名探偵コナン
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『ねぇ、聖』
「どうしたの名無し」
聖は後ろから名無しをぎっっと抱きしめていた。
本日の講義は既に終わり、大学は違うけれど時間が合ったので名無しの家に聖は遊びに来て居る。
名無しの家に遊びに来る時は決まって、ソファーに座り後ろから名無しを抱きしめては名無しから離れない。
恋人である聖はどうしてかは分からないが、思う存分名無しに甘えたいようだ。
『聖ってさ、何で朝の挨拶だけはメールで送るの?』
ずっと思っていた疑問を、名無しは聖に問いかけた。
近年では誰もがLimeと言うコミュニケーションアプリでお互い連絡を取る人ばかりである現代。
そんな現代にも関わらず、聖は何故か朝のおはようだけはメールを使う。
別に聖がLimeを使っていないというわけではない。
聖はスマホも持っているし、Limeのアカウントだって勿論持っている。
基本的に普段の連絡はほとんどLimeでおこなっているのだ。
にも関わらずに、朝起きた時に送られるおはようだけはLimeを使わずにメールを使う。
名無し自身メールでもLimeでもどちらでも嬉しいのだが、頑なにLimeではなくメールで送ってくる聖に対して名無しは不思議でならなかった。
メールなんて基本キャリアからのお知らせや新機種のご案内と言った物しか来ない上に、友達や親とのやり取りですらメールを使う事はなくLimeなのだ。
それなのに何故わざわざLimeではなくメールなのだろうと付き合って半年経った今名無しは聖に問いかけた。
「名無しはメールで送られるの嫌かな?」
『嫌じゃないよ?嬉しいし。…ただなんでだろうって不思議に思って』
そう、名無しにとってメール自体は嫌なのではない。
どちらかと言えば聖から送られてくるメールは嬉しく、名無しにとっては朝一番にメールが届いているのを待ち遠しく思っている程だ。
Limeの通知とは違い一目で聖からのメールだと気づくし、自分でも気づけるように聖の受信音だけは他のメールの受信音とは変えている。
メールを保護しては聖から送られて来たメールを時たま繰り返し読む。
おはようだけで終わるものもあれば、一言文章を添えてくれたり、風景の写真付きで送られてくるものも中にはある。
Limeの場合遡るかその部分だけをスクショしてフォルダー内で見るという事をしなければならないが、その点メールは一通一通で区切られており見返す事も造作もない。
読み返しては1人で頬を緩ませているのは聖には内緒の事だ。
知られてしまえばきっと引かれてしまうだとうと思ってしまうので聖には口が裂けても言う気はない。
「まぁ今時メールを使う人なんて稀だろうね」
聖は名無しを抱きしめたまま名無しの言葉に頷く。
お互い学生故にメールを使う機会は少なからずあるものの、それはキャリア自体のメールアドレスではなくGmailの方が主流である。
学友ですら電話番号は知っていてもメールアドレスを知っている人は少ないのだ。
それくらい聖だって分かっている。
分かっているのだが…とゆっくりと聖は言葉を紡ぐ。
「Limeだと、名無し僕が送った事気づかなかったりするでしょ?」
『うぐっ…それは…そうだけど…』
聖の言葉に名無しは心当たりがあるため目を泳がせた。
テスト期間やサークルの人とのやり取り、友達とのやり取りが重なればどうしても名無しは聖とのやり取りに気づかず返信できなかったりする。
トーク画面にピン留めしていても、通知が多すぎるとどうしてもトーク画面を開かずに通知で対応してしまうのも原因の1つだ。
基本その日のうちに返信はするものの、気づかなければ1週間ほど音信不通になってしまう。
そのせいで何回か聖に心配された事もあるのもまた事実なのだ。
その節は本当に申し訳ないと思うものの、あんなにも通知が重なる事は滅多にない。
普段はそれこそ聖としかやり取りをしないし、聖意外とやり取りしても本当に2、3人居るかいないかだ。
勿論公式のアカウントからのトークもいくつかくるが、通知事態を消している為そちらは問題ない。
『……まだ通知気づかなくて放置してた事怒ってる?』
「怒ってないよ。名無しがそれだけ話しやすいんだからそれくらいで怒る事はないけど…妬いちゃうね」
ぎゅっと名無しを抱きしめては、聖は苦笑する。
周りからは黄色い声を上げられもてはやされているはずのイケメンなのに、そんなイケメンでも妬く事があるのかと名無しは失礼ながら思ってしまった。
文武両道で顔も良いイケメン。
女性には不自由な事がないはずの彼でもそんな風に妬く事があるのだと名無しは思わず目を丸くする。
これだけ見目も頭も良いのだ、絶対的な自信があろう男なのだ。
焼きもちを妬く事も誰かに嫉妬する事も無いだろうと思っていたが、どうやら違うらしい。
『聖でもそんな事思ったりするんだね?』
「名無し、僕だって人間なんだから妬いたり位するさ…それに」
『それに?』
「名無しが朝一番に見るのが僕からのメールだって思うと…名無しを朝から独り占めしているような気になるからね」
そう言って名無しの耳元で囁くように言葉を紡ぐ聖に、名無しは耳の先まで真っ赤になってしまう。
吐息混じりの色っぽい声。
そんな声で言われてしまえば名無しの胸の鼓動は高鳴る。
『…っつ』
聖は意外にも独占欲が強い。
付き合った当初はそうでもなかったはずなのに、月日が経つにつれ目に見えて聖の名無しに対する独占欲は顕著になっていった。
傍から見れば重すぎる独占欲なのかもしれないが、それでも名無しにとってはその重すぎるほどの独占欲ですら心地が良い。
聖とは反対に名無しは至って平凡だ。
特別美人でもなければ特別可愛いわけでも多分ないだろう。
笑えば可愛い、人並みの容姿しか持ち合わせていない名無しからしたらイケメンである聖と付き合っている等夢でも見ているのではないかと今ですら思ってしまう。
だからこそ聖と違い自分自身に自信がない名無しからすれば、聖の独占欲はそんな自信の無さすら埋めてくれるのだから。
何も言わず俯き頬を染めてはにやけるのを必死に我慢する名無しに対し、返事が返ってこない聖は不思議そうに首を傾げて問う。
「それとも僕からの朝一のメールは名無しからしたら迷惑かな?」
『迷惑じゃないよ。聖からの朝一番のメール…すっごい嬉しいんだもん』
朝一番に送られてくるメールではあるものの、聖だって時間帯を気にして名無しにメールを送る。
そっとやちょっとの通知音で名無しが起きる事はない事位、当然聖は知っている。
聖のメールは何時送られて来たって迷惑なんて思わない。
何時でも送ってきて大丈夫と言ってたはずなのに、名無しに気を遣ってか名無しの起きる数分前にメールをくれるのだ。
そのメールが待ち遠しくて、名無しが普段よりも5分ほど最近は早起きするほどなのだから―――…
『聖』
名無しは聖に抱きしめられている腕の中で聖の方を向こうと身体の向きを変えようとする。
その事に気づいた聖は抱きしめていた腕を緩めては名無しと向かい合う形になった。
どうしたの?と聖が口を開こうとするよりも先に、名無しの身体が聖の身体に近づく。
座っているせいか身長差をほとんど気にする事なく、名無しの唇が聖の唇にそっと触れてはすぐさま離れる。
一瞬何をされたのか聖の頭は理解できなかったが、はっと我に返れば何をされたのか理解し「名無し?」と名無しの名を呼ぶ。
自分から口付けたにも関わらず、聖の目には先ほどから耳の先まで赤く染まった名無しの姿が若竹色の瞳に映った。
『何時もメールくれてるから…そのお礼』
「…お礼ならもう十分すぎるほど名無しから貰ってるよ」
耳の先まで赤く染まった名無しの顔を見て、聖は頬を緩める。
可愛らしいお礼だなと思いながらも、顔を赤く染めている名無しの姿を見れるだけで聖にとっては十分なのだ。
(君がいるだけで…僕の世界は色付いているんだから)
こんな言葉を口にしてしまえば、きっと名無しはさらに顔を赤くしてしまうだろう。
言いたいけれど言えない言葉を飲み込み、聖は真っ赤な表情の名無しに口付けを落とした。
キミが朝一番に見るのが、僕からのメール
(明日も、明後日も、その先も…ずっと名無しに僕からメールを送っても良い?)
(送ってくれなきゃ、私から聖にメール送るだけだもん。私だって朝一番に聖に見て欲しいもん)
(…っつ)
2024/12/16
お題サイト様:確かに恋だった様
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