ヴァリアーさん家の仔羊?さん
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『ねぇーボスー…』
「……何だリーノ」
ボンゴレの独立暗殺部隊ヴァリアーが根城にする屋敷。
その長であるXANXUSが書類仕事をする執務室にて、リーノはXANXUSが所有する匣兵器であるベスタ―と戯れていた。
正式名称「天空嵐ライガー」、通称ベスタ―は大空ライオンだ。
二本足で立てばリーノよりもその背は大きく、甘えているのかリーノに上に乗りかかる。
ざらつきのある生暖かい下でペロペロとリーノを舐めるべスターに『私舐めても美味しくないよー?』といいつつも、ベスタ―のふわふわした毛並みから手を退ける事が出来ずに戯れる。
ライオンと言えどリーノにとってはただのネコ科の動物にしか見えないので、可愛いと思う気持ちが勝ってしまう。
XANXUSはよくベスタ―を匣から出して自由にしているせいか、モフりたい時にリーノはこの執務室にお邪魔して無許可でベスタ―と戯れる。
『ボスー、私お腹すいたー』
「ルッスーリアにでも何か作ってもらえ」
『ルッス姉は今任務中だよ~』
「だったら他の奴に頼め」
『今屋敷内に私とボスとベスタ―しかいないよ?』
ベスタ―のふわふわな毛並みを撫でながら、リーノはXANXUSに言った。
XANXUSはそんなリーノを気にせずに舌打ちをしながら書類を捲る。
カサリと書類の擦れる心地いい音が聞こえ、音の方を見れば珍しく真面目に書類仕事をしている。
XANXUS曰く、書類仕事なんかよりも暴れる仕事の方が好きなのだが普通の幹部ができる仕事ばかりの為、最近は執務室に引きこもってずっと書類仕事ばかりのようだ。
リーノ自身も書類仕事よりXANXUSと同じく暴れまくる方が好きなのである意味この書類仕事は拷問に近い。
だからこそそんな書類仕事から逃げるようにリーノは溜まりに溜まった有給を消化している最中なのだから。
…だが、書類仕事をしなくていい事にはなったが有休期間中はあまりにも暇すぎた。
ヴァリアーの誰かが構ってくれるだろうと思っていたが皆仕事で誰も居ない。
普段構ってくれる従姉妹の所に行こうとしたが、あいにくとそちらも遠方の方で出かけているので結局リーノは暇を持て余していたのだ。
幸いにもXANXUSだけは屋敷の中に居る事を把握していたのでリーノは遊びに来て今に至る。
ただ書類仕事をしているのではしゃいだり暴れたりが出来ず、大人しく隅の方でベスタ―と戯れてはいるが…。
はぁ~、っと溜息をつくとべスターは慰めるようにペロッと舐める。
そんなベスタ―にリーノはぎゅっと抱き着きながら小さな声で『ありがとー』と呟いた。
『それにしても誰も構ってくれないから暇だよ~、ベスタ―』
「GAA」
『お腹もすいたしお腹と背中がくっきそうにもなるよ~』
「GAA」
『べスターは賢いよね~』
「GAA」
そんな会話として成り立っているのか、はたまた都合よくそう解釈をしながらリーノはベスタ―の頭をまた撫でる。
ベスタ―はそれが気持ちいいのか、もっとと言わんばかりにリーノの方に頭を擦り付ける。
(甘えているベスター可愛いな~)
そう思いながら優しく擦り付けられるベスタ―の頭を撫でれば、ベスタ―はうっすらと目を瞑りうとうとと頭がゆっくりと下がり始める。
これは後数秒で寝てしまうだろうと思ったその瞬間…XANXUSが匣の中にベスタ―を戻した。
戻されたせいかリーノの手は行き場を失いその場に下ろされる。
『ボス―、何でベスタ―戻しちゃうんですか?』
「うるせぇー…後リーノ」
『はい?』
急に名前を呼ばれ、リーノは思わずXANXUSの方へと振り向いた。
先程まで手に持っていたはずの書類をデスクの上に放り投げ、ゆっくりと立ち上がりリーノの方へと近づく。
「リーノ…てめぇ今休暇中だろ」
『そうですね、正確には有給休暇ですけど』
どれがどうしたのだろうか?そう思いながらじっとこちらに近づくXANXUSを見ながら首を傾げる。
コツ、コツと音を立てリーノが地べたに座っている場所までくれば、その場にしゃがみリーノと視線を合わせる。
お互いの赤い瞳が、ぶつかり合いその瞳にお互いの姿が映りだされている。
(いつ見てもボスの瞳の色は綺麗だな~)
同じ赤い瞳の色のはずなのに、リーノよりも濃く、鮮明な赤にリーノは魅入ってしまう。
ぼんやりとそう思っているリーノの頬を急に横に思いっきり引っ張りながらXANXUSは言葉を発した。
「休暇中なら名前で呼べと言ってるだろーが」
『いひゃい、いひゃいれふぼふ(訳:痛い、痛いですボス)』
リーノの頬を伸ばしては戻し、また伸ばして…そんな柔軟な頬を見てXANXUSはふと昔みた物とそっくりだなとつい呟いた。
「それにしても良く伸びるな…。ジャポーネで言う餅みたいだな」
『ひゃっつ?!(訳:なっつ?!)』
「さっさと名前で呼べカスが」
リーノの頬をひっぱっていた手を離しXANXUSは笑う。
あまりにも優しくXANXUSらしからぬ表情に、リーノは思わずドキッとしてしまった…不覚にも、だ。
十年前なら絶対ありえない光景だなっと思いながら、リーノはひっぱられた頬を擦る。
まだじんじんと痛みがあり、鏡を見たわけでもないが絶対赤くなっているんだろうと思う。
こういう時のXANXUSは手加減しているようでしていない、否彼からしたら手加減をしていると思っているのだろうが実際される身では手加減と言う言葉は無いに等しい。
『ボ…XANXUS痛い…』
「はっ、約束守らねぇーリーノが悪い」
『え、私のせい!?』
驚きの余りそう叫ぶリーノを無視して、XANXUSはそっとリーノの頭に手を置く。
まるでベスタ―を撫でるように、不器用ながらわしゃわしゃと撫でる。
大きなXANXUSの手はまるで従姉妹の手と同じように温かく優しい。
「おいリーノ珈琲淹れて来い」
普段ならテキーラやウイスキーを好むXANXUSも、仕事中故に珈琲を所望した。
『何で私が…』
「お前しか屋敷にいねぇからな」
『私はXANXUSのお茶係じゃないよー!しかも有休中!』
「…ルッスーリアが帰ってきたら直ぐリーノ用に料理を作らせてやる」
『約束だよ?!喜んで!!!』
空腹のせいかXANXUSの提案はあまりにも魅力的で、リーノは即答した。
案の定XANXUSの言葉に舞い上がり、リーノはすぐさま立ち上がり珈琲を淹れに食堂の方へ出て行った。
リーノの居なくなった執務室内はしんと静まり返り、先ほどまで賑やかだったことがまるで嘘のようだった。
「ったく、こうでもしねぇーと名前で呼ばねーからな…」
そう呟きXANXUSは再び書類へと視線を落とす。
自分自身が薄く笑みを浮かべているとは露知らず―――…
名前を呼ぶにはたった一つの言葉で
(ボ…XANXUS淹れてきたよ!ちなみにご飯で使われる肉は?!)
(あぁ、お前の好きなラム肉だ)
(うひょぉぉおおおおお!宴じゃぁぁぁあああ!!)
(フン、現金な奴だな)
2024/08/01
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