不器用な恋
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※【ディーノside】
―――パァァンッ!!!!
と音と共に、ディーノの身体は無意識にマリアの前に出れば勢いよく胸にアレッシオの撃った銃弾が貫通する。
「っつ」
『ディー…ノ…っつ?!』
痛みと同時に胸から血が溢れ、その血はマリアの頬にピシャッと音を立てながら付着する。
倒れるかのようにマリアに覆いかぶされば『っつ…なん…で』と、マリアは目を大きく開きぎゅっとディーノの身体を抱きしめた。
(マリアは…怪我、してないよ、な…?)
銃弾はディーノによってマリアには当たらなかった。
ただその事にディーノは一人ほっとするが、マリアはそれどころではなかった。
今にも泣きそうな表情でディーノの顔を見ては唇を震わせている。
『な…んで、ディーノ…あたしなんて…庇って…』
「何…泣きそうな顔してんだよ…マリア」
『だって、だってディーノ血が…何で、何で庇って…』
(何でって…おかしな事を言うな、マリアは)
マリアの言葉に、ディーノはぼんやりとした思考で考える。
何で庇ったのかなんて、ディーノからすれば当たり前の事なのだ。
マリアの養親であるフィネスに「あの子を助けてやってくれ」と言われた事はあるが、そんなもの関係なくディーノにとってマリアを助ける事は当たり前の事に過ぎない。
自分の命よりも無意識のうちに身体が動くくらい、マリアがディーノにとって大事な存在であり…マリアが好きなのだ。
(あぁ、そうか俺…まだマリアに言ってねぇーもんな)
ふと、まだ自分の気持ちを伝えていなかった事を思い出し、ディーノはそっと言葉を紡ぐ。
此処最近は売り言葉に買い言葉と言った憎まれ口は言わず本音を口にしていたが…肝心な事をマリアには言っていないのだ。
言葉にしなければ、まっすぐマリアに自分の気持ちを伝えなければディーノの想いは伝わらない。
きっと“幼馴染”だからと言われてしまいかねないと思い、ディーノは意を決する。
「…惚れた女一人守れねーで…好きなんて…、言えるかよ…っ」
途切れ途切れに紡がれた言葉。
本当はこんな場面で言うつもりはさらさらないのだが、今言っておかないとディーノは後悔してしまいそうなのだ。
心臓を撃たれたわけではないが、それでも自分が危ない状況なのは安易に分かる。
途切れ途切れにいってしまったせいかしまらないなと思いながらも、それが今ディーノが紡げる精いっぱいの言葉なのだ。
『…ぇ…』
「マリア…お前は知らないかもしれねぇーけど…っ、俺は…ずっと、ずっと昔から…マリアの事が好きなんだよ」
不意にマリアの翡翠色の瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。
どう言った感情でマリアが涙を流しているのか、ディーノには分からない。
それでもマリアの涙を、悲しそうな顔をディーノは見たいわけではないのだ。
(泣かせちまったのは…俺のせいか…)
自分の状況がマリアを泣かせてしまったのだと思いながらも、それでもディーノは思ってしまう。
笑って欲しいと―――…
『…ディー…ノ…』
「っつ、…マリアにっ、悲しそうな顔は…似合わない、んだから…っ、笑って、くれ…」
幼い頃から思っていた言葉を口にし、ディーノは満足そうにマリアに笑いかける。
昔から言いたくても面と向かってマリアに言えなかった言葉。
ようやく素直に言えたのだ、嬉しくて、身体は痛いはずなのに笑みが零れる。
(そろそろ俺も…限界だな…)
最後まで笑顔が絶えなかったのはマリアに笑って居て欲しいからだ。
きっとディーノが意識を手放せば、もうマリアに会う事は出来ないだろう。
いくら手当が間に合った所で、生き残る確率は限りなくゼロに近い事位ディーノだって今までの経験で察している。
「ははっ…最後に…ゴホッ、マリアに言えてっ…良かった…」
そう言ってゆっくりとディーノは瞳を閉じ閉じていく。
(ごめんな…言い逃げみたいになっちまって…)
自分の気持ちだけはどうしてもマリアに知っていて欲しかったのだ。
ただの幼馴染ではない、ちゃんと異性としてマリアが好きだと言う事を。
幼馴染だから助けに来たわけではないと、大事な人を、惚れた女の為にここまで来たと言う事を、ディーノはマリアに知っていて欲しかった。
これで最後なのだ。
死ぬ間際走馬灯が見えると言うが…今のディーノにはそんなものが全く見えなかった。
(…マリアの腕の中で逝けるんだから…俺の人生も、幸せだった…な…)
先程からぎゅっとマリアに強く抱きしめられたまま、安らかに逝けるのだ。
もう思い残す事は何もない。
…否、一つだけ、たった一つだけ思い残す事があるのを思い出す。
もし叶うのなら…
(最後に…マリアの笑顔、が…見た…かった、な…)
そう思いながら、ディーノは意識を手放した―――…
2024/11/07
―――パァァンッ!!!!
と音と共に、ディーノの身体は無意識にマリアの前に出れば勢いよく胸にアレッシオの撃った銃弾が貫通する。
「っつ」
『ディー…ノ…っつ?!』
痛みと同時に胸から血が溢れ、その血はマリアの頬にピシャッと音を立てながら付着する。
倒れるかのようにマリアに覆いかぶされば『っつ…なん…で』と、マリアは目を大きく開きぎゅっとディーノの身体を抱きしめた。
(マリアは…怪我、してないよ、な…?)
銃弾はディーノによってマリアには当たらなかった。
ただその事にディーノは一人ほっとするが、マリアはそれどころではなかった。
今にも泣きそうな表情でディーノの顔を見ては唇を震わせている。
『な…んで、ディーノ…あたしなんて…庇って…』
「何…泣きそうな顔してんだよ…マリア」
『だって、だってディーノ血が…何で、何で庇って…』
(何でって…おかしな事を言うな、マリアは)
マリアの言葉に、ディーノはぼんやりとした思考で考える。
何で庇ったのかなんて、ディーノからすれば当たり前の事なのだ。
マリアの養親であるフィネスに「あの子を助けてやってくれ」と言われた事はあるが、そんなもの関係なくディーノにとってマリアを助ける事は当たり前の事に過ぎない。
自分の命よりも無意識のうちに身体が動くくらい、マリアがディーノにとって大事な存在であり…マリアが好きなのだ。
(あぁ、そうか俺…まだマリアに言ってねぇーもんな)
ふと、まだ自分の気持ちを伝えていなかった事を思い出し、ディーノはそっと言葉を紡ぐ。
此処最近は売り言葉に買い言葉と言った憎まれ口は言わず本音を口にしていたが…肝心な事をマリアには言っていないのだ。
言葉にしなければ、まっすぐマリアに自分の気持ちを伝えなければディーノの想いは伝わらない。
きっと“幼馴染”だからと言われてしまいかねないと思い、ディーノは意を決する。
「…惚れた女一人守れねーで…好きなんて…、言えるかよ…っ」
途切れ途切れに紡がれた言葉。
本当はこんな場面で言うつもりはさらさらないのだが、今言っておかないとディーノは後悔してしまいそうなのだ。
心臓を撃たれたわけではないが、それでも自分が危ない状況なのは安易に分かる。
途切れ途切れにいってしまったせいかしまらないなと思いながらも、それが今ディーノが紡げる精いっぱいの言葉なのだ。
『…ぇ…』
「マリア…お前は知らないかもしれねぇーけど…っ、俺は…ずっと、ずっと昔から…マリアの事が好きなんだよ」
不意にマリアの翡翠色の瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。
どう言った感情でマリアが涙を流しているのか、ディーノには分からない。
それでもマリアの涙を、悲しそうな顔をディーノは見たいわけではないのだ。
(泣かせちまったのは…俺のせいか…)
自分の状況がマリアを泣かせてしまったのだと思いながらも、それでもディーノは思ってしまう。
笑って欲しいと―――…
『…ディー…ノ…』
「っつ、…マリアにっ、悲しそうな顔は…似合わない、んだから…っ、笑って、くれ…」
幼い頃から思っていた言葉を口にし、ディーノは満足そうにマリアに笑いかける。
昔から言いたくても面と向かってマリアに言えなかった言葉。
ようやく素直に言えたのだ、嬉しくて、身体は痛いはずなのに笑みが零れる。
(そろそろ俺も…限界だな…)
最後まで笑顔が絶えなかったのはマリアに笑って居て欲しいからだ。
きっとディーノが意識を手放せば、もうマリアに会う事は出来ないだろう。
いくら手当が間に合った所で、生き残る確率は限りなくゼロに近い事位ディーノだって今までの経験で察している。
「ははっ…最後に…ゴホッ、マリアに言えてっ…良かった…」
そう言ってゆっくりとディーノは瞳を閉じ閉じていく。
(ごめんな…言い逃げみたいになっちまって…)
自分の気持ちだけはどうしてもマリアに知っていて欲しかったのだ。
ただの幼馴染ではない、ちゃんと異性としてマリアが好きだと言う事を。
幼馴染だから助けに来たわけではないと、大事な人を、惚れた女の為にここまで来たと言う事を、ディーノはマリアに知っていて欲しかった。
これで最後なのだ。
死ぬ間際走馬灯が見えると言うが…今のディーノにはそんなものが全く見えなかった。
(…マリアの腕の中で逝けるんだから…俺の人生も、幸せだった…な…)
先程からぎゅっとマリアに強く抱きしめられたまま、安らかに逝けるのだ。
もう思い残す事は何もない。
…否、一つだけ、たった一つだけ思い残す事があるのを思い出す。
もし叶うのなら…
(最後に…マリアの笑顔、が…見た…かった、な…)
そう思いながら、ディーノは意識を手放した―――…
2024/11/07
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