不器用な恋
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勉強会を終え、教える役目を終えたスクアーロとルッスーリアをマリアは沢田家の玄関前で見送る。
元々スクアーロを呼んだのはマリアなのだ。
見送る位はしようと思いこうして玄関まで出向いている。
「今日はありがとうね、スクアーロにルッスーリアも」
つい数時間前には睨み合い争いの一つでも勃発しそうな勢いだったマリアとスクアーロは何事もなく接していた。
言い争い銃を突きつけ剣を向ける事はあれど、睨み合うまでがワンセットのやり取りなのだ。
その後は特に言い争う事なく普通に勉強を見ていたり話をするなどしていたのもあってある意味ツナ達には不思議がられたが。
「…フン、俺はあの写真を情報屋なんかに渡されるのを阻止したまでだ」
「ふふ、いいのよ~?私も楽しかったし」
スクアーロは口ではそう言うものの何だかんだ面倒見がいいのをマリアは知っている。
知っているが故に今回スクアーロに頼んで勉強を見てもらったのだ。
初めから写真を情報屋に渡すなんて事をするわけもなく、スクアーロも最初からそんな事をするとは微塵も思っていない。
ルッスーリアに関しても面白そうだから着いてきたと言っていたがなんだかんだでルッスーリアも面倒見がいいのだろう。
ツナ達に教えるのを楽しそうに教えていたのを見れば明白だ。
「じゃ私達は行くわね?また何かあったらスクアーロにだけじゃなくて私にも…連絡頂戴ねマリアちゃん」
『そう言ってもらえると助かるかな』
ルッスーリアの言葉にマリアは嬉しそうに笑う。
今までそう言ってくれる相手がディーノやスクアーロ、キャバッローネ・ファミリーの皆しか居なかったのだ。
その事が嬉しくてくすぐったく、マリアは『ありがとう』と改めてルッスーリアに伝える。
そんなマリアを見ればルッスーリアも笑い、「今度一緒にお茶しましょうね~」なんて言いながらルッスーリアはスクアーロより先に帰路に着こうと歩み出す。
スクアーロも同じようにルッスーリアの後に着いて行こうと足を向けるが…
『あ、ちょっとスクアーロ』
と、マリアが何かを思い出しスクアーロを呼び止めた。
ルッスーリアには聞こえていないのか…はたまた聞こえないふりをしているのかスクアーロを置いてスタスタと歩いていく。
「何だ、マリア」
呼び止められたスクアーロは何故自分だけ呼び止められたのか分からずにマリアを見下ろした。
スクアーロの身長はディーノと似たような身長だ。
それでもマリアよりも遥かに高い身長のスクアーロを、マリアは見上げる。
『ちょっと屈みなさいよ』
「ゔお゙ぉぉい!?何でだ?」
『…いいから、屈みなさいよ』
「おぉ…?」
訳が分からずスクアーロはマリアに言われるがまま屈む。
二十六センチも身長差があるのだ、スクアーロが屈んでようやくスクアーロとマリアの目線が一緒になる。
(何だ?)
視線が合えばお互いの姿をその瞳に写すがマリアの表情からして何がしたいのかスクアーロには分からない。
だが次の瞬間、マリアが手を伸ばしスクアーロの頭をぽんぽんと優しく叩けばそのまま頭を撫でた。
温かく優しい、幼い子供にするかのような手慣れた手つきで頭を撫でる。
撫でている間マリアは何も言わない。
勿論それはスクアーロもだが、スクアーロの場合訳が分からずに思考が停止しているのだ。
どうして撫でたのか、どうして撫でられてるのか理解が出来ずただただ鳩が豆鉄砲を食ったような表情でマリアを見ている。
そんなスクアーロに『何アホ面してんのよ?』と笑いながらマリアは言うがスクアーロは何も言い出さない。
今の現状が上手く呑み込めていないせいか、マリアに何も言う事が出来ないのだ。
『じゃ、スクアーロも仕事頑張りなさいよ?』
「お…おぉ…」
『ルーナ・ブル…ちゃんと見つかるといいわね』
「…おう」
呆けた返事をするスクアーロにそう言って、撫でるのを止めればマリアはツナの家へと戻って行く。
ふんわりとマリアが普段使っている香水の香りが、スクアーロの鼻孔をくすぐる。
戻っていくマリアをその瞳に写す事しか出来ず、スクアーロは動く事が出来ない。
「なんなんだ…一体…」
その場に一人残されたスクアーロはポツリと呟いた。
閉まった玄関のドアを見るがマリアの姿は何処にもなく、ただただ玄関のドアをじっと見つめる。
「あら~、良かったじゃないスクアーロ」
その場で動けずにいたスクアーロの背後からルッスーリアが声をかけた。
どうやらスクアーロが後を追ってこず心配したのか戻って来たルッスーリアは先程の光景をバッチリとその目に目撃したようだ。
ニヤニヤしながら話しかけてくるルッスーリアを気持ち悪いと思いつつも…未だマリアの行動の意図が掴めずにいる。
だがルッスーリアの言うようにスクアーロにとって良かった事であるのは違いない。
「お、おぉ…」
普段のようなけたたましい声を上げず、ただおずおずとスクアーロは答える。
自分が何をされたのか未だ理解できずに、撫でられた部分にスクアーロは自身の手を当て呆けてしまう。
優しく温かい、マリアの手。
まさかマリアに頭を撫でられるとは思わなかった。
『同級生相手に頭撫でるなんてしないでしょ?』と言っていたはずなのに…だ。
触れた事のないマリアの手がスクアーロに触れた…ただそれだけのはずなのに心の底から嬉しい気持ちが沸き上がる。
好きな相手からそんな風に頭を撫でられれば素直に嬉しい、嬉しいのだがスクアーロの脳がうまく処理が出来ずただただその場に立ちつくす。
そんなスクアーロを見兼ね「ふふ、顔真っ赤よ?」と言いながらルッスーリアはスクアーロを見ながらにやけるのであった。
2024/09/26
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