想イノ終着点

6:想イノ終着点【6】


 王城の空を、穢れを寄せ付けぬ純白をその身に宿した鳥が飛び回り羽根が舞う。
 天気は快晴。気分も良好。気合いは充分。

「兄さん、そろそろ行くよ」
「今行く」

 壁にかけた赤い帽子を被り、扉の前で待つ弟とハイタッチ。

「うし、頑張るか!」
(……なんだか今日の兄さんはいつも以上に気合いが入ってるなぁ)

 肩を回し体をほぐすマリオの背に、ルイージは「待ってよぉ」と急ぎ追いつく。



 初となる『大乱闘』開催当日。
 食事を済ませた【乱闘部隊(仮)】のメンバーは、城の一階に位置する『ポータルルーム』に集められた。

「皆様、お集まりいただきありがとうございます」

 彼らのマネージャーであるヴィルヘルムの声が静寂に凛と響く。

「それではご案内いたします。『大乱闘』の舞台となる『スタジアム』へ――」

 《スマデバイス》を台座に捧げた瞬間。彼らを囲う円濤から青白い光が、普段よりも強い光を放ちファイター達を飲み込む。
 誰もが眩い光に両目を瞑る中。次に目を開ければ――景色は一転。

『今回の「大乱闘」に参加する猛者らを、どうか盛大な拍手で迎えてほしい』

 マスターのアナウンスに、地を震わせるほどの歓声。彼らは一瞬にして『スタジアム』のステージ上に転送された。
 周囲を取り囲む観客にファイター達は、唖然する者、にこやかな笑みを送る者、変わらずの対応を取る者……それぞれ異なる反応をみせる。

「ねえ、マリオ見て!」

 呆けるマリオの肩を抱き、ピーチが客席の一部を示す。そこにはマリオ達も見慣れたキノコ王国の住人キノピオらがこちらに一生懸命手を振っていた。
 応えるようにピーチも手を振り返し、マリオもまた親指を立てる。

「ガッハッハ! 者ども、我輩の活躍を見逃さんことだな!」
「ど、どうもー……」

 クッパの言葉にクッパ軍団の観客が沸き、萎縮していたルイージも恐る恐る手を振ってみせる。
 他方、ピンク色の球態がぴょんぴょんと跳ねている。

「ワドルディ達だ! やっほー‼︎」

 客席にいるワドルディらはカービィのアピールに、お決まりの『わにゃ』という独特の鳴き声を響かせ応えた。

「リンクとゼルダもほら! 手を振ってあげてよ!」
「え?」

 無邪気な笑顔でカービィは近くにいたリンクとゼルダにそうお願いした。

「いやだね。そういうの好きじゃないんだ」
「えーけちぃ」

 そっぽを向くリンクを傍目に、ゼルダは暫し沈黙。
 やがてほんの少し笑みを浮かべ、小さく、それでいて優雅に手を振ったのだ。
 麗しき姫のアピールにワドルディ達でなく、他の観客達からも歓声が湧き上がる。
 瞠目するリンクの足元で、カービィは嬉しそうに踊り回った。

『……さて。そろそろファイターの諸君には、準備に取り掛かってもらうとしよう。準備が整うまでの間、皆には参戦者の紹介をさせてもらう――』

 マスターの演説が終わらぬうちに、ファイター達はステージ上から姿を消した。
 目まぐるしく回る景色。次なる転送場所は『スタジアム』内、『システム制御室』。そこでは、ステージ上にはいなかったヴィルヘルムの姿が。

「では早速、『大乱闘』トーナメント1回戦目を始めます。Aチームの方から順にこちらの『ポータル』へ」

 手のひらをさし示したヴィルヘルムの指示に従い、マリオを含めたAチームのメンバーが《ポータル》内へと歩みを進めた。

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