不器用な恋
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※【ディーノside】
「にしても、マリアの奴遅くないか?」
マリアが一階に降りてお茶を貰いに行って既に数十分が経っている。
最初は奈々と話しながらお茶でも飲んでいるのだろうと思っていたが、数十分も経つ頃にはディーノは一人ソワソワしていた。
時計を見れば十時半の所を秒針が指しており、丁度ツナの二時間目の授業が終わった所だ。
「ママンが丁度昼食作ってる最中だからな、興味持って作ってる所見てるんじゃねぇーのか?」
「…まぁマリアも日本料理美味しいって言ってたし、作り方教わってる可能性も確かにあるだろうな…」
ソワソワしているディーノを見て、「落ち着けへなちょこ」っと、リボーンがディーノを諭す。
マリアが居なくてもソワソワする事等なかったはずなのに、何故今日に限ってはこんなにもソワソワしているのかリボーンは訝し気にディーノの方を見る。
先程のディーノの行動と言い、今日のディーノは第三者が見ても行動がおかしい。
それはリボーンだけでなく、ディーノの部下であるロマーリオやアベーレも感じていた。
「ゔお゙ぉい!!相変わらず暇そうだな、跳ね馬」
ガチャリと音を立て、ツナの部屋の扉が開かれけたたましい声がディーノ達の耳に届く。
三人は一斉に扉の方を向けば、そこには暗殺部隊ヴァリアーの一員であるスクアーロとルッスーリアの姿がそこに合った。
マリアがお茶を貰いに行く前にそう言えば後少ししたら来ると言っていたことをディーノは思い出す。
「相変わらずってお前な…」
「俺は事実を言ったまでだぁ」
「あら~?今日の主役たちはまだ帰ってないのかしら?」
「ついさっき二時間目が終わったところだ、帰ってくるまでにもう少しかかるぞ」
「あらそうなの?」
そう言いながらルッスーリアはツナのベッドの上に腰を下ろした。
「なぁ、スクアーロ…マリア見なかったか?」
ディーノの隣に腰を下ろすスクアーロに、ディーノは言葉を紡ぐ。
一階から上がって来たのだ、一階に居るはずのマリアとは顔を合わせたに違いない。
ディーノがスクアーロに問えば、スクアーロは何言ってんだお前?と言う目でディーノの方を見る。
「ゔお゙ぉい…マリアなら居なかったぞ?」
「…え?」
スクアーロの言葉に、ディーノは思わず目を見開く。
無論ディーノだけでなく、ロマーリオとアベーレの動きも止まった。
一瞬スクアーロの発した言葉の意味が分からずに、ディーノの思考が停止する。
「…どうしたんだ跳ね馬、お前今日変だぞ」
同級生とは言えど、つい先程この部屋に入って来たスクアーロにすらおかしいと言われるほどだ。
ディーノ自身先程からの嫌な予感が隠せないのだろう。
「あ…否、マリアの奴なかなか帰ってこねぇーからどうしたのかと思って…な」
「あら聞いてないの?子供達と一緒にお醤油買いに行ったみたいよ?」
「…醤油?」
「そうよ~、お醤油切らしちゃって困ってた所をマリアちゃんが買いに行くって言ってくれたみたいでお使いを頼んだって言ってたわよ」
ルッスーリアの言葉に、ディーノはロマーリオとアベーレの方を見る。
もう既に二人は分かっていたのだろう、これからディーノが言おうとしている事が。
すっとその場で立ち上がり、ディーノの言葉を待つ。
「…悪い、ロマーリオ、アベーレ」
「あぁ分かってるぜボス、行くぞアベーレ」
「はい、ロマーリオさん」
ディーノの言葉に、ロマーリオとアベーレが急いでツナの部屋を出ては外へと走って行った。
ロマーリオはもとよりアベーレも此処最近マリアの送迎を任せていたのだ、この辺りの道は既に頭の中に入っている。
だが部屋の中に残っているリボーンにスクアーロ、ルッスーリアは今の状況が掴めずに不思議そうにディーノへと視線を向けていた。
それもそのはずだ、たかがお使いで醤油を買いに行っているだけなのに何故二人も行かせたのかと疑問が生じるのだから。
「ディーノ…何でロマーリオまでマリアを探させに行かせちまったんだ?」
「念のため…な」
「あ゙ぁ゙?どういう事だ?」
ディーノの意味深い発言にスクアーロは目を細める。
イタリアから出た事が無いマリアの事だ、迷子になる可能性を考えてロマーリオとアベーレに探させに行かせたと言うのにはどうも引っ掛かる。
土地勘は確かにマリアにはないだろうが、極度の方向音痴ではない。
一週間車で送迎されていたと言えど、通い慣れた道ならマリアは問題なく行動できる。
尚且つ子供とは言えフゥ太も居るのだ、道に迷う可能性は極めて低い。
そしてマリアは一般人なのだ。
国外に居ると言えど、どこかのマフィアに属しているわけでもなく命を狙われる心配すらない。
それなのに何故腹心の部下であるロマーリオまでもがマリアを探しに行ったのかスクアーロには理解できなかった。
部下が居なければディーノは普段の実力すら発揮できず、運動音痴になる。
だからこそこの場に居るメンバーは引っ掛かるのだ、ディーノがそうまでして部下二人を行かせた理由を―――…
「…まぁ、マリアが居ないから話しても問題ないか」
ロマーリオとアベーレが出て行った部屋の扉をじっと見ていたが、ディーノは視線を戻し鳶色の瞳に三人の姿を映す。
何もなければ話す必要性もないだろうと思うのだが…先ほどから嫌な予感が止まらないのだ…。
尚且つ隠すに隠せない状況でもある。
黙っていた所でリボーンもスクアーロも…ルッスーリアですらマリアの事なのだ、問いただすに違いないと思いディーノは口を開いた。
「…マリアには黙ってたんだが…マリアの家の周辺を他のマフィアの連中がうろついてたみたいなんだよ」
「マリアの家の周辺?」
「あぁ…見張りも置いて様子見してもらってたが、すんなり引き上げたって報告は貰ってる」
マリアの家があるのはキャバッローネ・ファミリーのシマ内だ。
キャバッローネ・ファミリーのシマに攻め込むと言う理由でなら、他のマフィアが居る事は何もおかしくない。
だが今回は明確に、キャバッローネ・ファミリーのシマを攻めると言う事ではなくマリア個人に対しての事だ。
その証拠にキャバッローネ・ファミリーのシマを踏み荒らすような行為は一切行われていない。
マリアの家の周辺をうろついていたがマリアが居ない事が分かったのだろう。
その後は速やかに引き上げたのかそれ以降他のマフィアがキャバッローネ・ファミリーのシマに立ち入った報告は受けていないのだ。
「どういう理由でマリアの家の周辺をうろついてたか分かってない上に、何処のマフィアの連中かも調べて貰ってるがまだ報告もこねえからな…」
携帯を取り出し、念のためメールを受信するものの新着メールは来ていない。
パタンと閉じてはぎゅっと片手でディーノは自身の携帯を握りしめる。
「マリアちゃんはそれ知ってるの?」
「言ってねぇー…流石にイタリアに居るわけじゃないからな…ただ」
「ただ?」
「嫌な予感がする…」
そう呟きディーノの額にはうっすらと冷や汗が浮かぶ。
イタリアに居るトマゾからの連絡を貰ってからは、極力マリアを一人で行動させなかった。
運がいいのか悪いのか、公園での出来事もありまたそう言う事が起きないようにと理由を付けては護衛としてアベーレをマリアにつけた。
ディーノの帰国を伸ばしたのだって勿論迷子になるからと言う理由も少なからずある、あるのだが迷子よりもマリアが狙われている可能性があるのだから日本に一人残して帰る事なんてディーノには出来なかった。
トマゾや他の部下は勿論の事だが、リコも渋々ではあるが「今回だけですからね」と言われたのは言うまでもない。
だがまさかマリアの方から一人で動くとは思わなかった。
いくら日本と言えど用心に越したことはない、そう思っていたのにだ。
「早く見つかるといいんだがな…」
連絡の来ない携帯をただぎゅっと握りしめて、ディーノはただポツリと呟いた―――…
2024/10/08
「にしても、マリアの奴遅くないか?」
マリアが一階に降りてお茶を貰いに行って既に数十分が経っている。
最初は奈々と話しながらお茶でも飲んでいるのだろうと思っていたが、数十分も経つ頃にはディーノは一人ソワソワしていた。
時計を見れば十時半の所を秒針が指しており、丁度ツナの二時間目の授業が終わった所だ。
「ママンが丁度昼食作ってる最中だからな、興味持って作ってる所見てるんじゃねぇーのか?」
「…まぁマリアも日本料理美味しいって言ってたし、作り方教わってる可能性も確かにあるだろうな…」
ソワソワしているディーノを見て、「落ち着けへなちょこ」っと、リボーンがディーノを諭す。
マリアが居なくてもソワソワする事等なかったはずなのに、何故今日に限ってはこんなにもソワソワしているのかリボーンは訝し気にディーノの方を見る。
先程のディーノの行動と言い、今日のディーノは第三者が見ても行動がおかしい。
それはリボーンだけでなく、ディーノの部下であるロマーリオやアベーレも感じていた。
「ゔお゙ぉい!!相変わらず暇そうだな、跳ね馬」
ガチャリと音を立て、ツナの部屋の扉が開かれけたたましい声がディーノ達の耳に届く。
三人は一斉に扉の方を向けば、そこには暗殺部隊ヴァリアーの一員であるスクアーロとルッスーリアの姿がそこに合った。
マリアがお茶を貰いに行く前にそう言えば後少ししたら来ると言っていたことをディーノは思い出す。
「相変わらずってお前な…」
「俺は事実を言ったまでだぁ」
「あら~?今日の主役たちはまだ帰ってないのかしら?」
「ついさっき二時間目が終わったところだ、帰ってくるまでにもう少しかかるぞ」
「あらそうなの?」
そう言いながらルッスーリアはツナのベッドの上に腰を下ろした。
「なぁ、スクアーロ…マリア見なかったか?」
ディーノの隣に腰を下ろすスクアーロに、ディーノは言葉を紡ぐ。
一階から上がって来たのだ、一階に居るはずのマリアとは顔を合わせたに違いない。
ディーノがスクアーロに問えば、スクアーロは何言ってんだお前?と言う目でディーノの方を見る。
「ゔお゙ぉい…マリアなら居なかったぞ?」
「…え?」
スクアーロの言葉に、ディーノは思わず目を見開く。
無論ディーノだけでなく、ロマーリオとアベーレの動きも止まった。
一瞬スクアーロの発した言葉の意味が分からずに、ディーノの思考が停止する。
「…どうしたんだ跳ね馬、お前今日変だぞ」
同級生とは言えど、つい先程この部屋に入って来たスクアーロにすらおかしいと言われるほどだ。
ディーノ自身先程からの嫌な予感が隠せないのだろう。
「あ…否、マリアの奴なかなか帰ってこねぇーからどうしたのかと思って…な」
「あら聞いてないの?子供達と一緒にお醤油買いに行ったみたいよ?」
「…醤油?」
「そうよ~、お醤油切らしちゃって困ってた所をマリアちゃんが買いに行くって言ってくれたみたいでお使いを頼んだって言ってたわよ」
ルッスーリアの言葉に、ディーノはロマーリオとアベーレの方を見る。
もう既に二人は分かっていたのだろう、これからディーノが言おうとしている事が。
すっとその場で立ち上がり、ディーノの言葉を待つ。
「…悪い、ロマーリオ、アベーレ」
「あぁ分かってるぜボス、行くぞアベーレ」
「はい、ロマーリオさん」
ディーノの言葉に、ロマーリオとアベーレが急いでツナの部屋を出ては外へと走って行った。
ロマーリオはもとよりアベーレも此処最近マリアの送迎を任せていたのだ、この辺りの道は既に頭の中に入っている。
だが部屋の中に残っているリボーンにスクアーロ、ルッスーリアは今の状況が掴めずに不思議そうにディーノへと視線を向けていた。
それもそのはずだ、たかがお使いで醤油を買いに行っているだけなのに何故二人も行かせたのかと疑問が生じるのだから。
「ディーノ…何でロマーリオまでマリアを探させに行かせちまったんだ?」
「念のため…な」
「あ゙ぁ゙?どういう事だ?」
ディーノの意味深い発言にスクアーロは目を細める。
イタリアから出た事が無いマリアの事だ、迷子になる可能性を考えてロマーリオとアベーレに探させに行かせたと言うのにはどうも引っ掛かる。
土地勘は確かにマリアにはないだろうが、極度の方向音痴ではない。
一週間車で送迎されていたと言えど、通い慣れた道ならマリアは問題なく行動できる。
尚且つ子供とは言えフゥ太も居るのだ、道に迷う可能性は極めて低い。
そしてマリアは一般人なのだ。
国外に居ると言えど、どこかのマフィアに属しているわけでもなく命を狙われる心配すらない。
それなのに何故腹心の部下であるロマーリオまでもがマリアを探しに行ったのかスクアーロには理解できなかった。
部下が居なければディーノは普段の実力すら発揮できず、運動音痴になる。
だからこそこの場に居るメンバーは引っ掛かるのだ、ディーノがそうまでして部下二人を行かせた理由を―――…
「…まぁ、マリアが居ないから話しても問題ないか」
ロマーリオとアベーレが出て行った部屋の扉をじっと見ていたが、ディーノは視線を戻し鳶色の瞳に三人の姿を映す。
何もなければ話す必要性もないだろうと思うのだが…先ほどから嫌な予感が止まらないのだ…。
尚且つ隠すに隠せない状況でもある。
黙っていた所でリボーンもスクアーロも…ルッスーリアですらマリアの事なのだ、問いただすに違いないと思いディーノは口を開いた。
「…マリアには黙ってたんだが…マリアの家の周辺を他のマフィアの連中がうろついてたみたいなんだよ」
「マリアの家の周辺?」
「あぁ…見張りも置いて様子見してもらってたが、すんなり引き上げたって報告は貰ってる」
マリアの家があるのはキャバッローネ・ファミリーのシマ内だ。
キャバッローネ・ファミリーのシマに攻め込むと言う理由でなら、他のマフィアが居る事は何もおかしくない。
だが今回は明確に、キャバッローネ・ファミリーのシマを攻めると言う事ではなくマリア個人に対しての事だ。
その証拠にキャバッローネ・ファミリーのシマを踏み荒らすような行為は一切行われていない。
マリアの家の周辺をうろついていたがマリアが居ない事が分かったのだろう。
その後は速やかに引き上げたのかそれ以降他のマフィアがキャバッローネ・ファミリーのシマに立ち入った報告は受けていないのだ。
「どういう理由でマリアの家の周辺をうろついてたか分かってない上に、何処のマフィアの連中かも調べて貰ってるがまだ報告もこねえからな…」
携帯を取り出し、念のためメールを受信するものの新着メールは来ていない。
パタンと閉じてはぎゅっと片手でディーノは自身の携帯を握りしめる。
「マリアちゃんはそれ知ってるの?」
「言ってねぇー…流石にイタリアに居るわけじゃないからな…ただ」
「ただ?」
「嫌な予感がする…」
そう呟きディーノの額にはうっすらと冷や汗が浮かぶ。
イタリアに居るトマゾからの連絡を貰ってからは、極力マリアを一人で行動させなかった。
運がいいのか悪いのか、公園での出来事もありまたそう言う事が起きないようにと理由を付けては護衛としてアベーレをマリアにつけた。
ディーノの帰国を伸ばしたのだって勿論迷子になるからと言う理由も少なからずある、あるのだが迷子よりもマリアが狙われている可能性があるのだから日本に一人残して帰る事なんてディーノには出来なかった。
トマゾや他の部下は勿論の事だが、リコも渋々ではあるが「今回だけですからね」と言われたのは言うまでもない。
だがまさかマリアの方から一人で動くとは思わなかった。
いくら日本と言えど用心に越したことはない、そう思っていたのにだ。
「早く見つかるといいんだがな…」
連絡の来ない携帯をただぎゅっと握りしめて、ディーノはただポツリと呟いた―――…
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