想イノ終着点
――あ、れ……ぼくは……。
――ヴィル……?
――カービィ、どうして部屋の外に? 眠れなかったの?
――ちが、う、けど……痛くない?
――何が?
「起きろッ‼︎ ピンク玉‼︎」
「わあっ⁉︎」
叫び声に反応し飛び起きたカービィは混乱している。
「ったく、起こすのにも一苦労だぜ」
「すみません、ファルコ様」
自身の体躯では持て余すベッドの脇――そこには、こちらに視線を向けつつ言葉を交わす二人の姿。
「ヴィルにファルコまで……どうしたの?」
「どうしたもこうしたもねぇよ。もう朝メシの時間だっての」
「カービィの姿が見えないから様子を見に来たんだ」
普段なら。いの一番に駆け込んで来るはずのカービィが食堂に姿を現さないのを気になったヴィルヘルムは、まだ自室にいるのではないかと思い向かう。
ファルコとはその道中でばったりと遭遇し、「もしカービィが寝ているのなら自分では起こせない」と同行をお願いし今に至る。
「えっ! もうそんな時間! 早く食べにいかなきゃぼくのごはん達〜!」
「あっオイ! 待ちやがれ!」
カービィは二人の間をするりと潜り抜け、一目散に食堂へ駆け込む。
その後をファルコはすぐに追従し、ヴィルヘルムは乱れたままのシーツを整えてから退室。食堂とは真反対の方向を進んだ。
器用にステップを踏みながら食堂へ向かうカービィに追いついたファルコは、ズボンのポケットに手を突っ込みつつ隣に並ぶ。
「なあ」
「んー?」
「オマエさ、悪夢見てただろ」
華麗なステップから一転。その場できょとんとファルコを見上げる。
「だいぶうなされてたぞ。それに……ずっとヴィルの名前呼んでたし」
「……ぼくが?」
「おう。当の本人は特に反応してなかったけどな」
沸々と。カービィの脳裏に悪夢――現実とそう変わらない光景――が蘇ってきた。
一刻も早く確かめなければ。“アレ”は現実だったのかを。
「ぼく行かなきゃ! ファルコは先に行ってて!」
と、来た道を戻っていくカービィにファルコは目を細める。
「お〜い、ファルコ〜」
「フォックス」
片手を挙げ駆け寄る相方は、全くと言いたげに半眼を作る。
「もう朝ごはん出来てるぞ。寝坊か?」
「違ぇって。カービィ起こしに行ってた」
「お、カービィか。オレも探してるんだ。……どこにいるんだ?」
と、周囲を見渡すフォックスに「さあな」とだけ返して歩みを再開した。