ヴァリアーさん家の仔羊?さん
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『フラン、スク!おやつ食べよ~』
ルッスーリアからもらった今日の市販のおやつとスプーン3つを持って、リーノは談話室へと入っていった。
渡された市販のおやつはヨーグルト(3個入りのジャポーネに売っている物)で、フルーツミックス味と表面に書かれている。
談話室には書類仕事が恐ろしいほど似合わない剣士であるS・スクアーロと、めんどくさそうに書類を順番に整理するカエルの被り物を被ったフランの二人の姿が合った。
「…リーノ、少しは空気読めよぉ」
「リーノセンパイはKYですかー?」
談話室の扉を開けリーノの姿を見れば、二人同時にリーノに言葉を投げる。
それもそのはずだ、この談話室で書類仕事をしているから入るなと早朝伝達があった。
あまりの書類の多さにスクアーロの機嫌は悪く、またフランも同じように表には出していないが機嫌が悪いのは見ればわかる。
だがリーノには自分自身に関係ない他人への気遣いなどこの二人に対しては皆無なため二人に対して『リーノに対する言葉酷くない?』と首を傾げながら目をパチパチと瞬かせる。
『空気読めとかKYとか言われたらちょっと傷つくんだよ?』
「じゃあ俺たちが早朝伝達したはずなのに何で談話室に来るんだよ?」
『ルッス姉に3人で食べてねって言われたもん。それに…』
「それに?」
『それに空気は読むものじゃなくて吸うものだよスクアーロ!!』
「…うお゙ぉ゙い、間違っちゃいねぇーがもう少し考えろよぉ」
呆れながらスクアーロがはぁと溜息を付きリーノに再度視線を向ける。
独立暗殺部隊ヴァリアーの制服を着ているはずなのに、それに似つかないほどの存在感のヨーグルトとスプーン3本。
傍から見れば本当に彼女は独立暗殺部隊ヴァリアーの一員…しかも幹部なのかと疑ってしまいそうな装いだ。
一体何歳の子供だろうと言われてもきっとおかしくないだろうと思うとスクアーロは頭を抱える。
「…ミー達は後で貰いますからリーノセンパイは他所で一人で食べてくださいー」
『うお゙ぉ゙い!それは無いでしょ!!』
「うお゙ぉ゙い!何さらっと俺の言葉使ってんだリーノ!!」
『ケチケチすんなって、髪の毛抜けるぞ?』
「抜けねぇーよ」
スクアーロはそう言いながら先ほど座っていた場所から一気にリーノの所まで来て頭を叩く。
力加減をしていないせいか、リーノは痛そうに涙を浮かべる。
一応これでも女の子なはずなのにと思いながら『痛い…』とポツリと呟いた。
「お前が空気読まねぇーのが悪い」
「そう言う所がKYなんですよー」
そう言ってスクアーロは再度自分の居た場所まで戻り再度書類に視線を戻す。
無論フランも同じように先ほどまでしていた自分の仕事に取り掛かる。
頬を膨らませ不貞腐れた表情でスクアーロを睨むものの、彼は目の前の書類から目を離さない。
『むー、乙女に何て事を…』
「本当の乙女に謝れ」
「リーノセンパイは乙女って言うよりクソガキの間違いじゃないですかー」
スクアーロもフランも好き放題言っているのに腹が立ち、リーノは談話室のソファーに座り一人でヨーグルトを食べようとする。
新品故にラップで丁寧に包装されているヨーグルトをまずは自分の分を取り出そうとするものの、ラップがなかなか剥がれず何度もカリカリと爪を立てる。
だが昨夜爪を切ったばかりのせいか短くなってしまったリーノの爪ではどう頑張ってもラップをはがす事が出来ずに無駄にカリカリカリカリと音を立てた。
『う~…開かない』
「リーノセンパイ不器用ですー」
「それぐらい開けろ」
『う、うるさい。今開けてるじゃん』
「遅いですよ~…開けるの」
「開けるのに時間かかってどーすんだよ」
思い思いに言葉を口にするフランとスクアーロ。
何度カリカリと無い爪を立てながら剥そうとしても剥がれる気配は全くない。
こういう時にこそどちからが早々に開けてくれればリーノは早く食べられるのにと思うものの…書類仕事優先の二人は絶対に開けてくれない。
『スクアーロ、ちょっとそのお腰につけた剣貸してくれない?』
「これはそんなくだらねぇーもん開けるためのもんじゃねぇーぞリーノ!!」
『チッ…』
良い案だと思ったがスクアーロに拒否られてしまっては仕方ない。
どうしたものかと考えるが、次の瞬間…
(あ、そうだ…最初からこうすれば良かったんだ…!)
何かを閃いたようにリーノの顔は満面の笑みを浮かべる。
私って天才じゃない?とでも言わんばかりに鼻歌を歌いながらリーノは持っていたスプーンを一つだけ手に持ち、スプーンの持ち手を逆さにしそのままヨーグルトのラップめがけて突き刺す。
パンッっと、小さな音が談話室に鳴り響き、書類に視線を戻していたスクアーロとフランは驚き勢いよくリーノの方へと視線を向けた。
「うお゙ぉ゙い!何やってんだよ!?」
書類の紙が擦れる音とリーノとスクアーロ、フランの声しか先ほどまでなかった談話室に響く騒々しい音。
スクアーロの言葉にきょとんとしながらリーノは素直に答える。
『何って、開けただけだよ?』
「…餓鬼の開け方ですかー」
『いいじゃん、開かないこれが悪いんだもん!!!』
そう言って持っていたスプーンの柄で何度もラップに穴を開ける。
一か所穴を開ければ後はそこから裂けばいいだけのはずなのに、リーノは何度も何度もラップにスプーンの柄で何度も突き刺す。
談話室には似つかわしいラップが破れる音だけが、虚しく辺りに響いたのであった―――…
大切なのは中身ですから
(あ、これ美味しい)
(ミーはリーノセンパイが本当に幹部なのか疑いたくなってきました~)
(その意見には同感だ)
(二人とも何か言ったー?)
2024/08/02
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