不器用な恋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『って事で、ディーノ日曜日先生としてツナの家行くからよろしくね』
「って事でってどういう事だよ?!」
夜、ディーノの会合が終わりホテルに戻って来た所をマリアはお構いなしにディーノの滞在する部屋へと押し掛けた。
会合から帰って来たばかりのせいかディーノの姿は堅苦しいスーツ姿のままだ。
自身のノートパソコンをディーノが滞在する部屋に持ち込み、ワードを開けば先程まで作りかけていた問題を呼び起こし作業する。
ブラインドタッチでカタカタと規則正しい音を立てながらマリアはキーを打つ。
そんなマリアを見ながらスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めマリアに問えば、悪びれもなく『だってディーノ英語と社会は得意でしょ?』と言葉を紡いだ。
『国語はスクアーロやリボーンに任せたらいいし』
「…確かに国語は苦手だけど…って、リボーンはともかく何でスクアーロがそこで出てくんだよ?」
ワイシャツを脱ぎ、普段着であるTシャツに着替えようとしていると思いもよらぬ人物の名に、ディーノは驚く。
日本に来て学生時代の時の話題が多いせいかスクアーロの名を良く耳にするが、まさか本人が出てくると思わずディーノは何故と言う顔でマリアを見る。
『何でって言われても…日本に居るから?』
「何でまた…」
夕方ツナ達と同じような事をディーノはマリアに問う。
どうやらディーノもスクアーロが日本に居る事を知らないようだ。
同盟ファミリーであるディーノが知らないのはまだしも、同じボンゴレ同士なのにツナ達が知らないのはやはりスクアーロがヴァリアーの人間だからだろうかとマリアは勝手に憶測する。
『さぁ?スクアーロに聞いてみたら?』
守秘義務の事を考え、マリアは言葉をはぐらかした。
マリア自身スクアーロから少しではあるが任務の話を聞いたが、それをディーノに言っていいのか判断するのは難しい。
いくら同盟ファミリーと言えどやはり知られては困る事位はあるだろう。
マフィア同士のやり取りはマフィア同士でしてくれと思いながら、マリアは日曜日の事をディーノに話す。
ツナや獄寺、山本に関しては前々から話していたので問題ないが、日曜日には京子とハルも勉強に参加する旨をディーノに伝えた。
マリア自身は会った事もないため分からないが、ディーノはその名を聞けば面識があるのか「なるほどな」と言葉を発する。
今マリアが作っている問題も日曜日に向けての問題を製作しているものだ。
ツナの分はマリアが割り振りしているので問題ないが、獄寺と山本に帰り際どの教科を重点的にするのか訊ねたのを踏まえての問題製作だ。
『流石にあたし一人じゃ五人も見きれないもん。リボーンが居るとしても流石にね、キツイ』
「まぁそうかもしれねーが…」
『同盟ファミリーなんだしこういう時は持ちつ持たれず…でしょ?』
「分かった、やるよ。どうせアベーレに俺のスケジュールは一応聞いたんだろ?」
『変更がなければのスケジュールだけどね』
そう言いながらマリアはこまめに上書き保存をかけた。
作りかけだった問題を完成させれば、今度は新規でワードを開き、明日勉強する科目の簡単な小テストを作り出す。
『別にタダでとわ言わないわよ?帰ったらディーノが食べたいご飯作ってあげる』
「乗った」
マリアの言葉にディーノは思わず即答する。
あまりにも早い返事だったため、マリアは思わずキーを叩く手を止めてディーノの方を見た。
その表情はどこか嬉しそうで、まるで子供の様に目を輝かせながら何を作ってもらおうかと嬉々としている。
あまりにも早い二つ返事に思わず『…そんなんでいいの?』とディーノに聞き返した。
自分がリボーンから家庭教師を引き受ければ滞在費用と滞在場所、科学博物館に連れて行ってくれると言う内容につられたマリア自身が言えた義理ではないのだが…。
「そんなんでって…俺からしたらそんなんでじゃねぇーからな?マリア料理できるくせに全然やらねえし、たまに作ってもここ最近俺が居ない時にばっか持って来やがって…全然食えてねえんだよ俺は」
ディーノの言葉にマリアは思い返せば確かにディーノの言う通りだ。
マリア自身、確かにディーノの言ったように料理は出来る。
養親と二人暮らしだったため家事全般は基本的にマリアが行っていた。
だが養親が亡くなってからは一人暮らしの為家事はしても料理をする機会は極端に減った。
一人分を作るのが面倒だったり、その時間を仕事や趣味の時間に充てたいと言う時間の節約のために料理をする時間は昔に比べれば少なくなった。
それでも全くしないわけではない。
立て込んでさえいなければマリアだって作ったりするし、仕事が立て込む前に家にある食材を使いきるためにキャバッローネに差し入れと言う名の料理を作っては持って行く。
それでもディーノがここ最近マリアの手料理を食べられないのは、料理を持って行く度にディーノは日本に行っている事が多かったからだ。
日本とイタリアをよく行き来し、戻ってきたと思ったらまたすぐ日本に旅立つ。
マリアもそればかりは仕方がないので残っているメンバーに食べてねと言うしかないのだから。
『言われてみたらリコやトマゾやイタリアに残ってるメンバーが食べてたわね』
「だから俺はマリアのご飯に飢えてんだよ!」
『なら言えば良いのに』とマリアが言うと「…迷惑になるだろ?」とディーノはいじけたように答えた。
ディーノ自身マリアに気を遣って言い出せなかったのかもしれないが、タイミングの問題はあれど迷惑とマリアが思う事はない。
『言ってくれたらそれくらい作るわよ?』
マリアの言葉にピクリとディーノは肩を揺らす。
「…何でもいいのか?」
『何でもいいわよ?ディーノの大好きなピザでも、それ以外でも』
今回事後報告ではあるが、マリアからの頼みだ。
そんなに食べたいのならいくらでも作ってあげようとマリアだって思う。
一品だけじゃなく何品でも、ディーノが食べられるのならマリアだってケチケチせずに作る。
マリアの言葉を聞きディーノは嬉しそうに「絶対だからな!約束破るなよ!」と笑顔でマリアに言った。
食い気味に言ってくるディーノに苦笑しながらも、『はいはい』と同じように嬉しそうにマリアは答える。
正直ディーノがそんなにも自分の料理を食べたいと思ってもみなかった。
煽てられれば悪い気はしないし、何より好きな人が食べたいと言うのだ。
その言葉がマリアにとっては嬉しくてたまらない。
とびきり美味しい物をディーノに食べさせてあげようと思いながら…マリアは再びキーを打ち始めて行った。
2024/09/20
32/78ページ