不器用な恋
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※【スクアーロside】
「ボス!!!お嬢!!」
ロマーリオの声にはっとスクアーロは我に返る。
マリアがディーノの上に倒れるのを目にすれば、恐らく気を失っているだけだろうと思うものの止血をするまでに結構な量の血を流したのだ。
危ない状態である事に変わりはない。
いち早くアレッシオに向きなおれば、スクアーロはその剣でアレッシオの心臓を突き刺した。
――――ザシュッツツ!!!!
何の戸惑いも躊躇もない、ただただ目の前のアレッシオが憎くてたまらなかった。
交戦していたスクアーロ達ではなくマリアを狙ったのだ。
相手はブラックリスト入りしているマフィアだと言う事を忘れていたのだ、そんな自分達が情けないと同時に血の繋がりはないしろマリアにそこまでやるかとアレッシオを憎んでしまう。
「クソッ!!!!」
もう息絶えているアレッシオに、スクアーロは再度剣を突き刺した。
こんな事をしても何もならない事位スクアーロだって分かっている、だかそうでもしなければこの苛立ちを…一体何処にぶつけたらいいのだろうとスクアーロ己の中の怒りの感情を処理できないのだ。
恐らくスクアーロだけではない…ルッスーリアもトマゾもアベーレも、同じ気持ちなのだろう。
何とも言えない空気がこの場にあふれるが、そんな中でロマーリオだけは冷静だった。
倒れて意識のないマリアとディーノに近づけば、ディーノの腹心の部下であるロマーリオは即座に状況を整理して動き出す。
マリアの傷は止血したと言えど、それでも止血するまでに時間がかかったのだ。
垂れ流した血の量を考えれば、場合によっては命にかかわって来るだろうと判断する。
ディーノに関してはそれこそ心臓ではないが、胸を弾丸で貫かれたのだ。
重傷であり、早くどうにかしなければとロマーリオの額に冷や汗が流れる。
「アベーレ、悪いが先に外に出て車を回しておいてくれ!」
「はいっ!!」
「トマゾ!!」
「分かっていますよ、ロマーリオ」
ロマーリオの指示に、トマゾは素早くスーツの懐から携帯を取り出しては懇意にしている医者に連絡を取る。
(ボスを…どうするかだな、流石に…)
マリアの身体をディーノから離し、ディーノの様子を伺おうとすると「ゔお゙ぉい!」と、スクアーロがロマーリオへと声をかける。
「跳ね馬は俺らに任せろ、てめぇーらはマリアを先に連れていけ!」
「だが…」
「安心しろ…こいつにはまだ死んでもらうわけにはいかねぇーからな」
スクアーロの言葉に、ロマーリオはスクアーロの目をじっと見る。
ボンゴレとは同盟ファミリーであり敵対関係ではない。
だが、それでも部下として自分のボスをスクアーロに任せて良いのか判断しかねたのだろう。
同盟ファミリーである前に、ディーノとスクアーロは同級生なのだ。
そして同じ人を好きになった、言わばライバル関係でもある。
そんな相手に任せて良いのだろうかとじっとスクアーロの目をロマーリオは見る。
ロマーリオから視線を逸らす事なく、力強い意志をもった目でスクアーロはロマーリオを見ていた。
先程スクアーロが言った“こいつにはまだ死んでもらうわけにはいかねぇーからな”と言う言葉も相まって…ロマーリオは一つ息を吐く。
「…分かった、ボスはあんたらに任せる」
そう言って上に倒れ込んでいるのを離して支えていたマリアをロマーリオが連れて行くのを見れば、スクアーロはぎゅっと拳を握りしめる。
マリアの足に巻かれていた包帯から目を逸らし、視線をディーノへと下ろした。
スクアーロは血の気の引いたディーノの顔を見ながら唇を噛み締める。
(世話のかかるやつらだぜ…)
そう思いながらスクアーロはディーノの傍でしゃがみ込む。
一応これでも暗殺部隊ヴァリアーの作戦隊長だ。
応急処置は心得ているし、何よりルッスーリアも居る。
そんじゃそこらの人間と比べればまだ、ディーノを救う確率が上がるはずなのだ。
―――「マリア…お前は知らないかもしれねぇーけど…っ、俺は…ずっと、ずっと昔から…マリアの事が好きなんだよ」
先程マリアに言った言葉を、スクアーロは耳にした。
否、スクアーロだけでなくその場に居た全員が耳にしただろう。
大きな声で言ったわけではないが、それでもあの場に居たのは腕のあるマフィアばかりだ。
無論ディーノが言った言葉を聞いてしまったのだ。
「…こんな所で、死なせてたまるか!!!!」
だからこそこの現状にスクアーロは腹を立てる。
そんな情けねない事はするなと、同級生のよしみで叫んでしまう。
最初から…ディーノがマリアを好きな事もマリアがディーノの事を好きな事も…知っていた。
見れば一目瞭然なのだ、傍から見れば分かりやすすぎて呆れてしまう程だ。
それでも諦めず、スクアーロがマリアを好いているのは変わりない。
不毛な恋だと言う事位スクアーロは理解している、それでも想う位は許されるだろうとスクアーロは割り切っているのだ。
どれだけこの想いが実らなくても、ディーノ同様マリアが笑ってくれていたらそれでいいとスクアーロだって願っている。
だからこそ――――…
「言い逃げ何てマリアが言うように俺だって許さねぇー…んな事する奴に、マリアを…マリアを託すくらいなら俺がマリアを奪っちまうからな!!!」
そう言いながら勢いよく、ディーノの血が付いた白いシャツを捲り上げる。
ディーノは自分の想いを最後に言えて満足だろうが、マリアの返事くらい聞いてやれとスクアーロは思うのだ。
それが出来ないなら、そんな情けない言い逃げをする位なら自分がマリアを奪うとスクアーロは怒りで眉間に皺を寄せる。
だが、その瞬間応急処置をしようとするスクアーロの動きが止まった。
目を見開き何度も確かめる様にスクアーロはディーノの胴体を見るが…それでも今目にしている光景と先ほど撃たれた光景がまるで夢だったのかと思わせるような光景がスクアーロの視界に映る。
(…どういう事だ?確かに跳ね馬はマリアを庇ってあいつに撃たれて…)
そう思いながら何度も瞬きをする。
だがどれだけ瞬きをし、ディーノの胴体を見直そうが結果は変わらない。
手当をせずただただその場で固まっているスクアーロに、ルッスーリアは思わず声を荒げる。
「ちょっとスクアーロ!早く跳ね馬の手当しないと手遅れになるわよ!?」
それもそのはずだ、胸を撃たれたのだから早く手当をしなければディーノは帰らぬ人になってしまう。
一刻を争うはずなのに、それでもピクリとも動かないスクアーロにルッスーリアは苛立ちを覚える。
ルッスーリアの声に、スクアーロは絞り出すように喉から声を出す。
「……なぁ、ルッスーリア…跳ね馬は…胸の辺りを撃たれた…よな?」
「何言ってるのよ!?私もスクアーロも、あの場所に居た皆が見たじゃない…!」
そう、あの場に居た全員が目撃をしている。
何を言ってるんだとルッスーリアは思わず怒鳴ろうとするが…それよりも先にスクアーロが何かを呟く。
だが、その声はあまりにも小さくルッスーリアは拾えなかったため再度スクアーロに言葉を放つ。
「喋る前に手を動かしなさい!出来ないなら私に代わってちょうだい!!!」
「だから………だよ…」
「はっきり言いなさいよ?」
「……ねぇーんだよ…」
「……は?」
スクアーロの言葉に、ルッスーリアは鳩が豆鉄砲を食ったような表情をする。
そんなわけがないのだ、ルッスーリアは確かにディーノの胸を撃たれるその瞬間を目にした。
だからこそスクアーロの言葉の意味が理解できず「…寝ぼけてるの…?」と思わず口にしたが「寝ぼけてねぇー」と即座に返されてしまった。
「撃たれた跡も、傷口も…ねぇーんだよ…」
「スクアーロ…っ、何を…」
“言ってるの?”そう言葉を続けようとしたルッスーリアがディーノを見れば、サングラス越しだがスクアーロと同じように目を見開く。
「嘘…でしょ…?」
ルッスーリアもスクアーロ同様、目の前の光景にピクリとも動かず…ただただディーノの胴体を凝視した。
スクアーロもルッスーリアも…否、あの場に居た者なら全員が目撃しているはずなのだ。
ディーノがマリアを庇いアレッシオ撃たれたのを。
それは嘘でもなければ幻でもない。
血がディーノの胴体から溢れ出たのも、だからこそマリアが泣いていたのも見たのだ。
だがそれはまるで夢だったのだと言わんばかりに、スクアーロによって捲り上げられていた白いシャツの下には…銃で撃たれた痕は何処にもなかった―――…
2024/11/08
「ボス!!!お嬢!!」
ロマーリオの声にはっとスクアーロは我に返る。
マリアがディーノの上に倒れるのを目にすれば、恐らく気を失っているだけだろうと思うものの止血をするまでに結構な量の血を流したのだ。
危ない状態である事に変わりはない。
いち早くアレッシオに向きなおれば、スクアーロはその剣でアレッシオの心臓を突き刺した。
――――ザシュッツツ!!!!
何の戸惑いも躊躇もない、ただただ目の前のアレッシオが憎くてたまらなかった。
交戦していたスクアーロ達ではなくマリアを狙ったのだ。
相手はブラックリスト入りしているマフィアだと言う事を忘れていたのだ、そんな自分達が情けないと同時に血の繋がりはないしろマリアにそこまでやるかとアレッシオを憎んでしまう。
「クソッ!!!!」
もう息絶えているアレッシオに、スクアーロは再度剣を突き刺した。
こんな事をしても何もならない事位スクアーロだって分かっている、だかそうでもしなければこの苛立ちを…一体何処にぶつけたらいいのだろうとスクアーロ己の中の怒りの感情を処理できないのだ。
恐らくスクアーロだけではない…ルッスーリアもトマゾもアベーレも、同じ気持ちなのだろう。
何とも言えない空気がこの場にあふれるが、そんな中でロマーリオだけは冷静だった。
倒れて意識のないマリアとディーノに近づけば、ディーノの腹心の部下であるロマーリオは即座に状況を整理して動き出す。
マリアの傷は止血したと言えど、それでも止血するまでに時間がかかったのだ。
垂れ流した血の量を考えれば、場合によっては命にかかわって来るだろうと判断する。
ディーノに関してはそれこそ心臓ではないが、胸を弾丸で貫かれたのだ。
重傷であり、早くどうにかしなければとロマーリオの額に冷や汗が流れる。
「アベーレ、悪いが先に外に出て車を回しておいてくれ!」
「はいっ!!」
「トマゾ!!」
「分かっていますよ、ロマーリオ」
ロマーリオの指示に、トマゾは素早くスーツの懐から携帯を取り出しては懇意にしている医者に連絡を取る。
(ボスを…どうするかだな、流石に…)
マリアの身体をディーノから離し、ディーノの様子を伺おうとすると「ゔお゙ぉい!」と、スクアーロがロマーリオへと声をかける。
「跳ね馬は俺らに任せろ、てめぇーらはマリアを先に連れていけ!」
「だが…」
「安心しろ…こいつにはまだ死んでもらうわけにはいかねぇーからな」
スクアーロの言葉に、ロマーリオはスクアーロの目をじっと見る。
ボンゴレとは同盟ファミリーであり敵対関係ではない。
だが、それでも部下として自分のボスをスクアーロに任せて良いのか判断しかねたのだろう。
同盟ファミリーである前に、ディーノとスクアーロは同級生なのだ。
そして同じ人を好きになった、言わばライバル関係でもある。
そんな相手に任せて良いのだろうかとじっとスクアーロの目をロマーリオは見る。
ロマーリオから視線を逸らす事なく、力強い意志をもった目でスクアーロはロマーリオを見ていた。
先程スクアーロが言った“こいつにはまだ死んでもらうわけにはいかねぇーからな”と言う言葉も相まって…ロマーリオは一つ息を吐く。
「…分かった、ボスはあんたらに任せる」
そう言って上に倒れ込んでいるのを離して支えていたマリアをロマーリオが連れて行くのを見れば、スクアーロはぎゅっと拳を握りしめる。
マリアの足に巻かれていた包帯から目を逸らし、視線をディーノへと下ろした。
スクアーロは血の気の引いたディーノの顔を見ながら唇を噛み締める。
(世話のかかるやつらだぜ…)
そう思いながらスクアーロはディーノの傍でしゃがみ込む。
一応これでも暗殺部隊ヴァリアーの作戦隊長だ。
応急処置は心得ているし、何よりルッスーリアも居る。
そんじゃそこらの人間と比べればまだ、ディーノを救う確率が上がるはずなのだ。
―――「マリア…お前は知らないかもしれねぇーけど…っ、俺は…ずっと、ずっと昔から…マリアの事が好きなんだよ」
先程マリアに言った言葉を、スクアーロは耳にした。
否、スクアーロだけでなくその場に居た全員が耳にしただろう。
大きな声で言ったわけではないが、それでもあの場に居たのは腕のあるマフィアばかりだ。
無論ディーノが言った言葉を聞いてしまったのだ。
「…こんな所で、死なせてたまるか!!!!」
だからこそこの現状にスクアーロは腹を立てる。
そんな情けねない事はするなと、同級生のよしみで叫んでしまう。
最初から…ディーノがマリアを好きな事もマリアがディーノの事を好きな事も…知っていた。
見れば一目瞭然なのだ、傍から見れば分かりやすすぎて呆れてしまう程だ。
それでも諦めず、スクアーロがマリアを好いているのは変わりない。
不毛な恋だと言う事位スクアーロは理解している、それでも想う位は許されるだろうとスクアーロは割り切っているのだ。
どれだけこの想いが実らなくても、ディーノ同様マリアが笑ってくれていたらそれでいいとスクアーロだって願っている。
だからこそ――――…
「言い逃げ何てマリアが言うように俺だって許さねぇー…んな事する奴に、マリアを…マリアを託すくらいなら俺がマリアを奪っちまうからな!!!」
そう言いながら勢いよく、ディーノの血が付いた白いシャツを捲り上げる。
ディーノは自分の想いを最後に言えて満足だろうが、マリアの返事くらい聞いてやれとスクアーロは思うのだ。
それが出来ないなら、そんな情けない言い逃げをする位なら自分がマリアを奪うとスクアーロは怒りで眉間に皺を寄せる。
だが、その瞬間応急処置をしようとするスクアーロの動きが止まった。
目を見開き何度も確かめる様にスクアーロはディーノの胴体を見るが…それでも今目にしている光景と先ほど撃たれた光景がまるで夢だったのかと思わせるような光景がスクアーロの視界に映る。
(…どういう事だ?確かに跳ね馬はマリアを庇ってあいつに撃たれて…)
そう思いながら何度も瞬きをする。
だがどれだけ瞬きをし、ディーノの胴体を見直そうが結果は変わらない。
手当をせずただただその場で固まっているスクアーロに、ルッスーリアは思わず声を荒げる。
「ちょっとスクアーロ!早く跳ね馬の手当しないと手遅れになるわよ!?」
それもそのはずだ、胸を撃たれたのだから早く手当をしなければディーノは帰らぬ人になってしまう。
一刻を争うはずなのに、それでもピクリとも動かないスクアーロにルッスーリアは苛立ちを覚える。
ルッスーリアの声に、スクアーロは絞り出すように喉から声を出す。
「……なぁ、ルッスーリア…跳ね馬は…胸の辺りを撃たれた…よな?」
「何言ってるのよ!?私もスクアーロも、あの場所に居た皆が見たじゃない…!」
そう、あの場に居た全員が目撃をしている。
何を言ってるんだとルッスーリアは思わず怒鳴ろうとするが…それよりも先にスクアーロが何かを呟く。
だが、その声はあまりにも小さくルッスーリアは拾えなかったため再度スクアーロに言葉を放つ。
「喋る前に手を動かしなさい!出来ないなら私に代わってちょうだい!!!」
「だから………だよ…」
「はっきり言いなさいよ?」
「……ねぇーんだよ…」
「……は?」
スクアーロの言葉に、ルッスーリアは鳩が豆鉄砲を食ったような表情をする。
そんなわけがないのだ、ルッスーリアは確かにディーノの胸を撃たれるその瞬間を目にした。
だからこそスクアーロの言葉の意味が理解できず「…寝ぼけてるの…?」と思わず口にしたが「寝ぼけてねぇー」と即座に返されてしまった。
「撃たれた跡も、傷口も…ねぇーんだよ…」
「スクアーロ…っ、何を…」
“言ってるの?”そう言葉を続けようとしたルッスーリアがディーノを見れば、サングラス越しだがスクアーロと同じように目を見開く。
「嘘…でしょ…?」
ルッスーリアもスクアーロ同様、目の前の光景にピクリとも動かず…ただただディーノの胴体を凝視した。
スクアーロもルッスーリアも…否、あの場に居た者なら全員が目撃しているはずなのだ。
ディーノがマリアを庇いアレッシオ撃たれたのを。
それは嘘でもなければ幻でもない。
血がディーノの胴体から溢れ出たのも、だからこそマリアが泣いていたのも見たのだ。
だがそれはまるで夢だったのだと言わんばかりに、スクアーロによって捲り上げられていた白いシャツの下には…銃で撃たれた痕は何処にもなかった―――…
2024/11/08
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