不器用な恋
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イタリアのとある街にある家の地下室。
山積みの書類や本が乗っている作業台の上で、すやすやと白衣を着たままマリアは眠っていた。
赤いセミロングの髪はハーフツインテールで纏められているが、少しだけボサついている。
―――pipipi…
静寂だけの空間に似つかわず、作業台の上から機械的な電子音が鳴り響く。
眠っているマリアは額に眉を寄せ作業台の上を手探りでその音が鳴る元凶を探す。
手探りで探すせいか、書類や本がマリアの手に当たり、バサバサと床に落ちる。
ただただ電子音がうるさいのか、マリアは電子音が鳴る携帯を手探りで見つけると、ディスプレイに表示されている相手の名前も確認せずに通話ボタンを押した。
それが全ての始まりだとも露知らず―――…
『…はい…もしもし…』
「ちゃおっス、マリア」
寝起きのせいか掠れ掠れに声が出る。
そんなマリアの言葉に、電話の相手の声は聞き覚えのある声だった。
あまりにも久しぶりに聞く声のせいか、マリアは閉じていた翡翠色の瞳を大きく見開きながらポツリと言葉を紡いだ。
『…リボーン…?』
「そうだぞ、マリア。もしかして寝てたか?」
『…寝落ちしてたみたい…』
そう答えながら地下室内にある時計を見れば現在の時刻は午後13時。
幼馴染であるディーノに以前聞いた話によれば、リボーンは今ジャポーネ…日本に居るらしい。
日本との時差は七時間、リボーンなりにマリアの事を気遣って時間を選んでくれたようだった。
普段ならマリア自身も起きている時間ではある。
だが立て込んでいた依頼を徹夜で終わらせたため、マリアは依頼を完成させると同時にそのまま机の上でうつ伏せになり寝落ちしてしまったのだった。
『それにしても珍しいわね…リボーンが電話かけてくるなんて』
「ちょっと頼みたい事があってな」
『頼みたい事?』
翡翠色の瞳を再び大きく開き、マリアは首を傾げる。
お互い…と言うよりも主にリボーンの方が忙しい身であるため基本的に連絡を取るにしてもメールでのやり取りのみである。
頻繁に連絡を取るわけでもなく都合がいい時に返す程度だ。
そんなリボーンから直々に電話での頼み事と言う珍しい事態にマリアは何だろうと思いながらもリボーンの言葉を待つ。
「マリアが昔学生時代の時に作った薬があるだろ?」
『…リボーン、どれのこと言ってるのよ?学生時代も学生時代で数えきれないほどあたし薬作ってたわよ』
「…そうだったな。あの学校の生徒巻き込んで大騒ぎになったやつだ」
『あー…停学処分くらいそうなったあれね』
「それだ」
リボーンの言葉に思い当たる薬を思い出し、マリアは学生時代の事を思い出す。
停学処分をくらいそうになったのは1度きりの出来事だったのですぐさま思い当たる薬が頭に浮かんだ。
主にマリアの作った薬や発明品の実験台…もといモルモットになったのがディーノと同級生のスクアーロである。
今よりも大部若く、好奇心旺盛だったためよく二人を実験台にしていた。
当時の事を思い返すと懐かしい反面、もっと二人には実験台になってもらってれば良かった…と今更ながらマリアは思う。
『…あの薬一体何に使うのよリボーン?』
「ちょっとな。別に俺が使うわけじゃねぇーぞ」
『あはは…そりゃそうでしょうねぇ』
マリア自身自分で言うのもあれだが、あの薬は威力が強すぎたのだ。
リボーンが欲しがるような薬にしては珍しいと思ったが、どうやら本人が使うわけではないらしい。
改良して何とか形になってはいるものの、使うには相当の覚悟が必要だろう。
『いーよ、珍しいリボーンの頼みだし作ってあげる』
「頼んだぞマリア、後マリア自身が俺に届けに来い」
『え、リボーンあたしも忙しいんだけど…』
「少なくとも今月末までにはこっちに来い」
『ちょっとリボーン?!』
「来ないとマリアがディーノの事好きだって事本人にばらしてやるからな、んじゃあなマリア」
『ちょっ?!』
マリアの言葉も事情も聞かずに、リボーンは通話を切った。
ただ虚しくツー、ツーと通話の切れた音だけが地下室ないに響き渡った―――
2024/08/26
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