Super Smash Bros. - Cross × Tale -
(全く、どうして私が探さなくてはならないのだ)
いつにも増してご機嫌斜めなサムスは(前日に引き続きパワードスーツを装着したまま)城の廊下を進む。
不機嫌な理由は、今し方退室した『システム管理室』での出来事にあった。
「夜もその姿で休んだのか?」
すでに作業を始めていたマスターに、だから何だと無言の圧をかける。
「今日も昨日と同じ光景になると思うが、見ていくか?」
『……いや、やめておく。私が聞いてもいないのに、あれはなんだこれはなんだと説明されたくないからな』
小さく笑みをこぼしたマスターは「それは残念だ」と、再びモニターへと目を向ける。
「ところで……ピカチュウは一緒ではないのか?」
立ち去ろうとしたサムスはその言葉に足を止める。
『見ていない』
「そうか。今朝から姿が見えなくてな。もしだったら探しておいてくれ」
現状に至るまでを
城の
『何をして……』
見下ろしたサムスだったが、はたと言葉を詰まらす。
小さな体の至る箇所から滲む血の跡。息を弾ませるピカチュウは、それでも起きあがろうと手足に力を入れる。
『どうした』
「ピッ……ぴかぁ……」
傍らで片膝をついたサムスを見上げ、片方の手で必死に空を示す。
そちらを見上げれば――城郭の先にズラリと並ぶ針と針の間に、風船にも似たピンク色の物体が挟まっている。身動いているのが目視でき、サムスはピカチュウの行為に納得した。
『そこにいろ。私が行く』
「プリッ⁉︎」
壁を登ろうとしたサムスを、ピンクの風船は怯えた様子で体を震わせる。
『私はお前を助けようと……』
「プリリー! プリッ……プリ……」
その瞳から大粒の涙を流されては、流石のサムスも狼狽えて。
『……仕方がないな』
と、サムスはパワードスーツを『脱ぎ捨てた』。
さらりと
彼女の素顔にピカチュウやピンクの風船が見惚れているうちに――難なく城郭を駆け上がったサムスは丁寧に助け出した。
「お前も一緒に行くぞ。傷の手当てをしないとな」
そうピカチュウも抱えたサムス。城へと
「「……」」
呆然とこちらを見つめるマリオとフォックスに出会した。
「何を突っ立っている。邪魔だ退け」
「あ、ああ、悪い」
左右に避けた二人の間を通り、サムスは平然と回廊を進む。
彼女の後ろに並んだ二人は、ピカチュウらが怪我をしていることにも気付く。
「医務室が何処にあるか知ってるのか?」
「知るわけないだろう。ここからなら『システム管理室』が近い。宰相に案内させればいい」
マリオとフォックスは共に口元をひくつかせるが、ピカチュウとピンクの風船は嬉しそうに微笑みあっていた。