ヴァリアーさん家の仔羊?さん
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『ただいまー、スク!』
「う"お"ぉぃい!!何処行ってやがったんだリーノ?」
気晴らしの散歩から屋敷に戻って来るなり、スクアーロが大きな声でリーノを出迎えた。
普段はその声が大きすぎてうるさいとすら感じるリーノではあったが、この時ばかりはその声すらも出迎えてくれた言葉が嬉しくてつい頬が緩む。
『散歩だよ、気晴らしに…そんで拾い物してきたよ!』
「すぐさま元の場所に戻して来い!」
『えー、何で?』
「何でもだぁ、リーノが拾ってくるもんはほとんど変なもんじゃねぇーか!!」
『そんなことないし、ねぇータマ?』
扉の所で隠れているタマに向かってリーノは言った。
するとタマと呼ばれたそれが、のそりと出てきてリーノの方へと全力疾走で寄ってくる。
(あぁ、なんて可愛いんだろうな)
と思いながら、リーノは両手を広げタマが飛び込んでくるのを待ち構えた。
タマと呼ばれたそれはリーノの両手の中へ飛び込む。
そんなリーノの隣で、スクアーロは顔色を真っ青にして信じられないものを見ているような目でタマを見る。
「う"お"ぉぃいいいい!?何やってんだリーノ!?タマってそいつ…熊じゃねぇーかぁぁああ"あ"!!!」
『そうだよ?熊だからタマって名前だよ?』
「普通タマって言えば猫だろうがぁぁああ"あ"!!」
『そんな常識は私が破るし』
ドヤ顔でそう言いながら、全力疾走して飛び込んできたタマの頭を右手で抑えながらリーノはスクアーロの方を見る。
抑えられたタマは前足と後ろ足を走らすのを止めない。
『あれ?タマ反抗期かな~?』
「う"お"ぉぃいいいい!?リーノそんな事言ってる場合じゃねぇーぞ!そいつを今すぐ元居た場所に戻して来い!!つーか何処に散歩に行ってんだぁ!?」
『えー、ちょっと山の方まで散歩行って来ただけだし。それにタマは私が飼うの!!!』
「何言ってやがんだリーノ!!頭食われてんぞ!!!」
『タマの愛情表現だよ!?』
「そんなもん愛情ですらねぇーよ!!」
ガジガジと頭をたまに甘噛みされながら、リーノはタマの頭を撫でる。
ベスタ―までとはいかないが、タマもタマでそれなりに毛並みはいい。
きっといい物を拾い食いして生活して来たんだろうと呑気に思いながらリーノは頭を撫で続けた。
だが実際は甘噛み所か血が出るほど全力で熊…タマはリーノの頭にかじりついているがリーノは気にしない。
『ねぇーいいでしょ、スク、タマ飼っても?』
「駄目だ、駄目だ。リーノ、お前そのうちそのタマに殺されるぞ!?」
『やだなースクったら…女の子だから平気だよ?』
「どんな理由だ!?寧ろ女なら確実に死んでるに決まってんじゃねぇーか!!」
スクアーロにそう叫ばれつつも、リーノはタマの頭を撫でている。
タマはタマで未だリーノの頭を甘噛みしている。
リーノはそんなタマを気にせずぎゅっとタマに抱き着いた。
抱き着いてみるとタマの毛並みがとても気持ちよく、そして何より温かい。
『ちゃんと責任もって飼うからさ…躾もちゃんとするし』
真剣な眼差しでスクアーロを見つめながらリーノはそう言葉にする。
スクアーロは心配そうな表情をしながらも「ぜ、絶対だぞぉぉおおお!!」っと熊、もといタマを飼うのに渋々頷いた。
リーノはスクアーロの言葉に『うん!』っと、大きく頷きタマに抱き着いた。
数日後、リーノはスクアーロと一緒に食堂でご飯を食べていた。
食堂にはリーノとスクアーロの2人の姿しかなく、他のヴァリアーメンバーはそれぞれ任務のため他には居なかった。
本日のお昼ご飯はデミグラスソースのかかったハンバーグ、トマトの乗ったサラダにスパゲッティー。
パンはフランスパンで綺麗に切られている。
リーノはフォークで切り分けながらハンバーグを一口口の中に入れる。
肉汁溢れるジューシーさ、じっくりことこと煮込んだデミグラスソースが口の中に広がる。
バターでじっくり炒めた玉ねぎがこれまたいい味を出している。
「おい、リーノ」
『ん、何スク?』
向かいに座っているスクアーロが一口ハンバーグを食べながらリーノに声をかける。
先程まで静かだった食堂で、スクアーロの大きな声が響き渡った。
「熊…タマとは上手くやってんのか?」
『あぁ~…タマならもう居ないよ?』
一体何時の話をしているの?とでも言わんばかりにリーノはきょとんとスクアーロを見る。
「おまっ…ちゃんと責任もって飼うって言っただろーが!?」
『だって飽きちゃったんだもん。…それに…』
「それになんだぁ?」
リーノの言葉にスクアーロは首を傾げて問う。
その仕草で長い銀髪の紙がさらりと肩から流れ落ちていく。
リーノは美味しそうにまたハンバーグを一口サイズに切って、自身の口内に放り込む。
『それに今スクが食べてるご飯の中にタマいるし』
「え…」
リーノがさらりとそう言うと、スクアーロは機会でもないのにギギギッと首を自分が今食べているお皿の方へと向けた。
スクアーロの表情は見る見るうちに青くなっていく。
そんなスクアーロに見向きもせず、リーノはまた一口と美味しそうに食べていく。
「う"お"おぉぉおおいいい!?まさか…」
持っていたフォークとナイフをスクアーロの手から落ちたと同時に、スクアーロは今までに聞いた事のない位大きな声で叫んだ―――…
ペットは責任を持って最後まで飼いましょう
(ねぇ、スク今度はポチを拾って来たよ~!)
(……今度は何拾って来やがったんだ…)
(えっとね、今回はなんとアルパカだよ!)
(う"お"ぉぃいい!!いい加減にしろぉぉおおお!!)
(何でよ?)
(また食べるつもりだろぉーが!!!)
(何で分かったの!?)
2024/08/07
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