不器用な恋
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「皆~、おやつ持って来たわよ」
コンコン、ノックをする音と共にツナの母親である奈々がトレーにお菓子と人数分の飲み物を乗せてツナの部屋へと入って来た。
ツナの部屋には部屋の主であるツナにマリア、獄寺と山本がリボーンに勉強を教わっていた。
ディーノの部下であるアベーレも、邪魔にならない所で控えている。
『ツナのママン、ありがとうございます』
「いいのよ、マリアちゃんがつー君に勉強教えてくれて助かってるし。それにこの子今までテスト期間でも夜にテスト勉強しなかったくせに今はちゃんとやってるのよ」
「か、母さん!!!!」
ツナは慌てて奈々の言葉を塞ごうとする。
だがそれに便乗する様にリボーンが言葉を紡いだ。
「そうだぞ、珍しく毎晩マリアとやった問題で間違えた所解き直したりしてるしな」
「り、リボーンまで言わないでよ!!!」
「何も恥ずかしがる事じゃねーぞ?」
「そうよ、つー君頑張ってるもんね」
リボーンと奈々の言葉につられ「そう言えば」と山本が言葉を紡ぐ。
「学校でもちゃんと真面目に授業受けてるし、ツナ」
「確かに十代目はこの所分からないところがあれば先公の所まで行ってるな…」
「獄寺君に山本まで…言わないでよ」
同級生である獄寺や山本にまでそう言われてしまえば、ツナは恥ずかしそうに机にうつ伏せた。
耳の先まで真っ赤になっている辺りよっぽど暴露されからかわれるのが恥ずかしかったのだろう。
そんなツナに、マリアは笑みを浮かべながらいい子いい子と頭を撫でる。
「マリアさんまで…」
『可愛かったからつい』
嫌がる事なく甘んじてマリアに頭を撫でられるツナ。
そんなツナを見ながら奈々は微笑む。
「ふふ、じゃあ皆お勉強頑張ってね」
そう言ってテーブルの上に奈々が持ってきたお菓子と飲み物が乗っているトレーを置き、ツナの部屋を出て行った。
『じゃあ今解いてる問題だけ解き終わったら休憩にしましょうか』
ちらりとツナと獄寺、山本の問題用紙を見れば残り数問で解き終わる。
せっかくツナの母親である奈々がお菓子と飲み物を持って来てくれたのだ、キリのいい所で休憩するにはちょうどいいタイミングである。
「あ…マリアさん」
『どうしたのツナ?どっか分からない?』
ふと、何かを思い出したかのようにツナがマリアに声をかければマリアは首を傾げながらツナに問う。
この所問題を解く時はよっぽどの事が無い限りマリアに問う事が少なくなって来たツナ。
それは問題が分からないから聞かずにいるのではなく、理解してきているからこそ自分で解き進めている。
それでも分からない所は聞いてくれるので、マリアは何処が分からないのだろうとツナに問うのだ。
「問題の方は今は大丈夫なんですけど…日曜日、京子ちゃんとハルがも一緒に勉強したいって言ってくれてて」
『同じ学校の子?』
「京子ちゃんは同じ学校だけど、ハルは偏差値の高い学校の子です」
ツナの言葉に『友達?』と問えば一瞬顔を赤く染めては「えっと…あの…はいっ」と答える。
そんなツナの反応を見れば、二人のうちどちらかがツナの想い人なのだろうと安易に想像できてしまう。
月曜日がテスト本番なため、同級生と共に最後の追い込みをかけたいのだろうと思うとマリアは口を開いた。
『ねぇリボーン、月曜日のテスト科目何だったか覚えてる?』
「初日は三科目で英語と国語と社会だったと思うぞ」
リボーンの言葉にマリアは口元に手を当てた。
今居るメンバーに二人追加となれば学生は最大五人になってしまう。
流石にマリア一人で五人の相手をするのは骨が折れる上、ツナとの勉強が疎かになってしまう。
何より月曜日テスト本番が三科目もあるので余計にどうすれば最善かとマリアは考える。
(後二人位人手が欲しいわね…そうなると)
順番に教えるわけでも授業の様にただ一人で授業を進めていくわけではないのだ。
ツナをメインで見る事は確定事項だが、それでは残りのメンバーまで手が回らない。
マリアが教えるまでに時間がかかってしまうため効率が悪い、得意不得意具合によって勉強する教科の時間も一人一人変わってくるし何よりテスト本番前日だ。
獄寺や山本は苦手科目を重点的にしたいだろうとマリアは思う。
そしてツナの友達二人が何処まで勉強が出来るかも分からない上にうち一人は同じ学校ではないと言っていたのだからここでも問題が生じてしまうのだ。
(…仕方ない、か)
マリアはツナの部屋内に控えているアベーレの方を見た。
本来であればディーノに着いて会合に参加する予定だったはずなのだが、マリアの送迎の為にアベーレは現在待機していた。
一人で大丈夫と一度断りを入れたのだが「昼間の事もあるだろ!」と言われてしまえばマリアは何も言い返せない。
『ねぇ、アベーレ。ディーノのスケジュールって分かる?』
「確か…今日の仕事が終わえば特段何もなかったはずですよ?変更がなければ」
『要するに暇人って事よね?』
「…そう、…ですね」
マリアの言葉を否定しようか迷ったものの、怖い位笑顔でアベーレに問うマリアにアベーレは言葉を濁す事なく頷いた。
ディーノに確かめることなくまるで自分のボスを売ってしまったような感覚に襲われるものの、マリアが相手なのだから仕方ないとアベーレは心の中で(ボスすみません…)と懺悔する。
きっとディーノなら「聞いてない!」と言いつつも何だかんだマリアには甘いのだ…マリアの頼み事の一つや二つ引き受けるだろう。
(英語と社会位なら問題ないでしょ…国語は怪しいけど)
学生時代の事を思い出しながらマリアは次に白衣のポケットに入れていた赤い携帯を取り出し電話を掛ける。
無機質なコール音が数回鳴れば、すぐに電話をかけた相手に繋がった。
『あ、もしもしスクアーロ?』
「ゔお゙ぉぉぉおおおおおい!!何の用だマリア!!!」
キーンっとあまりの声量にマリアは自分の携帯を少し離し『スクアーロうるさい』と眉を顰める。
携帯で話しているはずなのに、スクアーロの声だけまるでスピーカーにしているかの様にツナ達にも聞こえた。
『スクアーロって英語以外にも確か出来たわよね?』
「ん…あぁ、まぁそれなりに出来てたと思うが一体何なんだよ急に」
『明後日10時にツナの家集合ね』
「おいちょっとま…」
『来ないとあの写真うっかり手が滑ってそこら辺の情報屋に渡しちゃうからね』
ブチッと、スクアーロに有無を言わさずにマリアは『これで人員確保っと』と言いながら携帯の通話ボタンを切った。
「マリアさんってスクアーロと知り合いなのか?」
マリアの作った問題を解きながら、山本がマリアに問う。
ツナや獄寺は初対面時にその話を聞いたので知っていたが、山本だけは初めてマリアはツナの家に来た日に居なかったので聞いてないのだろう。
『知り合いって言うかあたしスクアーロとは同級生なのよ』
「そうだぞ、マリアとディーノ、スクアーロは同じ学校に通って居たからな」
「でもスクアーロってイタリアにいるんじゃあ…?」
『日本に居たわよ?今日一緒にご飯食べたし』
カフェでの出来事を思い出し、マリアは平然と答えた。
スクアーロから聞いた任務内容は伏せ、一緒に食事をした事だけツナ達に伝える。
偶然とはいえどやはり同級生に会えるのはマリアにとっても嬉しい事なのだ。
連絡を取る事はあれど、なかなか会う機会はお互い少ない。
ディーノと違いスクアーロに関してはボンゴレの暗殺部隊ヴァリアーに勤めている。
国内問わず国外での仕事や日々仕事に追われているのだから早々気軽に会う事は出来ない。
あの学校で、唯一出来た同級生…友達と言える存在だと言うのをスクアーロには面と向かって言えないがマリア自身感謝はしている。
ディーノと共にいい実験台になってくれたなぁ~と思えば、『やっぱり持つべきものは
「マリアさんすげーな」
「女ってやっぱこえぇ…」
(マリアさんルビが酷過ぎる…)
三者三様、それぞれ思いながらもツナ達は今自分たちがしているマリアが作った問題を解いていくのであった。
2024/09/19
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