想イノ終着点
時計の針が十の数を示す頃。
朝食の時間はとうに過ぎ、皆が思い思いの時間を過ごす中。マリオとリンクは揃って、封鎖された地下教会の長椅子に座っていた。
「――というのが昨日、お前がボク達と会う前に起きた話だ」
「なるほどねぇ」
廊下を挟んだ隣に座るリンクが足を組んでは、そう背をもたれる。
マリオは両膝上に手を置き、じっと彼の様子を見守る。
彼らがここにいる理由は、
「ヴィルが殺されかけてた時もマスターは平然としていたみたいだし、やっぱ問い詰めないと」
「だな。その為にも明日の大乱闘は勝たないとな」
「リーダーとか興味ないからマリオが優勝してよ。僕はただ……アイツを、倒したいだけだ」
眦を釣り上げるリンクを横目に、マリオは自分の推論を口にする。
「……ヴィルの事。ボクはガノンドロフが犯人だとは思えない」
「……奴なら殺ってもおかしくない」
「こう言っちゃあなんだが、もう少し譲歩できないか?」
ガノンドロフに対する異常ともいうべき嫌悪。
マリオの言葉にリンクは憤怒を露わにし、立ち上がりながら叫んだ。
「自分の人生を狂わせた奴に譲歩なんて出来るかよ‼︎」
奥歯を噛み締める少年の姿に目を見開く。
出会って数日の関係。互いの過去なんぞ話したことはなく、マリオが知っているのはせいぜい『相棒』がいるぐらい。
僕のことを知らないくせに、と向けられる眼差しにマリオは肩をすくめた。
「……人生を狂わされたねぇ。ならボクの人生もクッパに狂わされたって言えるな」
ただの配管工だった自分が、ほんの勇気を胸に王国を救うことになってからは――誰もが知る英雄の道を歩み始めた。
そのせいで苦しみ、別れた思い出も少なくはないが。どうせなら。
「でも、その先でこうしてお前と話が出来たなら少しは良いと思えるさ。お前にだってひとつやふたつあるだろ? そういうの」
リンクはばつが悪そうにマリオから視線を逸らす。
彼にもあるのだ。ガノンドロフに狂わされた人生の中で、『良かった』と思える出来事が。
これ以上は何を言っても無駄だと諦めたリンクは嘆息をもらし、着席。満足げに頷くマリオにちくちくとした眼差しを流しつつ、「そういえばさ」と一言。
「あんた、ヴィルって呼ぶようになったんだ」
「え? 言われてみればいつの間に……」
いつからだ? と思案するマリオに小さく笑みをこぼす。
「
「悲しまないさ。ルイージは弟だから」
「なにそれ」
「兄理論」
「屁理屈の間違いじゃん」