Super Smash Bros. - Cross × Tale -

4:新たなエリアと参戦者【4】


 強者と相見え、己が力量を図り、更なる高みへと至る。

 ――片腹痛いわ。

 俺に求められるのは『力』。全てを支配し、蹂躙し、恐怖が入り混じる純粋な『力』!


 城の廊下を『前進』するガノンドロフは苛立ちを隠さなかった。
 煉瓦造りの床は足の形に合わせて陥没し、悪戯に壁を叩いてやれば破壊される。口元に弧を描くと、周囲の者は色を失う。

「ガノンドロフ」

 ガノンドロフは歩みを止めた。行く手を、宰相マスターが阻んでいたからだ。
 マスターの合図で使用人達は、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

「すまないが、城を壊すのはやめてほしいな。いくら『すぐに直せる』といっても、無駄な労力は割きたくないのでな」

 マスターの言葉に背後を見遣ると、自身が破壊した箇所は跡形もなく元通りとなっていた。
 ほう、とガノンドロフは笑みを浮かべる。

「――まずは貴様から地獄へ叩き落としてやろう」

 前動作もない不意打ち。
 紫炎を纏う右手を繰り出したガノンドロフだったが――マスターは、白の手套を嵌める右手で易々と受け止めていた。
 手套に宿る魔法円が放つ白き光に照らされながら、マスターは目を細める。

「これ以上、無駄な抵抗はしないでくれ。君達が勝てる見込みは万が一にも『ない』」
「なに……?」
「そのように、プログラムされているからな」

 衝撃波を受けたガノンドロフの体が仰反る。
 自身の右手から一筋の血が流れ落ちるのを目に、不敵に笑う。

「面白そうだな」


「ガノンドロフッ‼︎」


 怒気含む叫びが耳朶に響く。
 鬱陶しげに振り向けば、鬼の形相のリンクがこちらを睥睨している。その拳は怒りに震え、必死に抜剣するのを耐えているようにも見えた。

「喜べ小僧。戦いの舞台で俺と見えることを」

 瞠目するリンクとすれ違い、ガノンドロフは哄笑を上げながら踵を返していく。
 マリオとカービィが――ガノンドロフを尻目に――リンクらと合流したのは直後のこと。

「とても楽しみだ」

 と、微笑むマスターに、リンクは奥歯を噛み締めその場から立ち去った。

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