不器用な恋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※【ディーノside】
「捨てたってどういう事だぁ?」
ディーノの胸倉を掴んでいた手を離し、スクアーロは真剣な眼差しで問う。
同級生であれどマリアの過去についてスクアーロは何も知らないのだ。
否、過去を知りたくないわけじゃない、勿論その話をマリアに聞いた事だってある。
教えてくれるのは養い親に拾われてからの事だ、それ以前の話を持ち出そうとすればマリアは泣くのを我慢したような表情を一瞬見せるのだ。
スクアーロ自身マリアにそんな表情をさせたかったわけではないのだ、だからこそ聞くに聞けず話題を逸らし続けていた。
「そのままの意味だ、アレッシオはマリアを捨てたんだ。当時のマリアは身体も弱くてしょっちゅう体調崩したり…勉強だって出来ない奴って思われてたからな…」
「…でも、捨てる必要性はないんじゃないの?血が繋がっていなくても、一応…教育は受けさせていたんでしょ?」
ルッスーリア自身そんなものは教育ではないと思っている。
だが他に言葉が見つからず、あえて教育と言う言葉を選んだ。
「言っただろ?アレッシオは…アリーチェさん以外どうでも良かったって。マリアをヴァルメリオファミリーに置いていた理由も、アリーチェさんを繋ぎとめる手段としか思ってない。マリアは…アリーチェさんが結婚する予定だった人との子だ、アレッシオ自身の子供でも何でもない上に暴力だって振るってたんだぜ?」
躾とは言えない躾…それはただの暴力でしかない。
愛情もなければ度が過ぎれば虐待にもなるのだ。
「そんな奴が自分の都合で…マリアを捨てたり連れ戻したり…どんな理由であれ、身勝手で…今更だろ」
そうディーノが言えば、その場に居る全員がディーノの言葉に頷くしか出来ない。
いくら血が繋がっていなくても親子なら…と最初は少なからず思った。
マフィアの世界だ、それこそ綺麗事ばかりではない。
時には汚い部分や血生臭い何かがあるのも仕方のない事だと多少なら目を瞑れるだろう。
だが、実際蓋を開けてみればあまりにも酷い有様にディーノが声を荒げた理由も頷けてしまうのだ。
再び静寂が広がり誰も何も言わず、ただただ時が流れる中。
―――コンコン
と、控えめにドアをノックする音が聞こえた。
ガチャリと音を立てながらおずおずと、フゥ太が一人ツナの部屋のドアを開け隙間から覗く。
雰囲気を察してか部屋の中に入ってこないフゥ太に、ディーノは立ち上がり扉の前でしゃがみ込む。
「どうしたんだ、フゥ太?」
目線を合わせ、先ほどとは打って変わって優しそうな表情でディーノが問えば、フゥ太はぎゅっと握りしめていた手の中にある物を差し出しながら「これ」と呟く。
差し出された物を見れば、フゥ太の手のひらの中には青い携帯がある。
機種自体はマリアが普段使っている携帯と同じなのだが、マリアが普段から使っている携帯は赤色である。
誰の携帯だろうと首を傾げるが、そんなディーノに対しフゥ太は口を開く。
「これ…マリア姉がディーノ兄に渡しておいてって、僕預かってたんだ」
「マリアの携帯か?」
「…そうみたい。赤色じゃないから最初は分からなかったけど…でもマリア姉の白衣から出て来たからきっとマリア姉のだと思う」
そう言ってフゥ太は「それだけだから…!」と言い残しフゥ太が再び一階へと降りて行くのを確認すれば、一同はディーノに渡された携帯へと視線を向ける。
恐らく誰もこの青色の携帯を見た事が無いのだろう。
だれもマリアの携帯だと断定する事が出来ず不思議そうにディーノに渡された青い携帯を眺めている。
「青色の携帯なんて持ってたのか、マリアのやつ」
「ボス、お嬢の仕事用の携帯じゃないのか?」
「その可能性はありそうですね。普段お嬢が使ってる携帯ってプライベート用だって言ってたと思います」
「…取りあえず開いてみたらいいんじゃないか?マリアが渡して来たって事は何かしらその携帯にあるだろ」
リボーンはそう言いながらディーノの肩へ乗り、自分も携帯が見える位置へと移動する。
ただ携帯を眺めていても仕方ないのだ、中身を見なければどうしてマリアがこの携帯をフゥ太に渡したのかすら分からないのだ。
ディーノはリボーンの言葉に頷き、そっと渡された携帯を開く。
マリアの事だ、仮にもしこれが仕事用の携帯であれば画面にロックがかかっているだろうと踏んだが…ロックは幸いにかけられていなかった。
普段しっかりしており、仕事用ともなれば個人情報の問題や信頼問題にも関わってくるはずなのにロックがかかっていない事にディーノは不審に思うが、ディーノが携帯画面を見た瞬間「え…」と言葉を漏らす。
携帯の待ち受け画面には幼いマリアと、マリアを抱きかかえている人の姿が写っていた。
画像のマリアは今とは違い腰まで髪が伸びており笑顔を向けているが、一緒に写っている人物は笑顔が苦手なのか不器用ながらではあるもののほんの少しだけ口角が上がっている。
マリアの身長からして八歳前後ではないかと推測するが、隣に写っている人物の年齢までは分からない。
透き通るような肌に白青色の長い髪、月を思い浮かばせるような金色の瞳。
パッと見ただけでは女性のような容姿だが…よく見れば喉に突出部が出来ている。
よく見なければ分からないが、マリアを抱えている人は恐らく男性だ。
知らない男性のはずなのに、ディーノは違和感を覚える。
この男性にディーノは会った事が無いはずなのに…よく見ればそれはディーノが知っている人物と似ていたのだ。
「この人…」
「こいつは…」
「ゔお゙ぉい!!!ちょっと待て、そいつは…ルーナ・ブルじゃねぇーか!?」
ディーノの背後からスクアーロも携帯を覗き込み見ていたのか、ディーノの耳の近くでスクアーロのけたたまし声が響く。
同じく背後から覗き込んでいたルッスーリアも「あら、ほんとね?ルーナ・ブルの外見としっかり一致してるじゃない」とグラサン越しでは分からないが驚いた表情をしていた。
まだ携帯の画面が見れていなかったロマーリオとアベーレにも見せるが、アベーレは初めて見る人物に「これがルーナ・ブル?なんですか?」と言いたそうな目でじっとルーナ・ブルであろう人物を見ている。
「なぁ、ボスこの人」
「あぁ…ロマーリオお前もやっぱり思うか?」
だがディーノとロマーリオの二人だけは、スクアーロ達ヴァリアーの様な反応はしなかった。
かと言ってアベーレのような何も知らないと言わんばかりの反応でもない。
まるでその人物を知っている反応に「ディーノはマリアと一緒に写っている奴を知ってるのか?」と、リボーンがディーノに問う。
「髪も、目の色も違うが…恐らくフィネスさんだ」
「あ゙ぁ゙?跳ね馬誰だそいつは…」
「マリアの…養親だ」
「え?!じゃあマリアちゃんの養親がルーナ・ブルって事?!」
「マリアの養親がルーナ・ブルだったとしても…五年前に亡くなったってマリアは言ってたじゃねぇ―か?」
リボーンの言葉に、スクアーロとルッスーリアの動きが止まる。
日本に来るまでにもいくつかの国を探しまわったがそれでも情報も成果も得られず時間を無駄にしていたのだ。
ようやくルーナ・ブルに関しての情報を手に入れたと思えば、まさか亡くなっている等と言う追い打ちをかけられれば誰だって動きが止まる。
「…おい跳ね馬、実は養親は生きてるとか言うオチじゃねぇーのか?」
リボーンとディーノの言葉に疑心暗鬼になりながらも、スクアーロはディーノに問う。
「否それはない。亡くなったのは確かに家だったが街医者の先生にも見てもらって死亡診断は受けてたしな。葬儀は身内だけ…っつても、マリアだけでほとんどやったけど俺も一応参列してたし亡くなっている事は間違いねえ」
ディーノはフィネスが亡くなった当時の事を思い出す。
あの時はマリアの事が心配でディーノはずっとマリアと居たのだ。
イタリアも日本と同じように通夜もあれば葬式だってある。
一般的にイタリアの葬式は教会で行われ、安らかな永遠の眠りをお祈りするミサを行う。
埋葬方法もイタリアでは土葬が主流だ。
だが、フィネスは通夜は一日だけ、葬式も行わず埋葬方法は火葬を選んでいた。
火葬にすると最後の審判の日に肉体が蘇って天国へいくことができなくなるというカトリックの教えがあるためか、火葬を選ぶ人間はほとんどいなかった。
フィネスの選択にディーノは驚きはあれど、元からカトリックの教え等に拘るような人ではなかった。
そう言う選択をする事もあるんだなと当時のディーノは思っていたくらいだ。
葬儀社の手で湯灌され棺の中に入れられるのも、火葬場で火葬されるのをディーノはマリアと共に見たのだ。
だからこそディーノは言い切れる。
間違いなくフィネスが亡くなっている事を―――…
「仮に…ルーナ・ブルがフィネスさんだったとしたら…九代目は何でヴァリアーに探せって依頼したんだよ?」
「ゔお゙ぉい…そりゃ生きてるから探せって事だろ。俺たちの任務は…ルーナ・ブルの保護だからな」
「ルーナ・ブルの保護?」
そう言えば最初に聞いた時スクアーロは「簡単に言えば人探しだ」と言っていたのをディーノは思い出す。
保護をする前に保護をする人物を探さなければならないのだ。
普段であれば人物を探したとしてもすぐ見つけられるはずがボンゴレファミリー最強と謳われる暗殺部隊ヴァリアーが此処まで手こずる事はなかっただろう。
それなら最初に何故人探しだとスクアーロが言ったのか、その意味をようやく理解する。
「そうよ~。そしてルーナ・ブルを狙っているブラックリスト入りしているマフィアの手に渡らないようにする…それが私達に課せられた任務よ」
ルッスーリアがそう言いながらディーノ達に説明する中、ただただリボーンはディーノが手に持っているマリアの青色の携帯の待ち受け画面を見ているだけだった。
2024/10/14
「捨てたってどういう事だぁ?」
ディーノの胸倉を掴んでいた手を離し、スクアーロは真剣な眼差しで問う。
同級生であれどマリアの過去についてスクアーロは何も知らないのだ。
否、過去を知りたくないわけじゃない、勿論その話をマリアに聞いた事だってある。
教えてくれるのは養い親に拾われてからの事だ、それ以前の話を持ち出そうとすればマリアは泣くのを我慢したような表情を一瞬見せるのだ。
スクアーロ自身マリアにそんな表情をさせたかったわけではないのだ、だからこそ聞くに聞けず話題を逸らし続けていた。
「そのままの意味だ、アレッシオはマリアを捨てたんだ。当時のマリアは身体も弱くてしょっちゅう体調崩したり…勉強だって出来ない奴って思われてたからな…」
「…でも、捨てる必要性はないんじゃないの?血が繋がっていなくても、一応…教育は受けさせていたんでしょ?」
ルッスーリア自身そんなものは教育ではないと思っている。
だが他に言葉が見つからず、あえて教育と言う言葉を選んだ。
「言っただろ?アレッシオは…アリーチェさん以外どうでも良かったって。マリアをヴァルメリオファミリーに置いていた理由も、アリーチェさんを繋ぎとめる手段としか思ってない。マリアは…アリーチェさんが結婚する予定だった人との子だ、アレッシオ自身の子供でも何でもない上に暴力だって振るってたんだぜ?」
躾とは言えない躾…それはただの暴力でしかない。
愛情もなければ度が過ぎれば虐待にもなるのだ。
「そんな奴が自分の都合で…マリアを捨てたり連れ戻したり…どんな理由であれ、身勝手で…今更だろ」
そうディーノが言えば、その場に居る全員がディーノの言葉に頷くしか出来ない。
いくら血が繋がっていなくても親子なら…と最初は少なからず思った。
マフィアの世界だ、それこそ綺麗事ばかりではない。
時には汚い部分や血生臭い何かがあるのも仕方のない事だと多少なら目を瞑れるだろう。
だが、実際蓋を開けてみればあまりにも酷い有様にディーノが声を荒げた理由も頷けてしまうのだ。
再び静寂が広がり誰も何も言わず、ただただ時が流れる中。
―――コンコン
と、控えめにドアをノックする音が聞こえた。
ガチャリと音を立てながらおずおずと、フゥ太が一人ツナの部屋のドアを開け隙間から覗く。
雰囲気を察してか部屋の中に入ってこないフゥ太に、ディーノは立ち上がり扉の前でしゃがみ込む。
「どうしたんだ、フゥ太?」
目線を合わせ、先ほどとは打って変わって優しそうな表情でディーノが問えば、フゥ太はぎゅっと握りしめていた手の中にある物を差し出しながら「これ」と呟く。
差し出された物を見れば、フゥ太の手のひらの中には青い携帯がある。
機種自体はマリアが普段使っている携帯と同じなのだが、マリアが普段から使っている携帯は赤色である。
誰の携帯だろうと首を傾げるが、そんなディーノに対しフゥ太は口を開く。
「これ…マリア姉がディーノ兄に渡しておいてって、僕預かってたんだ」
「マリアの携帯か?」
「…そうみたい。赤色じゃないから最初は分からなかったけど…でもマリア姉の白衣から出て来たからきっとマリア姉のだと思う」
そう言ってフゥ太は「それだけだから…!」と言い残しフゥ太が再び一階へと降りて行くのを確認すれば、一同はディーノに渡された携帯へと視線を向ける。
恐らく誰もこの青色の携帯を見た事が無いのだろう。
だれもマリアの携帯だと断定する事が出来ず不思議そうにディーノに渡された青い携帯を眺めている。
「青色の携帯なんて持ってたのか、マリアのやつ」
「ボス、お嬢の仕事用の携帯じゃないのか?」
「その可能性はありそうですね。普段お嬢が使ってる携帯ってプライベート用だって言ってたと思います」
「…取りあえず開いてみたらいいんじゃないか?マリアが渡して来たって事は何かしらその携帯にあるだろ」
リボーンはそう言いながらディーノの肩へ乗り、自分も携帯が見える位置へと移動する。
ただ携帯を眺めていても仕方ないのだ、中身を見なければどうしてマリアがこの携帯をフゥ太に渡したのかすら分からないのだ。
ディーノはリボーンの言葉に頷き、そっと渡された携帯を開く。
マリアの事だ、仮にもしこれが仕事用の携帯であれば画面にロックがかかっているだろうと踏んだが…ロックは幸いにかけられていなかった。
普段しっかりしており、仕事用ともなれば個人情報の問題や信頼問題にも関わってくるはずなのにロックがかかっていない事にディーノは不審に思うが、ディーノが携帯画面を見た瞬間「え…」と言葉を漏らす。
携帯の待ち受け画面には幼いマリアと、マリアを抱きかかえている人の姿が写っていた。
画像のマリアは今とは違い腰まで髪が伸びており笑顔を向けているが、一緒に写っている人物は笑顔が苦手なのか不器用ながらではあるもののほんの少しだけ口角が上がっている。
マリアの身長からして八歳前後ではないかと推測するが、隣に写っている人物の年齢までは分からない。
透き通るような肌に白青色の長い髪、月を思い浮かばせるような金色の瞳。
パッと見ただけでは女性のような容姿だが…よく見れば喉に突出部が出来ている。
よく見なければ分からないが、マリアを抱えている人は恐らく男性だ。
知らない男性のはずなのに、ディーノは違和感を覚える。
この男性にディーノは会った事が無いはずなのに…よく見ればそれはディーノが知っている人物と似ていたのだ。
「この人…」
「こいつは…」
「ゔお゙ぉい!!!ちょっと待て、そいつは…ルーナ・ブルじゃねぇーか!?」
ディーノの背後からスクアーロも携帯を覗き込み見ていたのか、ディーノの耳の近くでスクアーロのけたたまし声が響く。
同じく背後から覗き込んでいたルッスーリアも「あら、ほんとね?ルーナ・ブルの外見としっかり一致してるじゃない」とグラサン越しでは分からないが驚いた表情をしていた。
まだ携帯の画面が見れていなかったロマーリオとアベーレにも見せるが、アベーレは初めて見る人物に「これがルーナ・ブル?なんですか?」と言いたそうな目でじっとルーナ・ブルであろう人物を見ている。
「なぁ、ボスこの人」
「あぁ…ロマーリオお前もやっぱり思うか?」
だがディーノとロマーリオの二人だけは、スクアーロ達ヴァリアーの様な反応はしなかった。
かと言ってアベーレのような何も知らないと言わんばかりの反応でもない。
まるでその人物を知っている反応に「ディーノはマリアと一緒に写っている奴を知ってるのか?」と、リボーンがディーノに問う。
「髪も、目の色も違うが…恐らくフィネスさんだ」
「あ゙ぁ゙?跳ね馬誰だそいつは…」
「マリアの…養親だ」
「え?!じゃあマリアちゃんの養親がルーナ・ブルって事?!」
「マリアの養親がルーナ・ブルだったとしても…五年前に亡くなったってマリアは言ってたじゃねぇ―か?」
リボーンの言葉に、スクアーロとルッスーリアの動きが止まる。
日本に来るまでにもいくつかの国を探しまわったがそれでも情報も成果も得られず時間を無駄にしていたのだ。
ようやくルーナ・ブルに関しての情報を手に入れたと思えば、まさか亡くなっている等と言う追い打ちをかけられれば誰だって動きが止まる。
「…おい跳ね馬、実は養親は生きてるとか言うオチじゃねぇーのか?」
リボーンとディーノの言葉に疑心暗鬼になりながらも、スクアーロはディーノに問う。
「否それはない。亡くなったのは確かに家だったが街医者の先生にも見てもらって死亡診断は受けてたしな。葬儀は身内だけ…っつても、マリアだけでほとんどやったけど俺も一応参列してたし亡くなっている事は間違いねえ」
ディーノはフィネスが亡くなった当時の事を思い出す。
あの時はマリアの事が心配でディーノはずっとマリアと居たのだ。
イタリアも日本と同じように通夜もあれば葬式だってある。
一般的にイタリアの葬式は教会で行われ、安らかな永遠の眠りをお祈りするミサを行う。
埋葬方法もイタリアでは土葬が主流だ。
だが、フィネスは通夜は一日だけ、葬式も行わず埋葬方法は火葬を選んでいた。
火葬にすると最後の審判の日に肉体が蘇って天国へいくことができなくなるというカトリックの教えがあるためか、火葬を選ぶ人間はほとんどいなかった。
フィネスの選択にディーノは驚きはあれど、元からカトリックの教え等に拘るような人ではなかった。
そう言う選択をする事もあるんだなと当時のディーノは思っていたくらいだ。
葬儀社の手で湯灌され棺の中に入れられるのも、火葬場で火葬されるのをディーノはマリアと共に見たのだ。
だからこそディーノは言い切れる。
間違いなくフィネスが亡くなっている事を―――…
「仮に…ルーナ・ブルがフィネスさんだったとしたら…九代目は何でヴァリアーに探せって依頼したんだよ?」
「ゔお゙ぉい…そりゃ生きてるから探せって事だろ。俺たちの任務は…ルーナ・ブルの保護だからな」
「ルーナ・ブルの保護?」
そう言えば最初に聞いた時スクアーロは「簡単に言えば人探しだ」と言っていたのをディーノは思い出す。
保護をする前に保護をする人物を探さなければならないのだ。
普段であれば人物を探したとしてもすぐ見つけられるはずがボンゴレファミリー最強と謳われる暗殺部隊ヴァリアーが此処まで手こずる事はなかっただろう。
それなら最初に何故人探しだとスクアーロが言ったのか、その意味をようやく理解する。
「そうよ~。そしてルーナ・ブルを狙っているブラックリスト入りしているマフィアの手に渡らないようにする…それが私達に課せられた任務よ」
ルッスーリアがそう言いながらディーノ達に説明する中、ただただリボーンはディーノが手に持っているマリアの青色の携帯の待ち受け画面を見ているだけだった。
2024/10/14
54/78ページ