不器用な恋
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※【ディーノside】
「おい、アルコバレーノ」
「何だスクアーロ?」
マリアがお手洗いに行った後、スクアーロはリボーンに声をかけた。
スクアーロがリボーンに声をかける事自体珍しいなと思いながら、ディーノはぼんやりと二人に目を向ける。
ツナや山本、獄寺はご飯が運ばれるまでテーブルの上の勉強道具を移動させたり、テーブルを拭く等しているせいかスクアーロの声には気付いて居ないようだ。
声を潜める事もなく、それでも普段のけたたましい声量ではない音量でスクアーロは言葉を続ける。
「…九代目の依頼進んでんのか?」
「九代目の依頼?」
「何だ跳ね馬、知らねぇーのか」
「知らねぇーと思うぞ、今回の依頼は同盟ファミリーには伝えられてねぇからな」
リボーンはそう言いながらディーノの肩に乗る。
同盟ファミリーには伝えられていない依頼の内容を聞いても良いのか迷ったが、リボーンがディーノの肩に乗ったと言うのは聞けと言う事だろう。
ガシガシと頭を掻けば、スクアーロは口を開く。
「簡単に言えば人探しだ」
「人探し…?ヴァリアーがか?」
思わずスクアーロの方を見れば、確かにスクアーロは頷いた。
イタリアマフィア・ボンゴレファミリー最強と謳われる独立暗殺部隊ヴァリアーだ。
任務となればまた別なのかもしれないが、何故そんなヴァリアーに人探しの依頼が出されたのかディーノは不思議でしかない。
リボーンとスクアーロの様子を見る限り、進捗は著しくないようだが…。
「一体誰を探してるって言うんだよ?」
「…ルーナ・ブルっつー科学者だ」
「ルーナ…ブル…」
その言葉にディーノは一瞬息をのむ。
ディーノ自身その名前を聞いた事はあるが如何せん当たり障りのない事しか知らない。
ディーノでも知っていると言う事は、つまりスクアーロもリボーンも既に知っていることと言う事だ。
それ位当たり前…と言うよりもそれ位しかルーナ・ブルについての情報はないのだ。
「科学者ならマリアに聞いた方が早いんじゃないのか?」
科学者ならディーノではなく、少なくともマリアの方が詳しいだろう。
他の科学者とのやり取りをしている事は全く聞いた事が無いが、科学者と言う位だ。
少なからずディーノよりも情報を持っているはずだと思ったが、スクアーロとリボーンは既にマリアに聞いたのか口を噤んだ。
マリアもディーノ同様に昔から言われているような事位しか知らなかったのだろう。
あまりにも絶望的なやり取りにふと、マリアの事を思い出しリボーンはルッスーリアの方に視線を向ける。
「マリアと言えば…おい、ルッスーリア」
「あら、何かしら~?」
珍しいやり取りにディーノだけでなくスクアーロも話す二人を見る。
「今朝のマリアとのやり取りはどういう事だ?」
「どういう事って?」
「お前がマリアに依頼した時…何で金額が高くなるように持って行ったんだ?」
何故ルッスーリアがマリアにそう言ったのかリボーンは疑問に思ったのだろう。
無論ディーノやスクアーロもそれは思った。
普通交渉するにしても値下げの交渉が一般的だ。
だがルッスーリアは値下げの交渉ではなく逆に値上げの交渉に踏み出した。
いくらマリアの作る物がよくても、マリアが提示する金額にゼロ三つも付け足せばその分金額は高くなってしまう。
熱狂的な依頼者だから、信者だからと言えど、何故そこまで金額を上げたのか純粋にリボーンは不思議に思ったのだ。
リボーンの問いにルッスーリアは「そうねぇ…」と呟いてから言葉を続ける。
「あなた達マリアちゃん…紅白衣ちゃんに依頼したことあるかしら?」
ルッスーリアの言葉に、どういう事だ?と思いながらもディーノは言葉を紡ぐ。
「マリアにか…?俺はねぇーな…寧ろ実験台に使われるくらいだからなぁ」
ディーノ自身マリアに依頼をする事は皆無である。
学生時代…それよりも昔からの延長線でマリアの実験台として強制的にマリアの作った薬の餌食にはなっていた。
分野問わずいろいろな薬や物を作りだしてはいるが、ディーノ自身そう言った依頼をしようと考えた事すらないのだ。
たまに部下がマリアに薬を依頼する事はあるがそのお代も『今度美味しいカフェラテ飲ませてよね』と言うだけで金銭自体発生しない。
「今回頼んだが…お代は断られちまったからな」
リボーンも基本マリアに依頼する事はないが今回依頼した際には『珍しいリボーンの頼みだし、学生時代銃の扱い教えてくれたから気にしないでいいわよ』と言われそれでチャラになっている。
マリア自身趣味の延長線で作った薬も多いのだ、そう言う趣味の時間に裂いた依頼と思えば金銭を要求すると言う結果に至らなかったのだろう。
「…半年前に1回依頼した位か、あん時は経費で落としたがそれがどうしたんだ?」
スクアーロもディーノ同様強制的に実験台に使われる事が多々あった。
マリアからヘアオイルが送られてくるがそれも『実験台として』と言う建前があるので金額を要求する物ではなく、スクアーロ自体マリアが作った物を無碍にすること等出来ず使うしかないのだ。
流石にスクアーロも実験台と言えどしてもらってばかりでは気が引けるのでその分時間がある時に食事に誘ったりはするが…。
唯一スクアーロだけが三人の中でマリアに金銭の絡んだ依頼したことがあると話すとルッスーリアは「どうだった?」とスクアーロに問う。
「ゔお゙ぉぉい、どうだったって言われてもな…知り合い価格でいいって言われたから言われた額を支払った位だな。そもそも相場が分からねぇーもんをどう判断しろって言うんだルッスーリア?」
三者三様の言葉を聞けば聞いた私が馬鹿だったと言わんばかりに、ルッスーリアは溜息を付き三人を見る。
ディーノもスクアーロもリボーンも、マリアの知り合いなのだ。
知り合いなのだからそうなってしまうのも確かに予想がつく、つくのだが溜息を付かずにはいられなかった。
「…紅白衣ちゃんに依頼するのって…安いのよ」
「あ゙ぁ゙…どういう事だ?」
ルッスーリアの言葉に、スクアーロは首を傾げる。
「本当にその金額でいいの?って言いたくなるほどね…腕は確かで効果だって身をもって体感しているわ。だからこそ提示される金額が安すぎるのよ…」
「…ちなみにどれくらいなんだ?」
「私の場合紅白衣ちゃんに化粧水や乳液、スキンケア用品を依頼してるんだけど…一般的に出回っているちょっとだけお高目のブランド商品ってあるじゃない?それと同じ位の値段なのよ」
お高目のブランド商品と言えど、それでもそう言った商品ですら少なからず大量生産されている。
大量生産したうえでの値段と考えればまだ納得がいくのだ。
だがマリアの場合それに当てはまる事はない、何故なら大量生産しているわけではなく依頼者の内容に合わせて一から作っているのだから。
そうなればどう考えても安すぎるのだ、金額が。
「他の依頼者が何を依頼してどれくらいの金額でやり取りをしているのかは正直分からないけれど…少なくとも私は安いと思っちゃうのよね。故に正当な金額と言うか物に見合った支払いをしたいって言うか」
それだけマリアが作る物が素晴らしいのだと話を聞くだけで感じてしまう。
熱狂的な依頼者が居ると言うのはルッスーリア同様にそう思っている依頼者が多々居るからだろう。
無論作る物の効果の面でも想像以上に良い物を作り出しているのが伝わってくる…それなのに知名度が低いと言う矛盾が生まれる事に違和感を覚えるが。
「それもあるからこそ…紅白衣ちゃんに依頼する固定依頼者は皆貢ぎたいのよ!紅白衣ちゃんに!!!」
依頼者としてメールでのやり取りでもその旨を伝えるもののマリアには尽く断られるのだ。
ならば偶然と言えど知り合えた今だからこそルッスーリアはマリアに金額の交渉をした。
マリア自身滅多にイタリアから出る事はなく、また外に出たとしても早々知り合う可能性はないに等しいのだ。
今回人探しと言う九代目からの依頼には骨が折れるが、それ以上にマリアと知り合えた事がルッスーリアにとって本当に奇跡でしかない。
「他の依頼者は悔しがるといいわ~!おほほほほ」とルッスーリアのキャラが崩壊する位には今回の交渉は嬉しかったのだろう。
改めてマリアに依頼する熱狂的な依頼者…もとい信者はヤバイと…ディーノもスクアーロも身をもって心に刻んだのだった。
2024/09/24
「おい、アルコバレーノ」
「何だスクアーロ?」
マリアがお手洗いに行った後、スクアーロはリボーンに声をかけた。
スクアーロがリボーンに声をかける事自体珍しいなと思いながら、ディーノはぼんやりと二人に目を向ける。
ツナや山本、獄寺はご飯が運ばれるまでテーブルの上の勉強道具を移動させたり、テーブルを拭く等しているせいかスクアーロの声には気付いて居ないようだ。
声を潜める事もなく、それでも普段のけたたましい声量ではない音量でスクアーロは言葉を続ける。
「…九代目の依頼進んでんのか?」
「九代目の依頼?」
「何だ跳ね馬、知らねぇーのか」
「知らねぇーと思うぞ、今回の依頼は同盟ファミリーには伝えられてねぇからな」
リボーンはそう言いながらディーノの肩に乗る。
同盟ファミリーには伝えられていない依頼の内容を聞いても良いのか迷ったが、リボーンがディーノの肩に乗ったと言うのは聞けと言う事だろう。
ガシガシと頭を掻けば、スクアーロは口を開く。
「簡単に言えば人探しだ」
「人探し…?ヴァリアーがか?」
思わずスクアーロの方を見れば、確かにスクアーロは頷いた。
イタリアマフィア・ボンゴレファミリー最強と謳われる独立暗殺部隊ヴァリアーだ。
任務となればまた別なのかもしれないが、何故そんなヴァリアーに人探しの依頼が出されたのかディーノは不思議でしかない。
リボーンとスクアーロの様子を見る限り、進捗は著しくないようだが…。
「一体誰を探してるって言うんだよ?」
「…ルーナ・ブルっつー科学者だ」
「ルーナ…ブル…」
その言葉にディーノは一瞬息をのむ。
ディーノ自身その名前を聞いた事はあるが如何せん当たり障りのない事しか知らない。
ディーノでも知っていると言う事は、つまりスクアーロもリボーンも既に知っていることと言う事だ。
それ位当たり前…と言うよりもそれ位しかルーナ・ブルについての情報はないのだ。
「科学者ならマリアに聞いた方が早いんじゃないのか?」
科学者ならディーノではなく、少なくともマリアの方が詳しいだろう。
他の科学者とのやり取りをしている事は全く聞いた事が無いが、科学者と言う位だ。
少なからずディーノよりも情報を持っているはずだと思ったが、スクアーロとリボーンは既にマリアに聞いたのか口を噤んだ。
マリアもディーノ同様に昔から言われているような事位しか知らなかったのだろう。
あまりにも絶望的なやり取りにふと、マリアの事を思い出しリボーンはルッスーリアの方に視線を向ける。
「マリアと言えば…おい、ルッスーリア」
「あら、何かしら~?」
珍しいやり取りにディーノだけでなくスクアーロも話す二人を見る。
「今朝のマリアとのやり取りはどういう事だ?」
「どういう事って?」
「お前がマリアに依頼した時…何で金額が高くなるように持って行ったんだ?」
何故ルッスーリアがマリアにそう言ったのかリボーンは疑問に思ったのだろう。
無論ディーノやスクアーロもそれは思った。
普通交渉するにしても値下げの交渉が一般的だ。
だがルッスーリアは値下げの交渉ではなく逆に値上げの交渉に踏み出した。
いくらマリアの作る物がよくても、マリアが提示する金額にゼロ三つも付け足せばその分金額は高くなってしまう。
熱狂的な依頼者だから、信者だからと言えど、何故そこまで金額を上げたのか純粋にリボーンは不思議に思ったのだ。
リボーンの問いにルッスーリアは「そうねぇ…」と呟いてから言葉を続ける。
「あなた達マリアちゃん…紅白衣ちゃんに依頼したことあるかしら?」
ルッスーリアの言葉に、どういう事だ?と思いながらもディーノは言葉を紡ぐ。
「マリアにか…?俺はねぇーな…寧ろ実験台に使われるくらいだからなぁ」
ディーノ自身マリアに依頼をする事は皆無である。
学生時代…それよりも昔からの延長線でマリアの実験台として強制的にマリアの作った薬の餌食にはなっていた。
分野問わずいろいろな薬や物を作りだしてはいるが、ディーノ自身そう言った依頼をしようと考えた事すらないのだ。
たまに部下がマリアに薬を依頼する事はあるがそのお代も『今度美味しいカフェラテ飲ませてよね』と言うだけで金銭自体発生しない。
「今回頼んだが…お代は断られちまったからな」
リボーンも基本マリアに依頼する事はないが今回依頼した際には『珍しいリボーンの頼みだし、学生時代銃の扱い教えてくれたから気にしないでいいわよ』と言われそれでチャラになっている。
マリア自身趣味の延長線で作った薬も多いのだ、そう言う趣味の時間に裂いた依頼と思えば金銭を要求すると言う結果に至らなかったのだろう。
「…半年前に1回依頼した位か、あん時は経費で落としたがそれがどうしたんだ?」
スクアーロもディーノ同様強制的に実験台に使われる事が多々あった。
マリアからヘアオイルが送られてくるがそれも『実験台として』と言う建前があるので金額を要求する物ではなく、スクアーロ自体マリアが作った物を無碍にすること等出来ず使うしかないのだ。
流石にスクアーロも実験台と言えどしてもらってばかりでは気が引けるのでその分時間がある時に食事に誘ったりはするが…。
唯一スクアーロだけが三人の中でマリアに金銭の絡んだ依頼したことがあると話すとルッスーリアは「どうだった?」とスクアーロに問う。
「ゔお゙ぉぉい、どうだったって言われてもな…知り合い価格でいいって言われたから言われた額を支払った位だな。そもそも相場が分からねぇーもんをどう判断しろって言うんだルッスーリア?」
三者三様の言葉を聞けば聞いた私が馬鹿だったと言わんばかりに、ルッスーリアは溜息を付き三人を見る。
ディーノもスクアーロもリボーンも、マリアの知り合いなのだ。
知り合いなのだからそうなってしまうのも確かに予想がつく、つくのだが溜息を付かずにはいられなかった。
「…紅白衣ちゃんに依頼するのって…安いのよ」
「あ゙ぁ゙…どういう事だ?」
ルッスーリアの言葉に、スクアーロは首を傾げる。
「本当にその金額でいいの?って言いたくなるほどね…腕は確かで効果だって身をもって体感しているわ。だからこそ提示される金額が安すぎるのよ…」
「…ちなみにどれくらいなんだ?」
「私の場合紅白衣ちゃんに化粧水や乳液、スキンケア用品を依頼してるんだけど…一般的に出回っているちょっとだけお高目のブランド商品ってあるじゃない?それと同じ位の値段なのよ」
お高目のブランド商品と言えど、それでもそう言った商品ですら少なからず大量生産されている。
大量生産したうえでの値段と考えればまだ納得がいくのだ。
だがマリアの場合それに当てはまる事はない、何故なら大量生産しているわけではなく依頼者の内容に合わせて一から作っているのだから。
そうなればどう考えても安すぎるのだ、金額が。
「他の依頼者が何を依頼してどれくらいの金額でやり取りをしているのかは正直分からないけれど…少なくとも私は安いと思っちゃうのよね。故に正当な金額と言うか物に見合った支払いをしたいって言うか」
それだけマリアが作る物が素晴らしいのだと話を聞くだけで感じてしまう。
熱狂的な依頼者が居ると言うのはルッスーリア同様にそう思っている依頼者が多々居るからだろう。
無論作る物の効果の面でも想像以上に良い物を作り出しているのが伝わってくる…それなのに知名度が低いと言う矛盾が生まれる事に違和感を覚えるが。
「それもあるからこそ…紅白衣ちゃんに依頼する固定依頼者は皆貢ぎたいのよ!紅白衣ちゃんに!!!」
依頼者としてメールでのやり取りでもその旨を伝えるもののマリアには尽く断られるのだ。
ならば偶然と言えど知り合えた今だからこそルッスーリアはマリアに金額の交渉をした。
マリア自身滅多にイタリアから出る事はなく、また外に出たとしても早々知り合う可能性はないに等しいのだ。
今回人探しと言う九代目からの依頼には骨が折れるが、それ以上にマリアと知り合えた事がルッスーリアにとって本当に奇跡でしかない。
「他の依頼者は悔しがるといいわ~!おほほほほ」とルッスーリアのキャラが崩壊する位には今回の交渉は嬉しかったのだろう。
改めてマリアに依頼する熱狂的な依頼者…もとい信者はヤバイと…ディーノもスクアーロも身をもって心に刻んだのだった。
2024/09/24
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