ヴァリアーさん家の仔羊?さん
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「なぁ、リーノって何歳だよ?」
『ふぇ?』
ルッス―リアに晩御飯の味見してと言われ味見用に貰った鶏の照り焼きを食べていると、不意に後ろからベルがそう問いかけた。
ベルの手にはベル愛用のナイフが握られており、リーノの首筋に血が出ない程度に当てられる。
金髪の髪付けられているティアラがキラリと光、目元が前髪で隠れているせいかどんな目をしているのかはっきりと見えない。
口元は何時もの様に「ししし」とまるで御伽話に出てくるチェシャ猫の様に笑っている。
だがベルの言葉を無視してリーノは手元にある鶏の照り焼きを、また一切れ頬張った。
今のリーノはベルに構っている暇など微塵もない。
ただ冷めないようにルッスーリアお手製鶏の照り焼きを食べたいのだ。
もぐもぐと咀嚼し噛めば焼き加減の良い鶏もも肉から肉汁が溢れ、に甘辛いタレが絶妙に合う。
「ししし、無視かよ?」
『無視じゃないし、ただベルの質問なんかよりも目の前の照り焼き食べる方が私によっては重要なだけだよ』
「質問なんてすぐ答えられるだろ?アホじゃないんだからよ」
『…って、何で年齢?』
話しながらご飯を食べるのは行儀が悪いと分かっているが、そうでもしなければリーノは鶏の照り焼きを食べる所かベルと一戦交えそうな予感がし、仕方なく喋る。
本当は会話などせずにルッスーリアお手製の鶏の照り焼きを味わいたいのに…と心の中で愚痴りながらベルの方へと身体を向けた。
『別に年齢なんて良くない?』
「良くないって問題じゃねぇーから」
『だって女の子はある程度の年齢が来たら永遠の16歳になるんだよ?』
「その理論はまじでねぇーからな?脳内お花畑かリーノは」
そう言いながら悪態を付くがベルは真顔でリーノにツッコむ。
「だってリーノって見た目10代にしかみえねぇーけどそれはありえねぇーしな」
『まぁ、そうだね。ベルが入隊した頃にはルッス姉の所の隊にもう居たし』
ベルが入隊したのは8歳だ。
ヴァリアーの中で最年少で入隊した少年の話を、リーノだって知っている。
「だから正確な年齢教えろ。お前10年前から何も変わってねぇーし、歳わかんねーし」
『女の子に歳聞く時点でダメだろ』
「え、お前女だったの?」
『失礼だな!?ベル絶対女の子にモテないやつだ!!』
「リーノよりはモテるよ俺?だって俺王子だもん」
懐からフォークを取り出しベルの方へ投げるが、ベルはひょいっと軽々とリーノの投げたフォークを避ける。
リーノ自身フォークを投げる事なんてないためコントロールが悪いのもあれば所詮はナイフだ。
ベルが使う切れ味のいいナイフとは違い、カランと音を立てて床に転がる。
「ししし、だからさっさとリーノは年齢ゲロっちまえよ」
『ん~…私って何歳かな?』
「俺が知るわけねぇーだろ」
『えー、知ってろよ』
「知らねぇーから聞いてんだろ!?」
再度リーノにツッコみを入れるベルはあからさまに大きなため息を一つつく。
「はぁー…リーノと話していると疲れるわ」
『私はそうは思わないけど…あ…でも』
「でも?」
リーノの言葉にベルは首を傾げリーノを凝視する。
ベルの表情はどこか疲れ切っており、まさか年齢を聞いただけなのにこんなにも時間を取られるとは思っていなかったのだろう。
それでも何だかんだで最後までリーノの話に付き合ってくれる辺り生意気だけど優しい子なんだなとリーノは思った。
お皿の上に残っていた鶏の照り焼きをフォークでぶっ刺し、リーノは小さな口を大きく開ける。
『私…一応ベルよりかは年上だから』
言い終えると同時に最後の鶏の照り焼きを口の中に頬張り、リーノの口の中には甘辛いタレの味がまた広がっていく―――…
年齢不明
(それまじで言ってんの?)
(うん、一応ベルよりかは年上)
(じゃあ詳しい年齢は?)
(知らねぇーし)
(うわ、何それ?秘密主義?)
(否、私自身覚えてないだけ)
(まじで?)
2024/08/05
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