不器用な恋
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『ねぇ、まだ?』
「後少し辛抱しろマリア、そろそろ帰ってくる頃だ」
リボーンに「マリアも見てけ、俺の生徒をな」と言われ早数時間程時が経とうとしていた。
その間あまりにも暇すぎるマリアは机の上に出しっぱなしだったリボーンの生徒の持ち物であろう教科書の問題を全て解き終え、暇そうに椅子の上に座っている。
リボーンはと言えば問題を解き終えたマリアの書き込みがされている教科書を見ながら「流石だな」と教科書を捲る。
ディーノとロマーリオは今後の予定の打ち合わせをしているのか二人で話しているのでマリアは邪魔をせずにただただリボーンに言葉を紡ぐ。
『そう言えばリボーン、ボンゴレ十代目ってどんな人?』
会った事も見た事もないボンゴレ十代目について、マリアはリボーンに問う。
マフィアに属していないマリアにとって普段なら気にも留めない事なのだが、今回はリボーンに見て行けと言われた手前多少興味が湧く。
教科書にも書いているがまだ中学ニ年生、マリアからしたら十分子供だ。
「一言で言えばディーノだ」
『あ~……へなちょこ?』
「否、駄目駄目な奴だな」
「おいおい、何でそこで俺が出てくるんだよ?!」
打ち合わせを中断し、ディーノがマリアとリボーンの会話に入ってくる。
ロマーリオと打ち合わせをしつつマリア達の会話に聞き耳を立てていればまさかの自分の名前が出た事に居ても立っても居られなくなったのようだ。
「お前に似ているからだぞ。寧ろ兄弟って言われても納得いくかもしれねーぞ」
外見が…ではなく中身の事を言えばディーノはバツが悪そうに「そこまで言うなよ」と口を尖らせる。
無論マリアはその言葉に『でも事実なんでしょ?』と、追い打ちをかけた。
そんな哀れなディーノを見ながら、ロマーリオは苦笑する。
師の前でもあり、幼馴染の前ではキャバッローネ・ファミリーのボスである前にディーノはただの一人の男にしか過ぎない。
(あの二人の前じゃ我らがボスもまだまだだなぁ…)
ロマーリオが懐かしそうに過去を重ねディーノを見ていると、「ただいまー」っと、元気な少年の声がマリア達のいる二階にまで聞こえた。
どうやらお待ちかねのボンゴレ十代目が帰って来たようだ。
『帰って来たの?』
「あぁ、多分すぐに来るぞ」
リボーンの言葉通り、階段を上がる足音がいくつか聞こえてくる。
一人…否、ニ人。
一人はお待ちかねのボンゴレ十代目の物だろうが、残り二人の足音が誰の物かマリアには分からなかった。
ガチャリとドアノブが回る音と共に、部屋の中にいた者は皆ドアへと視線を向ける。
ゆっくりと扉が開かれれば、そこにはニ人の少年が居た。
気の弱そうな少年と、煙草を咥え目つきの悪い少年が視界に映る。
「ただいまリボーン…ってディーノさん!」
「よっ、ツナ元気にしてるか?」
「あ、はい元気ですけど…そっちの人は?」
ツナと呼ばれた気の弱そうな少年がボンゴレ十代目のようだ。
マリア以外面識があるのだろう。
そのせいかツナは不思議そうにマリアを見ているし、煙草を咥えた少年は「十代目もしかしたらコイツもマフィアかもしれません、下がっててください!!」と言いながらどこからともなくダイナマイトを取り出し警戒する。
面識のないマリアが居れば警戒しボスを守ろうとするその姿勢はマフィア界では正解である。
『初めまして、ボンゴレ十代目』
椅子に座ったまま、マリアは言葉を続ける。
『マリアよ、ディーノの幼馴染。よろしくね?』
「え、ディーノさんの幼馴染?!」
「って事はやっぱりこいつもマフィアじゃ「ちげぇーぞ」」
獄寺の言葉をリボーンが遮る。
「マリアはマフィアじゃねぇーぞ、ただの科学者なだけだぞ」
「「は?」」
リボーンの言葉に、ツナと獄寺の二人の間抜けな声がハモる。
『そうよ、と言ってもフリーの科学者だから依頼があればマフィアだろうが引き受けるけどね』
そう言うとぽかーんっと口を大きく開けツナも獄寺も何度も瞬きをする。
まるで信じられないようなものを見たかのように、獄寺に至っては納得がいかないのかマリアに指差しながら「ちょっ…待ってくださいよリボーンさん。こんな俺たちとほぼ年齢変わりそうにない女がですか?!」と声を上げる。
『誰がよ、あたしはこう見えてもお前みたいな奴より年上だ!!!』
獄寺の言葉が癇に障ったのか、マリアは懐から銃を取り出し向けようとするが、すかさず後ろからディーノに羽交い絞めにされて撃つのを阻止される。
近くに居たロマーリオも同じくマリアを止めようと必死にマリアを宥める。
「お、落ち着けってマリア!良かったじゃねぇーかよ若く見られて…」
『嬉しくないわよ、あたしは二十二歳だ!!!』
「まぁまぁお嬢、落ち着きましょうぜ」
「相変わらずだなマリアは…」
はぁっと、大きくため息をついたリボーンにマリアを苛立ちを感じつつも己の怒りを抑えつつ銃を下ろす。
『で、あんた達は…?』
「俺は十代目の右腕獄寺隼人だ」
「えっと…沢田綱吉です、よろしくお願いしますマリアさん」
「これがダメツナだぞ、通称ツナな」
「ダメツナ言うなよ!!!」
リボーンに叫びながら言うものの、マリアを前にぺこりとお辞儀して礼儀正しくツナは挨拶をする。
そんなツナを見て、マリアは思わず椅子から立ち上がりツナの元へ行けば肩をがしっと掴んだ。
どうしようもない気の弱さ。
おどおどろしながら震えながらも言葉を交わすツナを見て、マリアは確信した。
『ねぇ、君ボンゴレ十代目なんて辞めてあたしのモルモット…助手にならない?!』
「い、いえ遠慮しときます」
両手を左右に振り、(な、何言ってんのこの人!?)とツナは丁寧に辞退する。
『遠慮なんかしなくていいからさ、是非あたしの助手に…』
「無理だろ!」
『痛い…何で叩くのよ?!』
「ボンゴレ十代目だぞお前分かってんのか!?」
『知らないわよ、この世はあたしがルールよ!」
(じゃ、ジャイアニズム来たーーー!!!)
マリアとディーノが言い争う中、ツナは一人心の中でツッコミを入れる。
「マリアお前のもろモルモットタイプだとしてもツナはダメだぞ、これでも一応ボンゴレの次期ボスだからな」
『…チッ、残念』
リボーンの言葉に舌打ちしながらマリアは心底残念そうな表情でツナを見る。
彼をモルモットに出来ればどれだけ楽しいだろうと…マリアは想いを馳せた。
そんな事を考えられているとは露知らず、ツナは(この人マフィアより質悪いよ…)と思いながらマリアから視線を逸らした。
2024/08/31
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