不器用な恋
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※【ディーノside】
「ボス大丈夫か?」
「……大丈夫そうに見えるか…ロマーリオ…っ」
マリアの去った後の公園内で、ディーノはお腹を押さえその場に蹲って居た。
気を抜いていたせいなのか、はたまたディーノ自身も内心混乱していたせいなのかマリアの拳を防ぐことなど出来ず綺麗に鳩尾にハマったのだ。
実験台として怪しげな薬を飲まされたり銃を突きつけられる事はあれど、マリアから手が出た事などなかったためディーノは吃驚していた。
抱き寄せ抱きしめたマリアの身体は華奢で小さく、ほんの少しでも力を入れてしまえば折れてしまうのではないかと思う程だ。
そんなマリアにまさか殴られるとは思っておらず、あまりの痛さにディーノは立ち上がる事が出来ない。
動けないディーノに対し、ロマーリオは懐から煙草を出し火を付ける。
ディーノの様子を見て暫くは痛みのせいで立ち上がれない、そう判断したのだろう。
そんなロマーリオを涙目で見ながら、ディーノはこの公園に来るまでの事を思い出していた。
雲雀との修行を終え、ディーノはロマーリオに運転してもらいホテルに帰る途中だった。
相変わらずディーノの言う事など聞かず何を考えているかも分からない雲雀。
毎度殺す気でかかってくるのだからディーノ自身も本気で相手をする。
そうしなければ雲雀に殺されてしまうのだから――――…
時間の感覚など忘れ雲雀が掛かってこなくなるまで修行をし、修行を終えれば時刻は当に昼前になっていた。
流石にマリアもホテルに帰っているだろうと思いながら、車内で一人溜息を付く。
「ボスそんないじけるなよ?お嬢と別の機会に食いに行きゃいいだろ?」
「そうなんだけどよ…」
腹心の部下であるロマーリオの言葉はディーノだって理解している。
ツナのテスト期間が終わるまでまだ日はある、その間にマリアを誘ってカフェに行けばいいのは承知の上だ。
だが、昨夜のように糖分不足の為かいつも以上に子供じみていたマリアはもう居ない。
糖分不足の時は絶対と言っていいほどマリアは美味しそうに甘い物を食べるのだ。
そんなマリアの食べる姿が、笑顔が見たかった。
(タイミングわりぃーな…ほんと)
自らのタイミングの悪さに再度溜息を付き、ぼんやりと窓の外を眺めた。
イタリアと違い、何時だって日本は平和だった。
マフィアが交戦をする事もない、平和でのどかな時間が…それこそ日本に滞在していると感じてしまう。
イタリアでは珍しくない話なだけで、日本から見ればそう言った交戦がある事さえ異常なのだろう。
(…ん?)
何気なくただぼんやりと見ていた窓の外。
そこには公園があり、公園内に2人の影があった。
一人は青年で清潔感のある服装だ、
そしてもう一人はベンチに座っている。
(マリア…?)
赤色の髪が目に留まり、ディーノは目を見開く。
髪型は違うがその人物がマリアだと言う事にディーノは確信する。
赤い髪の人物なんて滅多に居ない、だからこそベンチに座っている人物がマリアだとディーノは思う。
じっと見ていると青年がマリアの腕を掴み無理やり立ち上がらせる姿が目に映れば、考えるよりも先に言葉が出る。
「っつ…!止まってくれ、ロマーリオ!」
「はっ?あ、あぁ」
ディーノの言葉に、ロマーリオは言われるまま車を止める。
車が止まると同時にフロントドアを勢いよく開け、ディーノは公園目がけて走り出す。
丁度青年がマリアを連れて動こうとしている、そんな場面にディーノの空気が一瞬にして変わる
前を見ていない青年はディーノにぶつかり、ようやく青年がディーノの方へと視線を向けた。
「なぁ、俺の女に何してるんだ?」
開口一番に、ディーノは青年に言い放つ。
どうしてそんな言葉を言ったのかは、ディーノにすら分からない。
ただ気が付いたらそう言葉に発していたのだ。
普段自分の物だと、自分の女だとそう言う風にディーノは思っていない。
付き合っているわけでも自分の気持ちすら伝えられていない、今のディーノには“俺の女”なんて言う事すら出来ないはずなのに。
知らない男がマリアに触れるのだけは許せなかった、口走った言葉よりも自分以外の見知らぬ男がマリアに触れる事の方がディーノにとっては万死に値するほどだ。
青年からマリアを奪い返し、マリアを自分の腕の中へと抱き寄せる。
吃驚しているのか、はたまた怖い目にあったせいか…マリアは無言だ。
大丈夫だ、そう意味を込めてぎゅっと抱き寄せたマリアをディーノは抱き締める。
「とっとと失せな、俺が手を出す前に」
「…チッ」
舌打ちだけを残し青年は逃げ帰るように去って行く。
その間も青年から目を話す事はなく、ディーノは青年をじっと睨みつけていた。
ようやく青年が去り、息を着く事が出来ればディーノは抱きしめていたマリアをそっと離す。
「大丈夫か、マリア?」
『…え、あ…う、うんっ…』
そう声をマリアにかけるものの、マリアは一向にディーノの方を見ずに俯いたままだ。
何処か怪我でもしたのだろうか?心配に思いディーノはマリアの顎を持ち上げ自分の方へと向かせる。
「おいマリア、こっち見ろよ?」
『…ぁ』
マリアの顔を自分の方へと向かせれば、ディーノは思わず目を見開いた。
普段とは違う恰好に、今までマリアを助ける事に夢中で気づかなかった。
「っつ…可愛いなマリア…」
ポツリと、無意識にディーノの唇から本音が零れる。
『…へっ…?』
「その、なんだ…あれだ、馬子にも衣装…あー…いや、その…違うくて…その…に、似合ってるな、マリア」
どうにかして言葉を取り繕おうと上手い言葉を探すが、思ったような言葉は出てこない。
ぐるぐると脳を回転させ混乱していく中、謝らねばとディーノは思い浮かんだ言葉を口にする。
「あ、悪いマリア、俺の女とか言っちまって」
『~~~~~っつ!』
慌てふためくディーノが口走った言葉のせいで、マリアはディーノの鳩尾を1発殴るとそのまま何処かへと去って行った。
訳も分からず殴られ、あまりの痛さに蹲りお腹を抑える。
そして冒頭に至るのだ。
ロマーリオも車が邪魔にならない所に一時駐車しディーノの後を追いかけてきたのだから一部始終を見ていた。
思い返せば思い返すほど、ディーノはやってしまったと後悔する。
ディーノが取った行動に対しては、何ら後悔はしていない。
だが…
―――「なぁ、俺の女に何してるんだ?」
―――「っつ…可愛いなマリア…」
その二つの言葉を言ってしまった事にディーノは後悔した。
普段マリアに言わない言葉だ、口走ってしまったものはなかった事に出来ず終わった…と言ったような表情でディーノの気持ちは沈む。
マリアを可愛いと思ったのは本音だ。
普段のマリアでは絶対に選ばない可愛らしい服。
リボーンの服のセンスに拍手を送りたくなるが今はそれどころではない。
マリアの普段とは違う髪型も相まって似合っていた、だが素直に言葉にできずに何時も売り言葉に買い言葉で返していたのだ。
それが今日に限ってはつい本音を漏らしてしまったのだ。
「やべー…マリアに嫌われたかもしれねえ…」
「…嫌われはしないだろ?」
「けどよ、俺の女なんて言っちまったんだぞ?付き合ってるわけでもねーのに…絶対何言ってんだコイツって思われてる…」
考えれば考えるほど、先ほどの言葉が自分に刺さりディーノは頭を抱えたくなった。
これまで上手く隠して来たのに、たった一度の事で本音を言葉にしてしまったのだ。
この関係が終わってしまったら…そう思うとディーノの気持ちは沼のように沈んでいく。
そんなディーノにロマーリオは「大丈夫だ、ボス」と言葉を紡ぐ。
「お嬢もボスと同じように吃驚してるだけさ…それに…」
「…それに?」
ロマーリオの言葉を不思議そうに繰り返すが、ロマーリオが言葉にしようとした瞬間それを飲み込んだ。
「否、なんでもねぇーよ」と代わりに別の言葉を放ち、吸っていた煙草をポケット灰皿を取り出しその中へとしまった。
(お嬢もありゃ相当意識しちまっただろうな…)
未だ蹲って居るディーノを見ながら、ロマーリオは先程見た事を思い出す。
ディーノが鳩尾を殴られたその瞬間、蹲るディーノとは裏腹に一瞬だけマリアは顔を上げた。
嬉しい、恥ずかしい…そう言った感情が入り混じった照れたような表情。
ニヤケそうに緩む唇を必死に噛み締めたのをロマーリオは見逃さなかった。
(こりゃ何かしらの進展があるだろうな…ボスにとっても、お嬢にとっても…)
そう思いながらロマーリオは蹲って居るディーノの頭をポンポンと撫でた。
それは部下がボスにするものではなく…保護者のような気持で、これまで見てきた幼いディーノ坊ちゃんに対する物だった―――…
2024/09/13
「ボス大丈夫か?」
「……大丈夫そうに見えるか…ロマーリオ…っ」
マリアの去った後の公園内で、ディーノはお腹を押さえその場に蹲って居た。
気を抜いていたせいなのか、はたまたディーノ自身も内心混乱していたせいなのかマリアの拳を防ぐことなど出来ず綺麗に鳩尾にハマったのだ。
実験台として怪しげな薬を飲まされたり銃を突きつけられる事はあれど、マリアから手が出た事などなかったためディーノは吃驚していた。
抱き寄せ抱きしめたマリアの身体は華奢で小さく、ほんの少しでも力を入れてしまえば折れてしまうのではないかと思う程だ。
そんなマリアにまさか殴られるとは思っておらず、あまりの痛さにディーノは立ち上がる事が出来ない。
動けないディーノに対し、ロマーリオは懐から煙草を出し火を付ける。
ディーノの様子を見て暫くは痛みのせいで立ち上がれない、そう判断したのだろう。
そんなロマーリオを涙目で見ながら、ディーノはこの公園に来るまでの事を思い出していた。
雲雀との修行を終え、ディーノはロマーリオに運転してもらいホテルに帰る途中だった。
相変わらずディーノの言う事など聞かず何を考えているかも分からない雲雀。
毎度殺す気でかかってくるのだからディーノ自身も本気で相手をする。
そうしなければ雲雀に殺されてしまうのだから――――…
時間の感覚など忘れ雲雀が掛かってこなくなるまで修行をし、修行を終えれば時刻は当に昼前になっていた。
流石にマリアもホテルに帰っているだろうと思いながら、車内で一人溜息を付く。
「ボスそんないじけるなよ?お嬢と別の機会に食いに行きゃいいだろ?」
「そうなんだけどよ…」
腹心の部下であるロマーリオの言葉はディーノだって理解している。
ツナのテスト期間が終わるまでまだ日はある、その間にマリアを誘ってカフェに行けばいいのは承知の上だ。
だが、昨夜のように糖分不足の為かいつも以上に子供じみていたマリアはもう居ない。
糖分不足の時は絶対と言っていいほどマリアは美味しそうに甘い物を食べるのだ。
そんなマリアの食べる姿が、笑顔が見たかった。
(タイミングわりぃーな…ほんと)
自らのタイミングの悪さに再度溜息を付き、ぼんやりと窓の外を眺めた。
イタリアと違い、何時だって日本は平和だった。
マフィアが交戦をする事もない、平和でのどかな時間が…それこそ日本に滞在していると感じてしまう。
イタリアでは珍しくない話なだけで、日本から見ればそう言った交戦がある事さえ異常なのだろう。
(…ん?)
何気なくただぼんやりと見ていた窓の外。
そこには公園があり、公園内に2人の影があった。
一人は青年で清潔感のある服装だ、
そしてもう一人はベンチに座っている。
(マリア…?)
赤色の髪が目に留まり、ディーノは目を見開く。
髪型は違うがその人物がマリアだと言う事にディーノは確信する。
赤い髪の人物なんて滅多に居ない、だからこそベンチに座っている人物がマリアだとディーノは思う。
じっと見ていると青年がマリアの腕を掴み無理やり立ち上がらせる姿が目に映れば、考えるよりも先に言葉が出る。
「っつ…!止まってくれ、ロマーリオ!」
「はっ?あ、あぁ」
ディーノの言葉に、ロマーリオは言われるまま車を止める。
車が止まると同時にフロントドアを勢いよく開け、ディーノは公園目がけて走り出す。
丁度青年がマリアを連れて動こうとしている、そんな場面にディーノの空気が一瞬にして変わる
前を見ていない青年はディーノにぶつかり、ようやく青年がディーノの方へと視線を向けた。
「なぁ、俺の女に何してるんだ?」
開口一番に、ディーノは青年に言い放つ。
どうしてそんな言葉を言ったのかは、ディーノにすら分からない。
ただ気が付いたらそう言葉に発していたのだ。
普段自分の物だと、自分の女だとそう言う風にディーノは思っていない。
付き合っているわけでも自分の気持ちすら伝えられていない、今のディーノには“俺の女”なんて言う事すら出来ないはずなのに。
知らない男がマリアに触れるのだけは許せなかった、口走った言葉よりも自分以外の見知らぬ男がマリアに触れる事の方がディーノにとっては万死に値するほどだ。
青年からマリアを奪い返し、マリアを自分の腕の中へと抱き寄せる。
吃驚しているのか、はたまた怖い目にあったせいか…マリアは無言だ。
大丈夫だ、そう意味を込めてぎゅっと抱き寄せたマリアをディーノは抱き締める。
「とっとと失せな、俺が手を出す前に」
「…チッ」
舌打ちだけを残し青年は逃げ帰るように去って行く。
その間も青年から目を話す事はなく、ディーノは青年をじっと睨みつけていた。
ようやく青年が去り、息を着く事が出来ればディーノは抱きしめていたマリアをそっと離す。
「大丈夫か、マリア?」
『…え、あ…う、うんっ…』
そう声をマリアにかけるものの、マリアは一向にディーノの方を見ずに俯いたままだ。
何処か怪我でもしたのだろうか?心配に思いディーノはマリアの顎を持ち上げ自分の方へと向かせる。
「おいマリア、こっち見ろよ?」
『…ぁ』
マリアの顔を自分の方へと向かせれば、ディーノは思わず目を見開いた。
普段とは違う恰好に、今までマリアを助ける事に夢中で気づかなかった。
「っつ…可愛いなマリア…」
ポツリと、無意識にディーノの唇から本音が零れる。
『…へっ…?』
「その、なんだ…あれだ、馬子にも衣装…あー…いや、その…違うくて…その…に、似合ってるな、マリア」
どうにかして言葉を取り繕おうと上手い言葉を探すが、思ったような言葉は出てこない。
ぐるぐると脳を回転させ混乱していく中、謝らねばとディーノは思い浮かんだ言葉を口にする。
「あ、悪いマリア、俺の女とか言っちまって」
『~~~~~っつ!』
慌てふためくディーノが口走った言葉のせいで、マリアはディーノの鳩尾を1発殴るとそのまま何処かへと去って行った。
訳も分からず殴られ、あまりの痛さに蹲りお腹を抑える。
そして冒頭に至るのだ。
ロマーリオも車が邪魔にならない所に一時駐車しディーノの後を追いかけてきたのだから一部始終を見ていた。
思い返せば思い返すほど、ディーノはやってしまったと後悔する。
ディーノが取った行動に対しては、何ら後悔はしていない。
だが…
―――「なぁ、俺の女に何してるんだ?」
―――「っつ…可愛いなマリア…」
その二つの言葉を言ってしまった事にディーノは後悔した。
普段マリアに言わない言葉だ、口走ってしまったものはなかった事に出来ず終わった…と言ったような表情でディーノの気持ちは沈む。
マリアを可愛いと思ったのは本音だ。
普段のマリアでは絶対に選ばない可愛らしい服。
リボーンの服のセンスに拍手を送りたくなるが今はそれどころではない。
マリアの普段とは違う髪型も相まって似合っていた、だが素直に言葉にできずに何時も売り言葉に買い言葉で返していたのだ。
それが今日に限ってはつい本音を漏らしてしまったのだ。
「やべー…マリアに嫌われたかもしれねえ…」
「…嫌われはしないだろ?」
「けどよ、俺の女なんて言っちまったんだぞ?付き合ってるわけでもねーのに…絶対何言ってんだコイツって思われてる…」
考えれば考えるほど、先ほどの言葉が自分に刺さりディーノは頭を抱えたくなった。
これまで上手く隠して来たのに、たった一度の事で本音を言葉にしてしまったのだ。
この関係が終わってしまったら…そう思うとディーノの気持ちは沼のように沈んでいく。
そんなディーノにロマーリオは「大丈夫だ、ボス」と言葉を紡ぐ。
「お嬢もボスと同じように吃驚してるだけさ…それに…」
「…それに?」
ロマーリオの言葉を不思議そうに繰り返すが、ロマーリオが言葉にしようとした瞬間それを飲み込んだ。
「否、なんでもねぇーよ」と代わりに別の言葉を放ち、吸っていた煙草をポケット灰皿を取り出しその中へとしまった。
(お嬢もありゃ相当意識しちまっただろうな…)
未だ蹲って居るディーノを見ながら、ロマーリオは先程見た事を思い出す。
ディーノが鳩尾を殴られたその瞬間、蹲るディーノとは裏腹に一瞬だけマリアは顔を上げた。
嬉しい、恥ずかしい…そう言った感情が入り混じった照れたような表情。
ニヤケそうに緩む唇を必死に噛み締めたのをロマーリオは見逃さなかった。
(こりゃ何かしらの進展があるだろうな…ボスにとっても、お嬢にとっても…)
そう思いながらロマーリオは蹲って居るディーノの頭をポンポンと撫でた。
それは部下がボスにするものではなく…保護者のような気持で、これまで見てきた幼いディーノ坊ちゃんに対する物だった―――…
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