不器用な恋
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※【ロマーリオside】
「ボス此処に居たのか」
「どうした、ロマーリオ?」
ガチャリと言う音と共に、ロマーリオはディーノが居る部屋へと入って来た。
その部屋はもともと客室ではあるものの、マリアが泊まりに来る時や体調を崩した際に強制的にキャバッローネ・ファミリーの屋敷で面倒を見る場所として使われるため実質マリアの部屋のようなものだ。
室内にはベッドでマリアが眠っており、その傍で椅子にディーノは腰掛けている。
既にディーノが目を覚まし、三日が過ぎていた。
目を覚ましたその日のうちはロマーリオに釘を指されたように安静にしていたが、次の日になれば書斎で日本に滞在している間に溜まった書類仕事をこなした。
いくら部下が傍に居ても普段よりも結構な量があったにも関わらず、ディーノはその日のうちに積まれていた書類仕事を片付けてしまったのだ。
本気を出せば午前中に仕事が終わると言えど、それでも今回は量が量なだけに夕方までかかってしまった。
その後はこうしてマリアが眠っている部屋で都度追加される書類に目を通し、必要とあらば部下に指示を出す。
今ディーノが手に持っている書類はヴァルッセファミリーについての書類だ。
キャバッローネ・ファミリーだけではなく今回はボンゴレの…暗殺部隊ヴァリアーも関わっているのだ。
事後処理についての書類に目を通してはいるが…内容が内容なだけに頭を抱えてしまう。
「お嬢は、まだ目が覚めてないのか?」
チラリとベッドで眠っているマリアの方へとロマーリオが視線を向ければ、規則正しい呼吸をしマリアが眠っている。
輸血をしたおかげか、青白かった顔色から普段の顔色に戻っているが…マリアは未だ目を覚ましていなかった。
傷はきちんと手当てされ、命に別条がない事もマリアの姿を見れば一目で分かる。
ロマーリオが医者に言われた“精神的なものもあるだろう”と、言う言葉通りマリアはまだ眠っていた。
「あぁ、今日も眠ったまんまだったよ」
苦笑を浮かべ、ディーノはそうロマーリオに返す。
室内にある時計に目を向ければ時刻は午後十時、後二時間で今日と言う日が終わってしまう。
食事や水分補給、それ以外の仕事の時はディーノも外に出るがそれ以外はずっとマリアが起きるのをこの部屋で待っていた。
ろくに寝る事もしていないせいかディーノの目の下には薄っすらと隈が出来ている。
マリアが何時起きても良いようにと気にかけ、時間があればディーノはマリアの傍から離れずに居るのだ。
マリアの事を心配な気持ちも、ロマーリオには痛いほど分かる、分かるのだが…流石に自分の身体も気遣って欲しいとロマーリオは頭を掻く。
「ボス、お嬢の傍に居たいのは分かるが…流石にちゃんと寝てくれ」
「これでも仮眠は取ってるぜ?」
「仮眠ねぇ…」
「何だよその疑うような目は?!それに、流石にもう少ししたらちゃんと寝るって」
ロマーリオのディーノを疑うような視線に気づけば「ほんとだからな?!」とディーノは念を押して言葉を紡ぐ。
だがその言葉が怪しいのだと、ロマーリオは心の中で呆れた。
マリア同様、こういう時のディーノの言葉は信じられないのだ。
寝ると言いながら絶対に寝ないのだ、気が付いたら朝になってたなんてディーノなら言いかねない。
それくらいロマーリオは想像が付くし分かっている。
(一体何十年ディーノ坊ちゃんの傍に居ると思ってんだ…ボスは)
眠らない事を理解しているロマーリオは諦めたようにディーノに「分かった、じゃあ飲み物入れてくるから流石に水分補給位はちゃんとしてくれ。ボスが倒れちまったら元も子もないからな…」とディーノに言う。
それ位ならいいだろ?と言う目でディーノを見た。
「…悪いな、ロマーリオ」
「おぉ、とびきり美味いの淹れてくるから待ってろよボス」
にっと笑いながらロマーリオはマリアが眠る寝室を出た。
パタンと扉を閉めれば(はぁ…あんまりこの手は使いたくなかったんだがな…)と思いながら、キッチンの方へと足を向けた―――…
「スー…スー…」
数十分後、ロマーリオが淹れてきたカフェインレスの紅茶を飲み干せば、ディーノはマリアの眠るベッドに突っ伏して眠る。
マリア同様規則正しい寝息を立ててあどけない表情で眠るディーノに、ロマーリオは世話のかかるボスだと思いながらブランケットをかけた。
まだ過ごしやすい季節と言えど、何もかけずにそのままの状態で寝かせて置けば風邪をひいてしまうのだ。
(お嬢の睡眠薬の効き目は…昔から変わらねぇ―な)
苦笑を浮かべながら、すやすやと眠るディーノをロマーリオは見る。
眠ろうとしないディーノに対し、部下であるロマーリオは睡眠薬を盛ったのだ。
本当はこんな事をする予定ではなかったのだが、頑なに休もうとしないディーノに対するロマーリオの最終手段だ。
普段からロマーリオがマリアの作った睡眠薬を盛っているわけではない。
先日調べてもらっていた、マリアの白衣に入っていた睡眠薬の残りをこうしてディーノに使ったのだ。
ロマーリオがマリアの作った薬を許可なく使った事は申し訳なく思うが、今の状況をもしマリアが見たら確実にディーノに使ったに違いない。
そもそも睡眠薬をマリアが使う相手はディーノ位しかいないのだ。
マリアが起きた時に薬を使った事は謝ればいいとロマーリオは思っている。
だからこそ勝手ではあるが、マリアの薬を拝借したのだ。
その場で睡眠薬を入れるのを見ていないせいか、ディーノは疑う事もせずロマーリオが淹れてきたカフェインレスの紅茶を飲む。
何故何時ものコーヒーではないのかとディーノが問えば、「悪いボス、コーヒーの豆今切らしちまっててな…」としれっと嘘を付くがディーノは何の疑いもなく紅茶を飲み干す。
飲み干せば案の定眠気がディーノを襲い、こうしてマリアの眠るベッドに突っ伏してディーノも同じように眠りに着いた。
流石に成人済みの男をこの状態から起こしてディーノの部屋へ連れていく事は難しいため、ロマーリオはその場で寝かす。
子供の頃は容易だったが、流石に今の状態では抱えるのも難しい。
「ボスもお嬢も、大きくなっても手がかかるのは変わりねぇーな」
幼い頃から見て来たロマーリオは二人の寝顔をみながらふっと笑いながら、先ほどまでディーノが飲んでいたティーカップとティーソーサを手に取る。
ベッドの傍にあるサイドテーブルに置かれているテーブルランプに明かりを灯せば、二人が眠る部屋を後にした―――…
2024/11/14
「ボス此処に居たのか」
「どうした、ロマーリオ?」
ガチャリと言う音と共に、ロマーリオはディーノが居る部屋へと入って来た。
その部屋はもともと客室ではあるものの、マリアが泊まりに来る時や体調を崩した際に強制的にキャバッローネ・ファミリーの屋敷で面倒を見る場所として使われるため実質マリアの部屋のようなものだ。
室内にはベッドでマリアが眠っており、その傍で椅子にディーノは腰掛けている。
既にディーノが目を覚まし、三日が過ぎていた。
目を覚ましたその日のうちはロマーリオに釘を指されたように安静にしていたが、次の日になれば書斎で日本に滞在している間に溜まった書類仕事をこなした。
いくら部下が傍に居ても普段よりも結構な量があったにも関わらず、ディーノはその日のうちに積まれていた書類仕事を片付けてしまったのだ。
本気を出せば午前中に仕事が終わると言えど、それでも今回は量が量なだけに夕方までかかってしまった。
その後はこうしてマリアが眠っている部屋で都度追加される書類に目を通し、必要とあらば部下に指示を出す。
今ディーノが手に持っている書類はヴァルッセファミリーについての書類だ。
キャバッローネ・ファミリーだけではなく今回はボンゴレの…暗殺部隊ヴァリアーも関わっているのだ。
事後処理についての書類に目を通してはいるが…内容が内容なだけに頭を抱えてしまう。
「お嬢は、まだ目が覚めてないのか?」
チラリとベッドで眠っているマリアの方へとロマーリオが視線を向ければ、規則正しい呼吸をしマリアが眠っている。
輸血をしたおかげか、青白かった顔色から普段の顔色に戻っているが…マリアは未だ目を覚ましていなかった。
傷はきちんと手当てされ、命に別条がない事もマリアの姿を見れば一目で分かる。
ロマーリオが医者に言われた“精神的なものもあるだろう”と、言う言葉通りマリアはまだ眠っていた。
「あぁ、今日も眠ったまんまだったよ」
苦笑を浮かべ、ディーノはそうロマーリオに返す。
室内にある時計に目を向ければ時刻は午後十時、後二時間で今日と言う日が終わってしまう。
食事や水分補給、それ以外の仕事の時はディーノも外に出るがそれ以外はずっとマリアが起きるのをこの部屋で待っていた。
ろくに寝る事もしていないせいかディーノの目の下には薄っすらと隈が出来ている。
マリアが何時起きても良いようにと気にかけ、時間があればディーノはマリアの傍から離れずに居るのだ。
マリアの事を心配な気持ちも、ロマーリオには痛いほど分かる、分かるのだが…流石に自分の身体も気遣って欲しいとロマーリオは頭を掻く。
「ボス、お嬢の傍に居たいのは分かるが…流石にちゃんと寝てくれ」
「これでも仮眠は取ってるぜ?」
「仮眠ねぇ…」
「何だよその疑うような目は?!それに、流石にもう少ししたらちゃんと寝るって」
ロマーリオのディーノを疑うような視線に気づけば「ほんとだからな?!」とディーノは念を押して言葉を紡ぐ。
だがその言葉が怪しいのだと、ロマーリオは心の中で呆れた。
マリア同様、こういう時のディーノの言葉は信じられないのだ。
寝ると言いながら絶対に寝ないのだ、気が付いたら朝になってたなんてディーノなら言いかねない。
それくらいロマーリオは想像が付くし分かっている。
(一体何十年ディーノ坊ちゃんの傍に居ると思ってんだ…ボスは)
眠らない事を理解しているロマーリオは諦めたようにディーノに「分かった、じゃあ飲み物入れてくるから流石に水分補給位はちゃんとしてくれ。ボスが倒れちまったら元も子もないからな…」とディーノに言う。
それ位ならいいだろ?と言う目でディーノを見た。
「…悪いな、ロマーリオ」
「おぉ、とびきり美味いの淹れてくるから待ってろよボス」
にっと笑いながらロマーリオはマリアが眠る寝室を出た。
パタンと扉を閉めれば(はぁ…あんまりこの手は使いたくなかったんだがな…)と思いながら、キッチンの方へと足を向けた―――…
「スー…スー…」
数十分後、ロマーリオが淹れてきたカフェインレスの紅茶を飲み干せば、ディーノはマリアの眠るベッドに突っ伏して眠る。
マリア同様規則正しい寝息を立ててあどけない表情で眠るディーノに、ロマーリオは世話のかかるボスだと思いながらブランケットをかけた。
まだ過ごしやすい季節と言えど、何もかけずにそのままの状態で寝かせて置けば風邪をひいてしまうのだ。
(お嬢の睡眠薬の効き目は…昔から変わらねぇ―な)
苦笑を浮かべながら、すやすやと眠るディーノをロマーリオは見る。
眠ろうとしないディーノに対し、部下であるロマーリオは睡眠薬を盛ったのだ。
本当はこんな事をする予定ではなかったのだが、頑なに休もうとしないディーノに対するロマーリオの最終手段だ。
普段からロマーリオがマリアの作った睡眠薬を盛っているわけではない。
先日調べてもらっていた、マリアの白衣に入っていた睡眠薬の残りをこうしてディーノに使ったのだ。
ロマーリオがマリアの作った薬を許可なく使った事は申し訳なく思うが、今の状況をもしマリアが見たら確実にディーノに使ったに違いない。
そもそも睡眠薬をマリアが使う相手はディーノ位しかいないのだ。
マリアが起きた時に薬を使った事は謝ればいいとロマーリオは思っている。
だからこそ勝手ではあるが、マリアの薬を拝借したのだ。
その場で睡眠薬を入れるのを見ていないせいか、ディーノは疑う事もせずロマーリオが淹れてきたカフェインレスの紅茶を飲む。
何故何時ものコーヒーではないのかとディーノが問えば、「悪いボス、コーヒーの豆今切らしちまっててな…」としれっと嘘を付くがディーノは何の疑いもなく紅茶を飲み干す。
飲み干せば案の定眠気がディーノを襲い、こうしてマリアの眠るベッドに突っ伏してディーノも同じように眠りに着いた。
流石に成人済みの男をこの状態から起こしてディーノの部屋へ連れていく事は難しいため、ロマーリオはその場で寝かす。
子供の頃は容易だったが、流石に今の状態では抱えるのも難しい。
「ボスもお嬢も、大きくなっても手がかかるのは変わりねぇーな」
幼い頃から見て来たロマーリオは二人の寝顔をみながらふっと笑いながら、先ほどまでディーノが飲んでいたティーカップとティーソーサを手に取る。
ベッドの傍にあるサイドテーブルに置かれているテーブルランプに明かりを灯せば、二人が眠る部屋を後にした―――…
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