Super Smash Bros. - Cross × Tale -
空間を満たす青白い光を背に彼らを迎えたマスターとヴィルヘルム。
「……マスター、その髪どうした?」
いつもよりぴょんと跳ねている前髪に、フォックスが思わず尋ねる。
「寝癖だ。まだ髪を整えてないからな」
前髪を触りながら答えたマスターの隣で、ヴィルヘルムは「後ほど整えます」と答えるや否や纏う雰囲気をがらりと変える。
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。早速ですが、先程発生した事象……そして、これから起こることについてご説明させていただきます」
緊迫した空気に、半分眠っていたドンキーも目を覚ます。
マスターが傍らで見守る中、ヴィルヘルムは語り始めた。
「まず、先程発生した揺れですが、あれは『地殻変動』と呼ばれるものです。
皆様方はこの世界に『具現化』された際、ゆかりある地も同時に複製されているという話を覚えていらっしゃいますか?」
若干名怪しい人物もいるが――大方大丈夫だと判断。ヴィルヘルムは続ける。
「異界の地域、及び要となる存在の具現化。それらが発生する時に起こるのが、『地殻変動』なのです」
「……つまり、今まさに新しく『具現化』されたということか」
言い換えたファルコンの言葉に頷く。
「私達がここへ来る前にも起きたのか?」
「はい。今回で二度目となります」
「……『ポータルルーム』へ呼んだのはそういうことか」
納得したサムスに一部から『意味が分からない』という視線が集まる。
「新しく、私達と同じように、この世界に『招待』された者がこれから来るということだ」
嘆息混じりに答えれば、「なるほど〜!」とカービィは歓喜。
「おともだちがふえるってことだね!」
「あんたはそればっかだな」
「もうすぐ来るの?」
「うん。もうすぐだよ」
足元で喜ぶカービィをよそに、ヨッシーは「それにしても」とマスターに話しかける。
「こんな朝早くにする必要はなかったんじゃ……」
「『地殻変動』の発生時間に関しては私達でも予想出来ないんだ。すまないね」
苦笑するマスターの背後――立ち並ぶ
眩い光の中から現れた影は、コツ、とヒール音を鳴らして王国へと降り立つ。
夢にまで見たその人に。マリオの目は大きく見開かれた。
「……ピーチ?」
「マリオ? ……やっぱりここにいたのね!」
ハート型の前髪に煌めく王冠。その名の通りの桃色のドレスを翻し――ピーチはマリオの元に駆け寄る。
「ど、どうしてここへ……?」
「招待状を貰ったからに決まってるじゃない! うふふ、ワタシ『達』の予想は大当たりね」
「……『達』?」
嫌な予感。というのは、当たり易いもので。
『ポータル』よりひと回りもふた回りも大きな体躯を引き連れて、現れ出しその人物。
反射的に腕を掴んできたルイージとピーチを守るかのように、マリオは片腕を伸ばしその人物と対峙する。
「クッパ……!」
「マリオ! 勝ち逃げは許さんぞ!」
恐怖の大魔王ことクッパのお出まし。
放たれる威圧感に――こそっとネスはフォックスの背に隠れた。
その様子を横目に。軽く瞠目したクッパはマリオとの睨み合いを止める。
「勝負は次の機会に延長してやるからな」
「は? なんなんだ……」
「うふふ」
『大丈夫そうだぞ』とフォックスがネスの頭を撫で――不服そうな視線が返ってくるも無視し――笑っていたが、次いで『ポータル』から現れし姿に声をあげる。
「ファルコ!」
「ン……? フォックスじゃねぇか。何やってんだこんなとこで」
フォックスと同じく獣人の男はその双眸を細め、首をかしげる。
ファルコの肩を叩き歓迎するフォックスから離れたネスは、一歩離れた位置で見つめていた。