想イノ終着点

6:想イノ終着点【2】



 ――あ、れ……ぼくは……。
 ――ヴィル……?
 ――カービィ、どうして部屋の外に? 眠れなかったの?
 ――ちが、う、けど……痛くない?
 ――何が?



「起きろッ‼︎ ピンク玉‼︎」
「わあっ⁉︎」

 叫び声に反応し飛び起きたカービィは混乱している。

「ったく、起こすのにも一苦労だぜ」
「すみません、ファルコ様」

 自身の体躯では持て余すベッドの脇――そこには、こちらに視線を向けつつ言葉を交わす二人の姿。

「ヴィルにファルコまで……どうしたの?」
「どうしたもこうしたもねぇよ。もう朝メシの時間だっての」
「カービィの姿が見えないから様子を見に来たんだ」

 普段なら。いの一番に駆け込んで来るはずのカービィが食堂に姿を現さないのを気になったヴィルヘルムは、まだ自室にいるのではないかと思い向かう。
 ファルコとはその道中でばったりと遭遇し、「もしカービィが寝ているのなら自分では起こせない」と同行をお願いし今に至る。

「えっ! もうそんな時間! 早く食べにいかなきゃぼくのごはん達〜!」
「あっオイ! 待ちやがれ!」

 カービィは二人の間をするりと潜り抜け、一目散に食堂へ駆け込む。
 その後をファルコはすぐに追従し、ヴィルヘルムは乱れたままのシーツを整えてから退室。食堂とは真反対の方向を進んだ。



 器用にステップを踏みながら食堂へ向かうカービィに追いついたファルコは、ズボンのポケットに手を突っ込みつつ隣に並ぶ。

「なあ」
「んー?」
「オマエさ、悪夢見てただろ」

 華麗なステップから一転。その場できょとんとファルコを見上げる。

「だいぶうなされてたぞ。それに……ずっとヴィルの名前呼んでたし」
「……ぼくが?」
「おう。当の本人は特に反応してなかったけどな」

 沸々と。カービィの脳裏に悪夢――現実とそう変わらない光景――が蘇ってきた。
 一刻も早く確かめなければ。“アレ”は現実だったのかを。

「ぼく行かなきゃ! ファルコは先に行ってて!」

 と、来た道を戻っていくカービィにファルコは目を細める。

「お〜い、ファルコ〜」
「フォックス」

 片手を挙げ駆け寄る相方は、全くと言いたげに半眼を作る。

「もう朝ごはん出来てるぞ。寝坊か?」
「違ぇって。カービィ起こしに行ってた」
「お、カービィか。オレも探してるんだ。……どこにいるんだ?」

 と、周囲を見渡すフォックスに「さあな」とだけ返して歩みを再開した。

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