしないでくれ」
「なぁ、もしかして……お前『達』、何かあったか?」

 『達』。と、自分以外のことも含んだ言葉に、マルスは内心焦燥に駆られる。

「さっき戦ったネスもそうだったが……朝からなーんかよそよそしいんだよな」

 そう顎を触るフォックスの慧眼には恐れ入った。
 マルスは微笑を浮かべる。

「すまない、フォックス。詳しくは話せないけど……ぼくらには、勝たなければいけない理由があるんだ」
「お前……正直に話さなくても良かったのに」
「仲間に嘘はつきたくないから」

 やれやれと肩をすくめたフォックスは、肩や首を大きく回しては構えた。

「どんな理由かは聞かないが、だからといって手は抜かないぜ?」

 ファルシオンを軽く振るっては深呼吸をするマルスも、小さく頷き返す。

「もちろん、そのつもりさ。全力で戦おう」
「ああ! 俺が勝っても恨むなよ?」
「そのときは彼らを信じるだけさ」


 Ready Go!


 二つのステージで響き合う戦闘音。
 さすが数ある猛者を倒しただけとあり、戦いは熾烈を極めた。
 そうして決勝へと進んだのは――。


 Game Set!


『準決勝を制したのは、マリオ選手とフォックス選手だ〜!』

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