不器用な恋
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※【ディーノside】
イタリアに着くと同時に、ディーノ達はヴァルッセファミリーの基地がある屋敷へと車を走らせる。
運転席にはアベーレ、助手席にトマゾ、後部座席にはディーノとロマーリオが乗っていた。
車内は静かで、時折トマゾとアベーレの声が聞こえる。
「アベーレ、そこを左に曲がってください」
「了解です、トマゾ先輩」
助手席に座るトマゾがナビをし、アベーレはその指示に従い車を走らせる。
このメンバーであれば普段はトマゾが運転をするのだが、今日に限ってはトマゾの後輩にあたるアベーレが車を運転する。
複雑な地形故にナビをしながらでは無理だと判断したトマゾがアベーレに運転をさせているのだ。
否、違う。
“今”トマゾが運転をすれば普段の様に運転が出来ないのだろうと判断して、トマゾは自らナビをする。
アベーレも分かっているのだろう。
普段のトマゾであれば複雑な地形故に運転をアベーレに任せる事はない。
物覚えが良く瞬間的に見た事すら記憶するほどの持ち主であるトマゾなら、いくら複雑な地形故ど安易に運転できるのだ。
そんな二人を見ながら、後部座席に座って居るディーノは口を開いた。
「ロマーリオ、準備は出来てんのか?」
「あぁ、後は乗り込んでお嬢を助けるだけだ」
「マリアお嬢が無事だと良いんですが…」
現在地を確認しながら、トマゾはポツリと呟いた。
今回の件でトマゾはだいぶマリアの事を心配している。
それは勿論ヴァルメリオファミリーが関係しているからもあるが、トマゾもロマーリオ同様昔からディーノとマリアの世話をこなして来た。
自分の娘の様に可愛がっているマリアの事となれば…否、キャバッローネ・ファミリー全員にそれは当てはまる。
相手はブラックリスト入りしているマフィアのファミリーと言えど、今のキャバッローネ・ファミリーには関係ない。
乗り込んだら悲惨な事になるのは目に見えて分かっていた。
特に古参の部下は顔には出していないがその雰囲気が怒っているのを感じる。
普段は滅多に殺気立つ部下達でない事をディーノは知っているが、それぐらいキレているのだ。
「兎に角ヴァルッセファミリーを潰してマリアを救出だ」
「どんなに暴れてもいいんですか?」
「今回は俺が許す」
「…久々に腕がなりますねぇ」
ディーノの言葉に、ガチャリと銃を取り出したトマゾは妖しく笑う。
今回の事で、部下の中で一番キレているのはトマゾなのが一目見れば分かる。
何時もは支給された銃を使うのだが、特にキレている時には支給された武器ではない銃を使う。
トマゾが今手に持っているのはデザート・イーグル。
愛用の銀色の銃を目を細めて見る姿はまさしく獲物を狩る獣のようだった。
(トマゾ先輩…相当キレてるなぁ…)
運転席で運転をしているアベーレはそんなトマゾを見ながら溜息を付くがこればかりは仕方ないのだ。
トマゾが怒るのもアベーレ自身分かっているし、アベーレもトマゾ同様怒っているのだ。
キャバッローネ・ファミリーに入った時から既にマリアはディーノに取って大事な人と言う事も、キャバッローネ・ファミリー全員がマリアを大事にしている事も理解するのに然程時間はかからなかった。
まだ二年しかキャバッローネ・ファミリーに属していないが、それでもそんなアベーレにマリアは優しくしてくれた。
マリアの過去を知らなかったからこそ、…否、知ったからこそ余計にマリアを助けたいと言う気持ちが強くなる。
自分のボスが惚れた相手なのだ、大事に思っている存在はアベーレにとっても…キャバッローネ・ファミリーにとって大事な存在である事に違いない。
「…トマゾ先輩、ほどほどにしといてくださいよ?」
「そうだぞトマゾ、お前キレたら止めるのきついんだからよぉ」
「はは、今回は許してください」
「…ボスが許可してるので別にいいですけど…」
トマゾの言葉に、アベーレは再び溜息を付く。
キレたトマゾを止めるのはアベーレの役目だ、今回ばかりはディーノが許可したと言えど度を超えれば無理にでも止めなければならない状況になると安易に想像が付くのだ。
無論ロマーリオも止めるのを手伝ってくれるとは思えど、アベーレは覚悟を決める。
「着いたぜ、ボス」
「あぁ」
車が止められた場所はヴァルッセファミリーの屋敷からほんの少し離れた場所だった。
元々はシャタンファミリーの屋敷があった場所らしいが…今は新たに建て直されてまだ数年も経っていないようだ。
ほんの少し離れた場所と言えど、屋敷の辺りは静まり返っている。
(待ってろよ、マリア…)
じっとヴァルッセファミリーの屋敷を見ながらディーノは思う。
もうあの頃の、幼くただマリアが来るのを待っていた自分ではないのだ。
幼かったディーノにはマリアを探す事にだって限度があった…だが今はそうではない。
ディーノは力を付けた、幼かった無知で何も知らなかった…弱いままの自分ではないのだ。
無意識にディーノは自身の左腕をぎゅっと掴む。
モッズコートの服の上からでは見えないが、確かにそこには刺青がある。
“ボスに相応しい者になった時に浮かび上がる”刺青が。
ファミリーと街の皆を守りたいと言う一念で浮かび上がった刺青。
勿論ファミリーと街を皆を守りたいと言う気持ちは変わらない。
それに加え自分の大切な人を守りたいと言う気持ちが…今のディーノにはある。
欲張りだなとディーノ自身思うが、こればかりは仕方ないのだ。
(もしマリア…お前を此処から救い出したら…言ってもいいか?俺の気持ちを)
本来であれば科学博物館のデートを終えてから言うはずだった言葉。
だがそれはこんな状況となった今では難しい。
先伸ばしした所で何も変わらないのだ。
ディーノの想いも、マリアとの関係も。
そんな事を思いながらぎゅっと左腕を掴む手に力を入れる。
ディーノ達が乗っていた車の後ろに停められた車からも、一人、また一人とディーノの部下が降りていく。
ロマーリオやトマゾ、アベーレ同様皆怒っているのだ。
真剣な表情でじっとヴァルッセファミリーの屋敷を見ている部下の目を見れば一目瞭然だ。
ヴァルッセファミリーの屋敷に乗り込み何をするかと言う作戦は既に部下達に伝えられていた。
ロマーリオが気を利かし、トマゾに動ける準備をしておくよう頼んだお陰でこんなにも早くヴァルッセファミリーの屋敷へと辿り着けたのだ。
「ボス、何時でもいいぜ」
ロマーリオの言葉に、ディーノは一度目を閉じ深呼吸する。
ディーノ自身冷静ではあるものの、その冷静を忘れないように心を落ち着かせると閉じていた瞳を開く。
「あぁ…じゃあ…
マリア奪還始めるぜ!!!!!」
「「「おぉ!!!!!!」」」
ディーノの言葉を合図に、キャバッローネ・ファミリーはヴァルッセファミリーの屋敷へと乗り込んだ―――…
2024/11/02
イタリアに着くと同時に、ディーノ達はヴァルッセファミリーの基地がある屋敷へと車を走らせる。
運転席にはアベーレ、助手席にトマゾ、後部座席にはディーノとロマーリオが乗っていた。
車内は静かで、時折トマゾとアベーレの声が聞こえる。
「アベーレ、そこを左に曲がってください」
「了解です、トマゾ先輩」
助手席に座るトマゾがナビをし、アベーレはその指示に従い車を走らせる。
このメンバーであれば普段はトマゾが運転をするのだが、今日に限ってはトマゾの後輩にあたるアベーレが車を運転する。
複雑な地形故にナビをしながらでは無理だと判断したトマゾがアベーレに運転をさせているのだ。
否、違う。
“今”トマゾが運転をすれば普段の様に運転が出来ないのだろうと判断して、トマゾは自らナビをする。
アベーレも分かっているのだろう。
普段のトマゾであれば複雑な地形故に運転をアベーレに任せる事はない。
物覚えが良く瞬間的に見た事すら記憶するほどの持ち主であるトマゾなら、いくら複雑な地形故ど安易に運転できるのだ。
そんな二人を見ながら、後部座席に座って居るディーノは口を開いた。
「ロマーリオ、準備は出来てんのか?」
「あぁ、後は乗り込んでお嬢を助けるだけだ」
「マリアお嬢が無事だと良いんですが…」
現在地を確認しながら、トマゾはポツリと呟いた。
今回の件でトマゾはだいぶマリアの事を心配している。
それは勿論ヴァルメリオファミリーが関係しているからもあるが、トマゾもロマーリオ同様昔からディーノとマリアの世話をこなして来た。
自分の娘の様に可愛がっているマリアの事となれば…否、キャバッローネ・ファミリー全員にそれは当てはまる。
相手はブラックリスト入りしているマフィアのファミリーと言えど、今のキャバッローネ・ファミリーには関係ない。
乗り込んだら悲惨な事になるのは目に見えて分かっていた。
特に古参の部下は顔には出していないがその雰囲気が怒っているのを感じる。
普段は滅多に殺気立つ部下達でない事をディーノは知っているが、それぐらいキレているのだ。
「兎に角ヴァルッセファミリーを潰してマリアを救出だ」
「どんなに暴れてもいいんですか?」
「今回は俺が許す」
「…久々に腕がなりますねぇ」
ディーノの言葉に、ガチャリと銃を取り出したトマゾは妖しく笑う。
今回の事で、部下の中で一番キレているのはトマゾなのが一目見れば分かる。
何時もは支給された銃を使うのだが、特にキレている時には支給された武器ではない銃を使う。
トマゾが今手に持っているのはデザート・イーグル。
愛用の銀色の銃を目を細めて見る姿はまさしく獲物を狩る獣のようだった。
(トマゾ先輩…相当キレてるなぁ…)
運転席で運転をしているアベーレはそんなトマゾを見ながら溜息を付くがこればかりは仕方ないのだ。
トマゾが怒るのもアベーレ自身分かっているし、アベーレもトマゾ同様怒っているのだ。
キャバッローネ・ファミリーに入った時から既にマリアはディーノに取って大事な人と言う事も、キャバッローネ・ファミリー全員がマリアを大事にしている事も理解するのに然程時間はかからなかった。
まだ二年しかキャバッローネ・ファミリーに属していないが、それでもそんなアベーレにマリアは優しくしてくれた。
マリアの過去を知らなかったからこそ、…否、知ったからこそ余計にマリアを助けたいと言う気持ちが強くなる。
自分のボスが惚れた相手なのだ、大事に思っている存在はアベーレにとっても…キャバッローネ・ファミリーにとって大事な存在である事に違いない。
「…トマゾ先輩、ほどほどにしといてくださいよ?」
「そうだぞトマゾ、お前キレたら止めるのきついんだからよぉ」
「はは、今回は許してください」
「…ボスが許可してるので別にいいですけど…」
トマゾの言葉に、アベーレは再び溜息を付く。
キレたトマゾを止めるのはアベーレの役目だ、今回ばかりはディーノが許可したと言えど度を超えれば無理にでも止めなければならない状況になると安易に想像が付くのだ。
無論ロマーリオも止めるのを手伝ってくれるとは思えど、アベーレは覚悟を決める。
「着いたぜ、ボス」
「あぁ」
車が止められた場所はヴァルッセファミリーの屋敷からほんの少し離れた場所だった。
元々はシャタンファミリーの屋敷があった場所らしいが…今は新たに建て直されてまだ数年も経っていないようだ。
ほんの少し離れた場所と言えど、屋敷の辺りは静まり返っている。
(待ってろよ、マリア…)
じっとヴァルッセファミリーの屋敷を見ながらディーノは思う。
もうあの頃の、幼くただマリアが来るのを待っていた自分ではないのだ。
幼かったディーノにはマリアを探す事にだって限度があった…だが今はそうではない。
ディーノは力を付けた、幼かった無知で何も知らなかった…弱いままの自分ではないのだ。
無意識にディーノは自身の左腕をぎゅっと掴む。
モッズコートの服の上からでは見えないが、確かにそこには刺青がある。
“ボスに相応しい者になった時に浮かび上がる”刺青が。
ファミリーと街の皆を守りたいと言う一念で浮かび上がった刺青。
勿論ファミリーと街を皆を守りたいと言う気持ちは変わらない。
それに加え自分の大切な人を守りたいと言う気持ちが…今のディーノにはある。
欲張りだなとディーノ自身思うが、こればかりは仕方ないのだ。
(もしマリア…お前を此処から救い出したら…言ってもいいか?俺の気持ちを)
本来であれば科学博物館のデートを終えてから言うはずだった言葉。
だがそれはこんな状況となった今では難しい。
先伸ばしした所で何も変わらないのだ。
ディーノの想いも、マリアとの関係も。
そんな事を思いながらぎゅっと左腕を掴む手に力を入れる。
ディーノ達が乗っていた車の後ろに停められた車からも、一人、また一人とディーノの部下が降りていく。
ロマーリオやトマゾ、アベーレ同様皆怒っているのだ。
真剣な表情でじっとヴァルッセファミリーの屋敷を見ている部下の目を見れば一目瞭然だ。
ヴァルッセファミリーの屋敷に乗り込み何をするかと言う作戦は既に部下達に伝えられていた。
ロマーリオが気を利かし、トマゾに動ける準備をしておくよう頼んだお陰でこんなにも早くヴァルッセファミリーの屋敷へと辿り着けたのだ。
「ボス、何時でもいいぜ」
ロマーリオの言葉に、ディーノは一度目を閉じ深呼吸する。
ディーノ自身冷静ではあるものの、その冷静を忘れないように心を落ち着かせると閉じていた瞳を開く。
「あぁ…じゃあ…
マリア奪還始めるぜ!!!!!」
「「「おぉ!!!!!!」」」
ディーノの言葉を合図に、キャバッローネ・ファミリーはヴァルッセファミリーの屋敷へと乗り込んだ―――…
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