ヴァリアーさん家の仔羊?さん
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あ~…美味しそう』
「リーノセンパイ何読んでるんですかー?」
談話室のソファーで寝っ転がり涎を垂らしているリーノを見ながら、先ほどまで任務に勤めていたフランが話しかける。
手に持っている書類は先ほどの任務についての報告書だろうと安易に受け取れる。
「で、リーノセンパイ何読んでるんですかー?」
『んー…世界の羊大百科』
「リーノセンパイそれ共食いですよー?」
『何で?』
「自分の外見鏡みて考えてみてくださいよー」
そう言いながらフランは寝っ転がり涎を垂らしているリーノを見やる。
赤い瞳の色は置いといて、リーノの髪型はいわゆる天然パーマでふわふわとしている。
毛先が跳ねているものの触り心地はリーノの従姉妹曰く良いらしい。
血の気の多いヴァリアーにしては珍しく温厚な部類である。
また髪型も性格も相まってか、連想されるのが羊なのだ。
呆れた表情でフランはリーノを凝視するが、リーノはそんな事気にせずにページを捲っては『あ、この子美味しそう~』とか『良い肉付きしてる~、…ジュルッ』等と独り言を言うので余計ドン引く。
「兎に角、その本を読むの止めてくださーい。こっちが気分悪くなるんでー」
『え~…可愛い後輩の頼みだから仕方ないな~…じゃあこっち読むか』
そう言ってリーノは世界の羊大百科を渋々しまい、代わりにソファーの上にもう一冊おいていた世界のカエル大百科を手に取り表紙を開く。
ページ数三六五ページあり、中身は全てフルカラー。
日本円にして一万円もする代物だ。
リーノは買い物サイトで見つけ購入したが、我ながら良い買い物をしたと思っている。
ペラペラとページを捲っていく度に、リーノの瞳は輝く。
そんなリーノを見ればフランは頭を抱えたくなった。
『見て見てフラン、美味しそうだよ!』
「リーノセンパイ病院行きましょうかー」
『何で?何処も悪くないよ?』
「ミーからしかた異常すぎます」
『えーそうかな?』
「そうですよ」
そう言いながらフランは大きな溜息を一つつく。
溜息を付くと幸せが逃げるよ?なんてリーノはフランに言おうとしたが、きっと馬鹿にされるだろうと思いその言葉を飲み込んだ。
『あ、そう言えばさ』
「何ですかー…」
ふと、何かを思い出したかのようにリーノは呟く。
また何か良からぬことを言うのではないかと思いながらも、一応先輩に当たるリーノに対して何気なくその言葉にフランは返事をしてしまった。
その結果、返事をした事を後悔する事も知らずに―――…
『カエルってさ、鶏肉みたいなz氏がするって言ってたけど本当かな?』
「リーノセンパイ何ですかそのフォークとナイフは」
言葉を発しながらリーノは制服の懐からいつも持ち歩いているフォークとナイフを取り出し、フランにそれを向ける。
相変わらず無表情ではあるものの、それでもフランは無意識に瞳を大きく開く。
それもそのはずだ、今フランは目の前にいるリーノを警戒しているのだから。
『フランもカエルの仲間だよね?』
「断じて違いますー」
じりじりとにじり寄るリーノに、それに合わせて後ずさりするフラン。
だがトンッと、フランの背が壁に当たり後ろには逃げられない状況になればより一層リーノの瞳は獲物を借る狼の様に鋭くなる。
『ねぇフラン、一口食べていい?』
「ミーは食べても美味しくありませんよ?!」
『物は試しって言うよね?』
「普段馬鹿なくせにこんな時だけ賢くならないでくださーい」
『そんなの知らないし、いただきまーす!』
「ゲロッ!?」
手にはフォークとナイフを持ったまま、涎を垂らした仔羊の皮を被った狼であるリーノは、フラン目がけて襲い掛かる。
フランも流石に身の危険を感じ、襲ってくるリーノを上手く避け逃げ出した。
そしてその日、ヴァリアーの屋敷内では盛大にリーノとフランによる盛大な追いかけっこが行われたのだった―――…
近くにあるのは非常食
(ガブッ)
(ゲロッ?!)
(……あんまり美味しくないね…ペッ)
(所詮被り物ですからー。…センパイ被り物が涎でベトベトなんですけどー)
(気にしないでよ?涎も滴るいいカエルになってるよ?)
(…嬉しくないですー)
2024/08/03
5/12ページ