Super Smash Bros. - Cross × Tale -
「ネスにマリオ! やっと見つけたよ〜!」
「リンク様にプリンス・マルスも。いかがされたのですか?」
国王の部屋にマスターを残した彼らは、マリオとネスを探し歩いていたカービィとヴィルヘルムの二人に駆け寄られる。
「いかがも何もッ」
「待った」
平然とした態度のヴィルヘルムに突っかかろうとしたリンクをマリオが制す。
苛立ちを隠そうともしないリンクを含む――一同の空気が悪いことを察し、ヴィルヘルムは眉をしかめた。
「悪いけど、席を外してくれるかな」
申し訳なさげに眉尻を落とすマルス。ヴィルヘルムは「分かりました」と答え、腕に抱えていたカービィを下ろそうとするも。
「ヤダ! 歩きたくない! 部屋まで連れてって‼︎」
駄々をこねるカービィに苦笑を浮かべ、仕方なく抱え直す。
「……それでは失礼いたします」
「ネス! お大事にねっ!」
「あ、ありがとう……」
一生懸命に手を振るカービィを部屋に戻すべく。彼らに会釈したヴィルヘルムは背を向け、廊下を歩み出す。
その背中が見えなくなるや否や、リンクはマリオを睨みつける。
「なんで止めたんだよ。どうせあいつも知ってんだから、聞けば早かったのに」
「なんとなく……ヴィルは関係ない気がしてな」
マリオの言葉にうんうんとネスも頷く。
「ぼくもそう思う! マスターさんにかけられた呪いを解いてくれたのはヴィルさんだもん」
「仮にヴィルがグルだったとして、わざわざ解くなんて馬鹿なことするか?」
「……うん。それはその通りだね」
「つか、呪いってなんの話だよ」
それに、とマリオは相好を崩す。
「嘘はついても、
根拠もないまま自信満々に語る彼に、マルスとネスは小さく笑みをこぼし、リンクは肩をすくめる。
「だから、マスターとの話はボクらだけにしよう。向こうもきっと、それを望んでる」
各々が頷き返したのを目に、マリオはニッと破顔した。
「それじゃあね、ヴィル! おやすみ〜!」
「うん。おやすみなさい」
無事に部屋まで送り届けたヴィルヘルムはひとり、自室までの帰路に就く。
(マリオさん達がいた方向……あの先には、『父上』の元寝室があるだけなのに……もしかしてマスター様が何か……)
「――よう、“王子様”。元気そうじゃねェか」
時が止まる。
体から血の気が引いてゆく。
気づいた時には全てが終わっていた。
「ンじゃ、また死ぬか?」
口元に弧を描く男の左手が、眼前へと迫る。
回避する術も時間もない。
バチバチと爆ぜる赤き閃光を瞳に焼き付けて――。
……GAME OVER?