不器用な恋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※【ディーノside】
「あー…ひでぇー目にあった…」
食堂でディーノは晩御飯のオムライスのセットを注文しトレーの上はトマトソースのかかっているオムライスにサラダとスープがディーノのトレーの上に乗せられる。
ツナの家での事を思い出そうとするが、今思い出せば確実に晩御飯が食べられなくなるのでディーノは頭を振り思い出さないように気を付ける。
リボーンの生徒として教え子時代はそれこそビアンキに何度か殺されかけたのだ。
もろにビアンキのポイズンクッキングをその身に喰らえばよく生死を彷徨っていた。
勿論そんな状態になればマリアがよくディーノに解毒薬を飲ませていたのは記憶の中にいくつか残っている。
当時のビアンキは本当に容赦がなかった。
今はそれなりに丸くはなっているが、それでも身構えずにはいられない。
(そういや、マリアの解毒薬が一番効いてたな…ポイズンクッキング喰らった時は)
そんな事を思いながら何時もの様にマリアの座っているテーブルの向かいの席に腰を下ろしながら、マリアの目の前に置かれているトレーの上を見てディーノは思った事を口にする。
「マリア晩飯それだけか…?」
マリアの目の前のトレーの上に乗っているのは苺のソースがかかったヨーグルトにサラダの二皿だけだ。
普段ならもう少し食べるはずなのにと思いながらマリアに問えば『…食欲無くて…』と力なく笑う。
「ちゃんと食べねーと身体もたねーぞ?」
『…食べれそうなら後で頼んでくるわ』
そう言いながらマリアはただぼんやりと自分の目の前にある苺のソースがかかったヨーグルトを見つめる。
ディーノはスプーンを手に取りオムライスを一口分自身の口に運ぶが、マリアは一向にヨーグルトに手を付けようとしない。
スプーンを手に持ち…その後の行動をマリアは示さない。
ピクリとも動かずただただ、ヨーグルトを見つめては不安そうな表情をする。
「マリア?」
目の前に座っているマリアの名を呼ぶものの、マリアからの反応は全くなかった。
ただぼんやりと自身の目の前に置かれている苺のソースがかかったヨーグルトを見詰めては食べようとしない。
(…食べれない…のか?)
様子のおかしいマリアを見ながらディーノはどうしたのだろうと思ったが…ツナの家での事を思い出せばその理由に納得がいく。
ツナの家でマリアは久々にビアンキと会ったのだ。
ディーノがリボーンの生徒だった頃、ディーノ自身はよくビアンキに殺されかけていたがマリアは違う。
出来るだけ関わろうとせずにビアンキから距離を取っていたが、それでも完全に距離を取る事は無理だった。
リボーンに銃の扱いを教えてもらって居たのだ、完全にマリアがビアンキと関わるのは難しい。
だが、マリアにとってビアンキ自体が問題ではないのだ。
ビアンキが持っていた料理…ポイズンクッキングの“毒”が問題なのだ。
ぼんやりとヨーグルトを見詰めているマリアは幼い頃の記憶の中にあるマリアを彷彿させる。
幼い頃ディーノの家で遊んでいる時に出されたお菓子も、マリアはどうしても自分から食べれずに居た。
―――「マリアお菓子食べないのか?」
―――『ディーノ…マリア、ママンに…最初の一口は食べちゃダメって…言われてるから…』
幼かったディーノもその言葉の意味を理解出来ずに居た。
だが最初の一口は食べてはダメと言うのなら、幼いディーノがする事は決まっていた。
それは今も変わらず原因が同じなのだ、ディーノが取る行動はたった一つだけだ。
「マリア」
再びマリアの名を呼べば、マリアははっと我に返りディーノの方を見る。
ディーノは椅子から立ち上がりマリアの方へと身を乗り出せばマリアの手に握られているスプーンを取り、目の前に置かれている苺ソースのかかったヨーグルトを一口掬う。
「マリア一口貰うぞ」
『…ぁ…』
ディーノは言いながらマリアの食べるはずだったヨーグルトを自身の口へ運んだ。
濃厚でクリーミーなヨーグルトに甘酸っぱい苺ソースの味がディーノの口の中に広がっていく。
その間もディーノはマリアから目を逸らさずにマリアを見ていた。
マリアも同じようにディーノをじっと見ては不安そうな表情を浮かべていた。
ゆっくりと味わいながら咀嚼し、ヨーグルトを飲み込めば「美味いな、このヨーグルト」とマリアに笑いかける。
「これで食えそうか?」
そう言いながらマリアから取ったスプーンをマリアに渡せば『うん』と頷きそのままディーノが使ったスプーンでマリアはヨーグルトを一口掬う。
先程とは打って変わってマリアの手がゆっくりとだが口元へ運びパクリと食べる。
マリア好みの味だったのだろう。
一口食べれば自然とマリアの唇が緩み『…美味しい』と味わいながらヨーグルトを食べ始めた。
普段通りに食べる事が出来ているマリアを見れば、ディーノはほっと胸をなでおろす。
「俺も後でデザートに頼むかヨーグルト」と言いながら、ディーノは自身が頼んだオムライスを一口掬い再び食べ始める。
(皮肉なもんだな…)
オムライスを食べながら、ヨーグルトを食べるマリアを見てディーノは思う。
幼い頃からマリアの母親…アリーチェが言った言葉が今もなお時折マリアを苦しめる。
否、アリーチェがマリアを苦しめようとして言った言葉ではない。
寧ろ逆だ、苦しめるのではなくマリアのために言い聞かせていたのだから。
「こっちのオムライスも美味いんだぜ?」と、ディーノはマリアに話しながらオムライスを食べる。
大丈夫、そう願いながらディーノはマリアに話をしながら食事を取るのだ。
(ガキの頃の言われた言葉は…なかなか消えねぇーもんだ)
いくらマリアが大人になり子供の頃よりも成長していても、幼い頃に言われた言葉はなかなか消えてくれるものではない。
幼い頃より勉強が出来ても、科学者としての才能があれど関係なく言葉に囚われる時は囚われる。
何ならマリアの場合それを目の前で見てしまったのだ、時間が経っても尚思い出せば身体が動かないのだろう。
(アリーチェさんの死が毒殺で、マリアは目の前で見ちまったみたいだからな…)
離れ離れになってから四年後再会した時にマリアに聞いた話を思い出しながら、ディーノは目を伏せた。
2024/09/22
「あー…ひでぇー目にあった…」
食堂でディーノは晩御飯のオムライスのセットを注文しトレーの上はトマトソースのかかっているオムライスにサラダとスープがディーノのトレーの上に乗せられる。
ツナの家での事を思い出そうとするが、今思い出せば確実に晩御飯が食べられなくなるのでディーノは頭を振り思い出さないように気を付ける。
リボーンの生徒として教え子時代はそれこそビアンキに何度か殺されかけたのだ。
もろにビアンキのポイズンクッキングをその身に喰らえばよく生死を彷徨っていた。
勿論そんな状態になればマリアがよくディーノに解毒薬を飲ませていたのは記憶の中にいくつか残っている。
当時のビアンキは本当に容赦がなかった。
今はそれなりに丸くはなっているが、それでも身構えずにはいられない。
(そういや、マリアの解毒薬が一番効いてたな…ポイズンクッキング喰らった時は)
そんな事を思いながら何時もの様にマリアの座っているテーブルの向かいの席に腰を下ろしながら、マリアの目の前に置かれているトレーの上を見てディーノは思った事を口にする。
「マリア晩飯それだけか…?」
マリアの目の前のトレーの上に乗っているのは苺のソースがかかったヨーグルトにサラダの二皿だけだ。
普段ならもう少し食べるはずなのにと思いながらマリアに問えば『…食欲無くて…』と力なく笑う。
「ちゃんと食べねーと身体もたねーぞ?」
『…食べれそうなら後で頼んでくるわ』
そう言いながらマリアはただぼんやりと自分の目の前にある苺のソースがかかったヨーグルトを見つめる。
ディーノはスプーンを手に取りオムライスを一口分自身の口に運ぶが、マリアは一向にヨーグルトに手を付けようとしない。
スプーンを手に持ち…その後の行動をマリアは示さない。
ピクリとも動かずただただ、ヨーグルトを見つめては不安そうな表情をする。
「マリア?」
目の前に座っているマリアの名を呼ぶものの、マリアからの反応は全くなかった。
ただぼんやりと自身の目の前に置かれている苺のソースがかかったヨーグルトを見詰めては食べようとしない。
(…食べれない…のか?)
様子のおかしいマリアを見ながらディーノはどうしたのだろうと思ったが…ツナの家での事を思い出せばその理由に納得がいく。
ツナの家でマリアは久々にビアンキと会ったのだ。
ディーノがリボーンの生徒だった頃、ディーノ自身はよくビアンキに殺されかけていたがマリアは違う。
出来るだけ関わろうとせずにビアンキから距離を取っていたが、それでも完全に距離を取る事は無理だった。
リボーンに銃の扱いを教えてもらって居たのだ、完全にマリアがビアンキと関わるのは難しい。
だが、マリアにとってビアンキ自体が問題ではないのだ。
ビアンキが持っていた料理…ポイズンクッキングの“毒”が問題なのだ。
ぼんやりとヨーグルトを見詰めているマリアは幼い頃の記憶の中にあるマリアを彷彿させる。
幼い頃ディーノの家で遊んでいる時に出されたお菓子も、マリアはどうしても自分から食べれずに居た。
―――「マリアお菓子食べないのか?」
―――『ディーノ…マリア、ママンに…最初の一口は食べちゃダメって…言われてるから…』
幼かったディーノもその言葉の意味を理解出来ずに居た。
だが最初の一口は食べてはダメと言うのなら、幼いディーノがする事は決まっていた。
それは今も変わらず原因が同じなのだ、ディーノが取る行動はたった一つだけだ。
「マリア」
再びマリアの名を呼べば、マリアははっと我に返りディーノの方を見る。
ディーノは椅子から立ち上がりマリアの方へと身を乗り出せばマリアの手に握られているスプーンを取り、目の前に置かれている苺ソースのかかったヨーグルトを一口掬う。
「マリア一口貰うぞ」
『…ぁ…』
ディーノは言いながらマリアの食べるはずだったヨーグルトを自身の口へ運んだ。
濃厚でクリーミーなヨーグルトに甘酸っぱい苺ソースの味がディーノの口の中に広がっていく。
その間もディーノはマリアから目を逸らさずにマリアを見ていた。
マリアも同じようにディーノをじっと見ては不安そうな表情を浮かべていた。
ゆっくりと味わいながら咀嚼し、ヨーグルトを飲み込めば「美味いな、このヨーグルト」とマリアに笑いかける。
「これで食えそうか?」
そう言いながらマリアから取ったスプーンをマリアに渡せば『うん』と頷きそのままディーノが使ったスプーンでマリアはヨーグルトを一口掬う。
先程とは打って変わってマリアの手がゆっくりとだが口元へ運びパクリと食べる。
マリア好みの味だったのだろう。
一口食べれば自然とマリアの唇が緩み『…美味しい』と味わいながらヨーグルトを食べ始めた。
普段通りに食べる事が出来ているマリアを見れば、ディーノはほっと胸をなでおろす。
「俺も後でデザートに頼むかヨーグルト」と言いながら、ディーノは自身が頼んだオムライスを一口掬い再び食べ始める。
(皮肉なもんだな…)
オムライスを食べながら、ヨーグルトを食べるマリアを見てディーノは思う。
幼い頃からマリアの母親…アリーチェが言った言葉が今もなお時折マリアを苦しめる。
否、アリーチェがマリアを苦しめようとして言った言葉ではない。
寧ろ逆だ、苦しめるのではなくマリアのために言い聞かせていたのだから。
「こっちのオムライスも美味いんだぜ?」と、ディーノはマリアに話しながらオムライスを食べる。
大丈夫、そう願いながらディーノはマリアに話をしながら食事を取るのだ。
(ガキの頃の言われた言葉は…なかなか消えねぇーもんだ)
いくらマリアが大人になり子供の頃よりも成長していても、幼い頃に言われた言葉はなかなか消えてくれるものではない。
幼い頃より勉強が出来ても、科学者としての才能があれど関係なく言葉に囚われる時は囚われる。
何ならマリアの場合それを目の前で見てしまったのだ、時間が経っても尚思い出せば身体が動かないのだろう。
(アリーチェさんの死が毒殺で、マリアは目の前で見ちまったみたいだからな…)
離れ離れになってから四年後再会した時にマリアに聞いた話を思い出しながら、ディーノは目を伏せた。
2024/09/22
35/78ページ