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『あったま痛い…』
カーテンの隙間から差し込んだ日差しに、眉を顰めては名無しはゆっくりと目を覚ました。
クーラーが効いているせいか室内の温度は暑いよりも寧ろ少しだけ肌寒い。
ポツリと呟いた言葉通り、ズキズキと頭が痛んだ。
(あー…そっか、昨日呑んだんだっけ…?)
ズキズキと痛む頭で必死に思い出しては名無しはぼんやりと見慣れた部屋の天井を眺めた。
何時もと変わらない見慣れた天井。
けれど天井を眺めている名無しの生活は着々と変わっていった。
仕事が終わったのは深夜0時。
普段なら中番のため21時には終わるが此処最近は遅番の為仕事が終わるのは0時だった。
そこから帰宅しシャワーを浴びてからは晩御飯を食べる気力なんてあるはずもなく、つまみを用意しては一人夜飲をする日々が増えた。
成人はしているものの、酒を呑む習慣が全くなかった上に名無しは体質的に酒にはめっぽう弱い。
アルコール度数3%のチューハイすら2本目で酔いが回る程だ。
だがそんな名無しが何故弱いのに酒を呑むようになったのかと言えば、それは間違いなく仕事のせいだった。
此処最近仕事の忙しさ。
去年と変わらず同じ職場に勤めているはずなのに、働き方が変わってしまったせいかストレスが溜まりまくっている。
言わずもながら現に酒を呑むのはそうやって現実から目を逸らすための現実逃避にしか過ぎない。
日が経つにつれて増えていく業務。
まともに自分の担当箇所に手を付けることが出来ず、何故か自分に関係ない箇所ばかりメンテを入れられているせいか思う様に仕事が出来ない。
入社した時はなかったはずの試飲接客すら毎日入れられ精神をすり減らす日々。
そんな状況だからこそ、現実逃避と言う名目で酒を呑む頻度が増えたのは言うまでもない。
呑まずにはやっていられない、それ位名無しの心に余裕などなかった。
やる事だけが増え一向に身体が休まらない上に働く時間が固定ではなくなってしまった為か身体が上手くついて行かない現実。
昔であれば多少の無茶は出来たが、今ではもう無茶をするよりも自分の身体を労わってあげる方が大事だと思う年頃だ。
遅番だって当初は週に一度の予定だった。
だが、最近遅番で入っていたアルバイトが突然音信不通となり飛んでしまった為、遅番の頻度がとてつもなく増えたのだ。
つまりは飛んだ人間の尻拭いをさせられているのが主たる原因である。
その為ここ最近の酒の消費量は半端なかった。
数缶と言えど酒に弱いせいもあり、最近は記憶が無くなるまで飲んでは気が付けば朝だったなんてざらにあるのだ。
勿論これでも次の日が休みの日の時だけは羽目を外す。
翌日仕事の場合は缶チューハイ1本で我慢しているが休みの日はそのタガが外れてしまうのは日頃のストレスのせいだと自分に言い聞かせていた。
(珍しく今日明日は休みだし二度寝しよ…)
そう、珍しく二連休なのだ。
限界が来てるのは今の名無し自身でも分かる程だったため、有休を無理やり入れては自力で手に入れた休み。
今日位はそのまま二度寝も悪くないと、寝返りを打ち二度目を決め込もうとした。
ふかふかの枕に頬を預け、瞳を閉じた。
…が、その瞬間数秒もせずに名無しの閉じた瞳は勢いよく開かれた。
(え、はぁ…え?ゆ、夢でも見てる…?!)
そう思う程あり得ない光景が名無しの瞳には映っていた。
起きた感覚はあるけれど、もしかしてまだ夢の中なのだと思ってしまうほどあり得ないのだ。
「すぅー…すぅー…」
名無し自身以外に聞こえる寝息。
家には名無ししか住んでいないし、誰か友達を呼んだ記憶だってない。
そもそも友達とすら呼べる人間が名無しにはいなかった。
自分で言ってて悲しくなるほどに、人付き合いが苦手なせいで友達なんて居ないのだ。
なら考えられるのはやはりまだ夢の中に居るのだろう。
名無しはそう思いながらも目の前の光景から目が離せない。
灰色の短髪に青灰色の肌。
余りにも整った容貌が名無しの瞳に映り込む。
閉じられた左目の辺りは青い稲妻が落ちたような模様が刻まれている。
一目見ただけで人間ではないと言う事が分かる程現実離れしているのだ。
「………ん…」
色気が溢れる寝息を零しては、ぴくりとその閉じられていた瞳がゆっくりと開かれる。
人間ではありえないような澄んだ発光色の水色の瞳。
その瞳が名無しを映し、そして認識をすればぽつりと言葉が紡がれる。
「なんだマスター…起きていたのか…」
寝起きのせいか掠れたような低い声。
まだ焦点はあっていないようであったが、それでもその瞳は名無しを映しては視線を外さない。
何度見ても、名無しはその男性に見覚えがない。
『お、お、お…』
「お?言いたい事があるならさっさと言わぬか?」
気だるそうに欠伸をしながらもゆっくりと上半身を起こす。
服は一応着ている。
けれども―――…
『お、おまわりさーーーーん!!!!!』
近所迷惑という言葉すら忘れ、名無しはただ叫んだ。
「で、思い出したかマスター?」
『………全く思い出さないし記憶にございません…』
あの後叫んではパニックになっていた名無しに、目の前にいる男性…否、神インドラは溜息をつきながらも名無しに説明してくれた。
インドラの言葉に名無しは全く記憶にないが、神の説明が正しいのであれば曰く不法侵入ではないらしい。
そもそも記憶にないが酔っ払った名無しがインドラを召喚したのだ神であるインドラは言った。
「召喚されなければこんな犬小屋のような場所に自ら望んで赴こうとは思わんだろ」と鼻で笑われてしまったのは解せない。
非正規雇用であり安月給なのだ、そんな良い所に住めるか!と言葉にしたかったがぐっと飲みこむ。
だって相手は神だ。
それはそれは宮殿なり大層な所に住んでいるのならそう思われても仕方ないだろう。
「契約の証として貴様の手の甲に印があるのが何よりの証拠だ」
『え…そんなものあるわけ…って、マジであるじゃん…』
言われるがまま名無しは自分の両手の甲へと視線を向ければ、インドラの言葉通り印がある。
右手ではなく、左手の甲にはインドラのマスターであることをを示すように形がよく分からない線対称紋章が刻まれていた。
どうやら本当に記憶にはないが目の前にいる神と契約を交わしてしまったようだ。
インドラ曰く、魔術回路を持っている人間の中でも魔術量は一般の魔術師に比べたら比べ物にならないほど高いらしい。
神であるインドラが「偶然とは言え神 を召喚する事が出来たのだからな」と言うほどだ、よっぽどなのだろう。
だがしかし名無しは生まれてこの方一般人として生きてきたのだ。
魔術師の家系でも何でもない。
一般人の中でも偶々魔術回路を持ち合わせ、なんなら魔術師よりも偶々魔術量が多いだけと言ったまさに偶々が重なっただけだ。
(マスター?サーヴァント?ナニソレオイシイノ?)
マスターだのサーヴァントだの説明されようが理解など出来ないし、訳の分からない言葉という認識に落ち着いてしまう。
一通り説明を受けても杏子は一般人だ、故に頭が追い付かずに頭を抱えてしまう。
そんな次元を超えたことがリアルに起きるか?!っと、心底思うしあまりにも現実離れしているのも要因の一つだ。
ちらりとインドラの方を見れば呑気に何処から出したのか分からないが椅子に座り頬杖をついては欠伸をしている。
(と言うか契約ってお互いの合意の元じゃないの?いくら私の魔力が高いからって言って相手は神様じゃん…)
酒を飲んで酔っ払い、召喚してしまった事には百歩譲って目を瞑ろう。
勿論何故酔っ払った挙句にそんな降霊術のような事をしてしまったのかと自分自身に問いつめたいが考え出したらきりがないし何より酔っぱらいのする事だ。
いくら自分がしでかしたこととは言え一旦置いておこう。
「そもそも何で召喚に応じてんのインドラ様…」
神であるがゆえに、一応敬称を付けてインドラの名前を呼ぶ。
自分のことを棚に上げ、そもそも召喚されたインドラもインドラだと名無しは思う。
インドラも酔っぱらっていたらしいがそれでも彼はほろ酔いだったと言っていた。
召喚してしまった杏子にも非があるが、召喚は必ずしも強制ではないだろう。
何度も言うが何故なら相手は神だから、それに尽きる。
拒否れなかったのか?と問えば、「ほろ酔いで気分が良かったからな、気まぐれで召喚に応じたまでだ」と言われてしまったては名無しは口をぽかんと開けてはインドラを凝視した。
(気分が良かったからって気まぐれで呼ばれるなーーー!!!)
ほろ酔いだったと言うならばまだ理性も考える思考も名無しより持ち合わせていただろう。
『何でよ?!拒否れよ?!』と思わずサーヴァントである前に神であるインドラに言いそうになったけど、流石に神に面と向かって言える度胸は生憎杏子は持ち合わせていなかった。
そんな名無しにインドラは椅子から立ち上がっては気だるそうに目の前まで来る。
身長が高いせいかベッドの上に座っている杏子の前に屈んでは指を這わせて顎を自分の方へと向けた。
澄んだ発光色の水色の瞳が、名無しの姿を映し出す。
あまりにも綺麗な瞳に、名無しはつい見惚れてしまった。
呼吸をするのすら忘れてしまいそうなほどに美しい色。
雷…だろうか?
稲妻のような色合いに引き込まれてしまう。
だがそんな杏子に、インドラはふっと笑みを浮かべては言葉を紡いだ。
「神の気まぐれで契約してやったのだ、ありがたく思え」
自然と口角を上げた笑み。
言葉を紡ぐことすら忘れ、名無しはただただそんなインドラに見惚れていた。
契約してしまった以上、仕方ないのだろう。
この日から、名無しと神様のありえない日常(同棲)生活が始まった―――…
選ばれた理由なんて、ただの気まぐれ
2025/08/26
『あったま痛い…』
カーテンの隙間から差し込んだ日差しに、眉を顰めては名無しはゆっくりと目を覚ました。
クーラーが効いているせいか室内の温度は暑いよりも寧ろ少しだけ肌寒い。
ポツリと呟いた言葉通り、ズキズキと頭が痛んだ。
(あー…そっか、昨日呑んだんだっけ…?)
ズキズキと痛む頭で必死に思い出しては名無しはぼんやりと見慣れた部屋の天井を眺めた。
何時もと変わらない見慣れた天井。
けれど天井を眺めている名無しの生活は着々と変わっていった。
仕事が終わったのは深夜0時。
普段なら中番のため21時には終わるが此処最近は遅番の為仕事が終わるのは0時だった。
そこから帰宅しシャワーを浴びてからは晩御飯を食べる気力なんてあるはずもなく、つまみを用意しては一人夜飲をする日々が増えた。
成人はしているものの、酒を呑む習慣が全くなかった上に名無しは体質的に酒にはめっぽう弱い。
アルコール度数3%のチューハイすら2本目で酔いが回る程だ。
だがそんな名無しが何故弱いのに酒を呑むようになったのかと言えば、それは間違いなく仕事のせいだった。
此処最近仕事の忙しさ。
去年と変わらず同じ職場に勤めているはずなのに、働き方が変わってしまったせいかストレスが溜まりまくっている。
言わずもながら現に酒を呑むのはそうやって現実から目を逸らすための現実逃避にしか過ぎない。
日が経つにつれて増えていく業務。
まともに自分の担当箇所に手を付けることが出来ず、何故か自分に関係ない箇所ばかりメンテを入れられているせいか思う様に仕事が出来ない。
入社した時はなかったはずの試飲接客すら毎日入れられ精神をすり減らす日々。
そんな状況だからこそ、現実逃避と言う名目で酒を呑む頻度が増えたのは言うまでもない。
呑まずにはやっていられない、それ位名無しの心に余裕などなかった。
やる事だけが増え一向に身体が休まらない上に働く時間が固定ではなくなってしまった為か身体が上手くついて行かない現実。
昔であれば多少の無茶は出来たが、今ではもう無茶をするよりも自分の身体を労わってあげる方が大事だと思う年頃だ。
遅番だって当初は週に一度の予定だった。
だが、最近遅番で入っていたアルバイトが突然音信不通となり飛んでしまった為、遅番の頻度がとてつもなく増えたのだ。
つまりは飛んだ人間の尻拭いをさせられているのが主たる原因である。
その為ここ最近の酒の消費量は半端なかった。
数缶と言えど酒に弱いせいもあり、最近は記憶が無くなるまで飲んでは気が付けば朝だったなんてざらにあるのだ。
勿論これでも次の日が休みの日の時だけは羽目を外す。
翌日仕事の場合は缶チューハイ1本で我慢しているが休みの日はそのタガが外れてしまうのは日頃のストレスのせいだと自分に言い聞かせていた。
(珍しく今日明日は休みだし二度寝しよ…)
そう、珍しく二連休なのだ。
限界が来てるのは今の名無し自身でも分かる程だったため、有休を無理やり入れては自力で手に入れた休み。
今日位はそのまま二度寝も悪くないと、寝返りを打ち二度目を決め込もうとした。
ふかふかの枕に頬を預け、瞳を閉じた。
…が、その瞬間数秒もせずに名無しの閉じた瞳は勢いよく開かれた。
(え、はぁ…え?ゆ、夢でも見てる…?!)
そう思う程あり得ない光景が名無しの瞳には映っていた。
起きた感覚はあるけれど、もしかしてまだ夢の中なのだと思ってしまうほどあり得ないのだ。
「すぅー…すぅー…」
名無し自身以外に聞こえる寝息。
家には名無ししか住んでいないし、誰か友達を呼んだ記憶だってない。
そもそも友達とすら呼べる人間が名無しにはいなかった。
自分で言ってて悲しくなるほどに、人付き合いが苦手なせいで友達なんて居ないのだ。
なら考えられるのはやはりまだ夢の中に居るのだろう。
名無しはそう思いながらも目の前の光景から目が離せない。
灰色の短髪に青灰色の肌。
余りにも整った容貌が名無しの瞳に映り込む。
閉じられた左目の辺りは青い稲妻が落ちたような模様が刻まれている。
一目見ただけで人間ではないと言う事が分かる程現実離れしているのだ。
「………ん…」
色気が溢れる寝息を零しては、ぴくりとその閉じられていた瞳がゆっくりと開かれる。
人間ではありえないような澄んだ発光色の水色の瞳。
その瞳が名無しを映し、そして認識をすればぽつりと言葉が紡がれる。
「なんだマスター…起きていたのか…」
寝起きのせいか掠れたような低い声。
まだ焦点はあっていないようであったが、それでもその瞳は名無しを映しては視線を外さない。
何度見ても、名無しはその男性に見覚えがない。
『お、お、お…』
「お?言いたい事があるならさっさと言わぬか?」
気だるそうに欠伸をしながらもゆっくりと上半身を起こす。
服は一応着ている。
けれども―――…
『お、おまわりさーーーーん!!!!!』
近所迷惑という言葉すら忘れ、名無しはただ叫んだ。
「で、思い出したかマスター?」
『………全く思い出さないし記憶にございません…』
あの後叫んではパニックになっていた名無しに、目の前にいる男性…否、神インドラは溜息をつきながらも名無しに説明してくれた。
インドラの言葉に名無しは全く記憶にないが、神の説明が正しいのであれば曰く不法侵入ではないらしい。
そもそも記憶にないが酔っ払った名無しがインドラを召喚したのだ神であるインドラは言った。
「召喚されなければこんな犬小屋のような場所に自ら望んで赴こうとは思わんだろ」と鼻で笑われてしまったのは解せない。
非正規雇用であり安月給なのだ、そんな良い所に住めるか!と言葉にしたかったがぐっと飲みこむ。
だって相手は神だ。
それはそれは宮殿なり大層な所に住んでいるのならそう思われても仕方ないだろう。
「契約の証として貴様の手の甲に印があるのが何よりの証拠だ」
『え…そんなものあるわけ…って、マジであるじゃん…』
言われるがまま名無しは自分の両手の甲へと視線を向ければ、インドラの言葉通り印がある。
右手ではなく、左手の甲にはインドラのマスターであることをを示すように形がよく分からない線対称紋章が刻まれていた。
どうやら本当に記憶にはないが目の前にいる神と契約を交わしてしまったようだ。
インドラ曰く、魔術回路を持っている人間の中でも魔術量は一般の魔術師に比べたら比べ物にならないほど高いらしい。
神であるインドラが「偶然とは言え
だがしかし名無しは生まれてこの方一般人として生きてきたのだ。
魔術師の家系でも何でもない。
一般人の中でも偶々魔術回路を持ち合わせ、なんなら魔術師よりも偶々魔術量が多いだけと言ったまさに偶々が重なっただけだ。
(マスター?サーヴァント?ナニソレオイシイノ?)
マスターだのサーヴァントだの説明されようが理解など出来ないし、訳の分からない言葉という認識に落ち着いてしまう。
一通り説明を受けても杏子は一般人だ、故に頭が追い付かずに頭を抱えてしまう。
そんな次元を超えたことがリアルに起きるか?!っと、心底思うしあまりにも現実離れしているのも要因の一つだ。
ちらりとインドラの方を見れば呑気に何処から出したのか分からないが椅子に座り頬杖をついては欠伸をしている。
(と言うか契約ってお互いの合意の元じゃないの?いくら私の魔力が高いからって言って相手は神様じゃん…)
酒を飲んで酔っ払い、召喚してしまった事には百歩譲って目を瞑ろう。
勿論何故酔っ払った挙句にそんな降霊術のような事をしてしまったのかと自分自身に問いつめたいが考え出したらきりがないし何より酔っぱらいのする事だ。
いくら自分がしでかしたこととは言え一旦置いておこう。
「そもそも何で召喚に応じてんのインドラ様…」
神であるがゆえに、一応敬称を付けてインドラの名前を呼ぶ。
自分のことを棚に上げ、そもそも召喚されたインドラもインドラだと名無しは思う。
インドラも酔っぱらっていたらしいがそれでも彼はほろ酔いだったと言っていた。
召喚してしまった杏子にも非があるが、召喚は必ずしも強制ではないだろう。
何度も言うが何故なら相手は神だから、それに尽きる。
拒否れなかったのか?と問えば、「ほろ酔いで気分が良かったからな、気まぐれで召喚に応じたまでだ」と言われてしまったては名無しは口をぽかんと開けてはインドラを凝視した。
(気分が良かったからって気まぐれで呼ばれるなーーー!!!)
ほろ酔いだったと言うならばまだ理性も考える思考も名無しより持ち合わせていただろう。
『何でよ?!拒否れよ?!』と思わずサーヴァントである前に神であるインドラに言いそうになったけど、流石に神に面と向かって言える度胸は生憎杏子は持ち合わせていなかった。
そんな名無しにインドラは椅子から立ち上がっては気だるそうに目の前まで来る。
身長が高いせいかベッドの上に座っている杏子の前に屈んでは指を這わせて顎を自分の方へと向けた。
澄んだ発光色の水色の瞳が、名無しの姿を映し出す。
あまりにも綺麗な瞳に、名無しはつい見惚れてしまった。
呼吸をするのすら忘れてしまいそうなほどに美しい色。
雷…だろうか?
稲妻のような色合いに引き込まれてしまう。
だがそんな杏子に、インドラはふっと笑みを浮かべては言葉を紡いだ。
「神の気まぐれで契約してやったのだ、ありがたく思え」
自然と口角を上げた笑み。
言葉を紡ぐことすら忘れ、名無しはただただそんなインドラに見惚れていた。
契約してしまった以上、仕方ないのだろう。
この日から、名無しと神様のありえない日常(同棲)生活が始まった―――…
選ばれた理由なんて、ただの気まぐれ
2025/08/26
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