不器用な恋
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テスト本番まで残す所二日となった土曜日。
今日は朝からマリアとディーノはツナの家に行きツナに勉強を教えていた。
無論獄寺も山本も同じように朝からツナの家に行き早々にテスト勉強をしている。
ツナはマリアが付きっきりで教えているが、リボーンやディーノも獄寺や山本の様子を見ながら問われれば教えると言ったスタイルだ。
ディーノの部下であるロマーリオとアベーレもツナの家に訪れているが、彼らは勉強の邪魔にならないように一階でランボやフゥ太、イーピンの相手をしている。
「にしてもディーノさんも教えるの上手いんっすね」
「そうか?マリアに比べたら俺なんてまだまだだぜ…それに」
「それに?どうしたんですか?」
山本の言葉に「否、なんでもねぇーよ」とディーノは苦笑しながら山本に教える。
(それにマリアがご飯作ってくれる約束もしたしな)
昨夜の約束を思い出し、ディーノは「で、ここがな…」と山本に続きを教えていく。
マリアから頼まれたのは日曜日だけなのだが、ディーノ自身用事もなく後はマリアがリボーンから引き受けた家庭教師とその報酬として科学博物館に連れて行く事さえ終われば後は帰国するのみだ。
要するに暇を持て余しているためマリアに付いてきたもののツナ達が勉強しているため役に立てるならと本日ディーノはこうして勉強を教えている。
本来であれば会合が終わった段階でイタリアに帰国する予定だったのだが…マリアをおいて帰るわけにもいかない。
イタリアからこれまで出た事が無いマリアの事だ、絶対迷子になるだろうとロマーリオ達から言われれば尚更置いて帰るわけにはいかない。
トマゾも快く承諾してくれたが、リコは不満気であるとトマゾ伝いに言われたがこればかりは仕方がないのだ。
山本の勉強を見ながらそんな事を思っていると、自分の勉強机と向き合っていたツナが隣で見ているマリアの方を嬉しそうに見上げる。
「マリアさん出来ました!」
『OK、じゃあちょっと待ってて…』
ツナが解いた数学の小テストを受け取り、マリアは赤ペンをくるっと回しながら採点をしていく。
テスト二日目の数学と理科の科目を土曜日にし、日曜日にテスト一日目の英語に国語、社会の三科目をする予定だ。
マリアが教え出してから、ツナの点数も見る見るうちに上がってきているのがマリア自身目に見えて分かる。
今丸付けしている数学もそうだ。
最初のうちは十問中二点しか取れていなかったものが次第に三点、五点とゆっくりとだが点数が上がっている。
今回は珍しく八点と割と高得点をたたき出したツナに、マリアは笑顔で『やるじゃんツナ』と笑いかけた。
釣られてツナも笑い嬉しそうに小テストの用紙を受け取る。
『じゃあ間違えた所見て行きましょうか』
「お願いしますマリアさん!」
ツナがそう言ったのと同時に、コンコン、とツナの部屋の扉をノックし「入るわよ」っと誰かが入って来た。
その声に皆手を止め扉の方へと視線を移す。
ゆっくりと扉が開かれれば、リボーンの愛人であるイタリア人美女のビアンキが姿を見せた。
フリーの殺し屋であり、通称“毒サソリ”。
まだ十七歳だと言うのに大人顔負けなほどスタイルが良いい。
そんなビアンキの姿を見た瞬間、「はがぁ!!!」と獄寺が叫びお腹を押さえ蹲る。
「げ…ビアンキ」
ディーノもビアンキの姿を見れば顔を青白くする。
ディーノがリボーンの教え子時代にディーノ自身何度かビアンキに殺されかけているのだ、その記憶が蘇ったのだろう。
『…毒サソリ…』
勿論マリアもビアンキの事は知っている。
教え子時代にディーノが殺されかけているのを何度か目にした事が有るからだ。
『…ぁ…』
ビアンキを視界に入れた瞬間、マリアは思わず息をのむ。
彼女の手にはケーキが乗ったお皿がトレーの上に乗っていた。
だが、普通のケーキではなく怪しげな異臭を漂わせブショアアァと音を立てながら煙が巻き上がる。
ケーキの色も紫色であり、生クリームの中にはミミズやムカデ、ゴキブリ等毒々しい生物達が蠢いており視界に入れるのすら悍ましい物体へと成していた。
“ポイズンクッキング”
それが彼女ビアンキの料理であり必殺技である。
視線を逸らそうにも、マリアの視線はビアンキが持っている料理に釘付けの為視線を逸らす事が出来ない。
『…っ…』
ぎゅっと唇を噛み締め、マリアは無意識に白衣のポケットに入れている小瓶を握りしめる。
「あら、紅白衣も居たのね」
『…リボーンに呼ばれて、ね』
マリアの姿を見れば、ビアンキは不思議そうにマリアを見た。
マリア同様ビアンキ自身もマリアの事は知っている。
学生時代に紅白衣と呼ばれそのまま依頼を受ける際の通り名にもなっているのを知っているのだ。
ディーノみたいに殺されかけた事はないが、それでもリボーンに関する邪魔をするのであればマリアにだって牙を向ける。
「何でビアンキが此処に…」
「ツナ達が勉強してるってママンに聞いたから差し入れ持って来たのよ」
そう言ってビアンキはテーブルの上に自身が作ったケーキ…もといポイズンクッキングケーキをテーブルの上に置いた。
ブショアアァと音を立てながら異臭が漂い、近くに居たツナとディーノはもろにその匂いを嗅いでしまう。
うごめくミミズやムカデと視線が合えば、思わず二人は目を逸らす。
山本だけは「おもしれぇーケーキだな」と呑気に笑っていたが、獄寺は唸りながらお腹を押さえ蹲ったままだ。
「これ食べて勉強頑張りなさいよ」
あっさりと引いたビアンキにマリアはほっと胸を下ろす。
最悪戦闘になるのでは?と覚悟していたが…その心配は稀有に終わった。
以前のビアンキよりも丸くなったのだろうと思うが、料理の腕だけは相変わらずだ。
ビアンキがツナの部屋から出て行くと、リボーンがマリアの肩に乗り「大丈夫かマリア?」と声をかける。
『え、何リボーン…?』
「…顔色がわりぃーぞ」
リボーンの言葉に『あぁ…ほら、料理の匂いが酷かったから…』と力なく笑った。
白衣のポケットに入れている小瓶から手を離し、『さてと…』とマリアはツナの部屋の中を見渡す。
ツナとディーノはビアンキが置いていったケーキをまじかで見たせいか顔色が悪い。
お腹を押さえ蹲ったままの獄寺に「大丈夫かー?」と声をかける山本。
この状況ではもう勉強所ではないだろう。
白衣のポケットから携帯を取り出し、ディスプレイを見れば午後十五時半。
普段の平日とは違い今日は朝から勉強していたのだ。
流石に根を詰めすぎるのは良くないと思い、マリアは『今日はここまでにしようか』とツナと山本…話を聞ける状態か怪しい獄寺に言った。
2024/09/21
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