不器用な恋
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※【ルッスーリアside】
初めのうちは警戒していたマリアもルッスーリアと話すうちに意気投合し、ルッスーリアの事を名前で呼ぶ位まで打ち解けた。
片やフリーの科学者、もう片や暗殺部隊ヴァリアーの幹部。
スクアーロのように同級生でもなければ年上であるルッスーリアだったが、美容系の話になりマリアとルッスーリアは盛り上がっていた。
マリア自身こう言った美容系に関する話を誰かにしたかったが如何せん、相手が居ないためした事が無い。
だからこそルッスーリアと美容系に関する話が出来るのが嬉しく、またルッスーリアも女性隊員がヴァリアー内に居ても立場や都合的に出来なかったのだ。
お互いそう言う話題で話せる人が出来て、テンションが少し高い。
『あ、そうだ』
ふと、マリアは何かを思い出し自分のバッグの中をごそごそと漁る。
ホテルから出かける前にバッグの中に入れていた小さめのスプレーボトルを取り出し、コトリ…とルッスーリアの目の前に置いた。
シンプルで小さめのスプレーボトルには“改良品”シールが貼られている。
目の前に置かれたルッスーリアは首を傾げながら「これは?」とマリアに問う。
『お近づきの記念にどうぞ、あたしが作ったヘアオイル。さっき話してた時にルッスーリア髪の事で悩んでたでしょ?試しに使ってみて?』
「あら~、ありがとうマリアちゃん!」
『改良品だけど、スクアーロで実験済みだから問題ないと思うんだよね』
「ゔお゙ぉぉぉおおおおおい!聞きづてならねぇー事平然と言ったなマリア!!!」
騒ぐスクアーロを無視し、マリアは『効果は保証するよ』とルッスーリアに笑いかけた。
マリアの言葉に、ルッスーリアはきょとんとしながら口を開く。
「スクアーロ、貴方これ使ってるの?」
「ん…あぁ。マリアが何だかんだで作ったから感想聞かせろって贈ってきたりするからな」
ルッスーリアも実は前々からスクアーロについて…否、スクアーロの髪について気になっていた。
髪を伸ばすようになった当初、スクアーロの髪は今と比べてサラサラではなく絡まりが有ったり痛んでいたりとヘアケアを全くしていなかった。
パサついていたり枝毛が酷かったりとその度にルッスーリアはスクアーロに口酸っぱく「手入れをしなさい」と言っていたが全くしなかった事を思い出す。
「めんどくせえ」、「んな時間はねえ」と言っていたのをルッスーリアは未だに覚えている。
それがある時を境にきちんとヘアケアするようになり、見る見るうちにサラサラの指通りのいい髪へと変わったのだ。
潤いに満ち溢れ枝毛もないサラサラの髪、纏まりがいいスクアーロの髪が気になり追及した時には言葉を濁され「非売品だ」と言っていたが…。
今まで疑問に思っていた事がストンと解決した気分になる。
『折角伸ばしてるんだからちゃんとしなさいよってなるでしょ?』
「確かにそうねぇ。伸ばし始めの当初なんてそりゃ酷い物だったし」
『それにあたしの近くにそこまで髪長い人居ないから丁度いい実験台にもなるのよね、スクアーロって』
「…実験台にされてる発言がまさに初耳なんだがな…」
マリアの言葉に溜息を付きながらスクアーロは頭を掻く。
何だかんだ言いながらスクアーロはスクアーロでマリアから贈られるヘアオイルを使っているのだ。
その証拠にガシガシと頭を掻いているはずなのに、髪は絡まる事はせずサラサラのまま風に靡く。
「今夜から使わせてもらおうかしら」
『ルッスーリアも感想頂戴ね?』
「勿論よ~!」
嬉しそうにスプレーボトルを受け取り、「本当にありがとうね~、マリアちゃん!」と言えばマリアは『どういたしまして』と笑いかける。
その後も話をし盛り上がっていたのだが、ふと携帯のディスプレイを見ると既に昼前になっていた。
流石にコインランドリーに置いている服の事が気になりマリアは『そろそろ帰らなきゃ』と席を立つ。
「あら?もう行っちゃうのマリアちゃん?」
『うん…本当はもうちょっと話してたいんだけど、コインランドリーに服いれっぱだからそろそろ取りに行かないとだし』
マリアの言葉にルッスーリアは残念そうに「そう…」と呟く。
名残惜しくて仕方がないルッスーリア、マリアもまた名残惜しいのでルッスーリアの気持ちが痛いほど分かってしまう。
普段ディーノやスクアーロ、キャバッローネ・ファミリーのメンバーしか主にかかわりがないためルッスーリアと話す事はマリアに取って新鮮な物だった。
折角仲良くなったのにと言う気持ちに、マリアはルッスーリアに自分の携帯を見せる。
『そんな頻繁に返せないかもだけど、メールでよかったら』
「絶対するわ!」
パアァと先ほどまで沈んでいた表情が笑顔になり、ルッスーリアは自分の携帯を取り出しマリアとアドレス交換をしたのだ。
『じゃあまたね、スクアーロとルッスーリア』
「は~い、またねマリアちゃん」
「迷子になるんじゃねぇーぞ」
『ならないわよ!アホスクアーロ!!!』
そう叫びながら、マリアはトレーを返却し、カフェを後にした。
「それにしてもスクアーロ」
マリアの去ったテラス席で、ルッスーリアはスクアーロに声をかけた。
注文した具沢山のサンドイッチは全て食べ終え、残るはアイスコーヒーがコップの半分くらい残っている。
カランと氷が音を立て、コップの中で上下に揺れ動く。
「あ゙ぁ゙、何だ?」
「スクアーロってマリアちゃんの事好きよね」
「なっ…?!」
ルッスーリアの言葉に、スクアーロは顔を赤くしながらガタリと立ち上がる。
見る見るうちに頬が赤くなるのを見れば、ルッスーリアが察した通りの反応をするのでニヤニヤと笑みを浮かべながらスクアーロを見る。
「ゔお゙ぉい!!何でそのことを…」
自分らのボスであるXANXUSに出会い、彼の“怒り”に惚れ着いていく事を決めたスクアーロ。
願掛けのように伸ばされている銀色の髪も、もう随分長くなっている。
XANXUSと出会って彼以外の人間は眼中にないものとばかり思っていたが…実際には違うらしい。
思春期の子供のような反応をするスクアーロに、ルッスーリアはある意味で安心した。
「ふふ、乙女の勘よ」
「ゔお゙ぉい!!何処が乙女だぁぁあああ!!!」
はぁっと息を付き、スクアーロはルッスーリアを見る。
気付かれてしまっては仕方がないと思ったのだろう。
観念したかのように、スクアーロは呟く。
「…ルッスーリア分かってると思うがな…」
「言わないわよ」
ルッスーリアはそう言い、残っていたアイスコーヒーを飲み干した。
人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえと言う慣用句がある位だ。
邪魔するつもりはないが気にかけるくらいなら許されるだろうと思いながらコップをトレーの上に戻し「行きましょうか」と任務に戻るのだった。
2024/09/11
初めのうちは警戒していたマリアもルッスーリアと話すうちに意気投合し、ルッスーリアの事を名前で呼ぶ位まで打ち解けた。
片やフリーの科学者、もう片や暗殺部隊ヴァリアーの幹部。
スクアーロのように同級生でもなければ年上であるルッスーリアだったが、美容系の話になりマリアとルッスーリアは盛り上がっていた。
マリア自身こう言った美容系に関する話を誰かにしたかったが如何せん、相手が居ないためした事が無い。
だからこそルッスーリアと美容系に関する話が出来るのが嬉しく、またルッスーリアも女性隊員がヴァリアー内に居ても立場や都合的に出来なかったのだ。
お互いそう言う話題で話せる人が出来て、テンションが少し高い。
『あ、そうだ』
ふと、マリアは何かを思い出し自分のバッグの中をごそごそと漁る。
ホテルから出かける前にバッグの中に入れていた小さめのスプレーボトルを取り出し、コトリ…とルッスーリアの目の前に置いた。
シンプルで小さめのスプレーボトルには“改良品”シールが貼られている。
目の前に置かれたルッスーリアは首を傾げながら「これは?」とマリアに問う。
『お近づきの記念にどうぞ、あたしが作ったヘアオイル。さっき話してた時にルッスーリア髪の事で悩んでたでしょ?試しに使ってみて?』
「あら~、ありがとうマリアちゃん!」
『改良品だけど、スクアーロで実験済みだから問題ないと思うんだよね』
「ゔお゙ぉぉぉおおおおおい!聞きづてならねぇー事平然と言ったなマリア!!!」
騒ぐスクアーロを無視し、マリアは『効果は保証するよ』とルッスーリアに笑いかけた。
マリアの言葉に、ルッスーリアはきょとんとしながら口を開く。
「スクアーロ、貴方これ使ってるの?」
「ん…あぁ。マリアが何だかんだで作ったから感想聞かせろって贈ってきたりするからな」
ルッスーリアも実は前々からスクアーロについて…否、スクアーロの髪について気になっていた。
髪を伸ばすようになった当初、スクアーロの髪は今と比べてサラサラではなく絡まりが有ったり痛んでいたりとヘアケアを全くしていなかった。
パサついていたり枝毛が酷かったりとその度にルッスーリアはスクアーロに口酸っぱく「手入れをしなさい」と言っていたが全くしなかった事を思い出す。
「めんどくせえ」、「んな時間はねえ」と言っていたのをルッスーリアは未だに覚えている。
それがある時を境にきちんとヘアケアするようになり、見る見るうちにサラサラの指通りのいい髪へと変わったのだ。
潤いに満ち溢れ枝毛もないサラサラの髪、纏まりがいいスクアーロの髪が気になり追及した時には言葉を濁され「非売品だ」と言っていたが…。
今まで疑問に思っていた事がストンと解決した気分になる。
『折角伸ばしてるんだからちゃんとしなさいよってなるでしょ?』
「確かにそうねぇ。伸ばし始めの当初なんてそりゃ酷い物だったし」
『それにあたしの近くにそこまで髪長い人居ないから丁度いい実験台にもなるのよね、スクアーロって』
「…実験台にされてる発言がまさに初耳なんだがな…」
マリアの言葉に溜息を付きながらスクアーロは頭を掻く。
何だかんだ言いながらスクアーロはスクアーロでマリアから贈られるヘアオイルを使っているのだ。
その証拠にガシガシと頭を掻いているはずなのに、髪は絡まる事はせずサラサラのまま風に靡く。
「今夜から使わせてもらおうかしら」
『ルッスーリアも感想頂戴ね?』
「勿論よ~!」
嬉しそうにスプレーボトルを受け取り、「本当にありがとうね~、マリアちゃん!」と言えばマリアは『どういたしまして』と笑いかける。
その後も話をし盛り上がっていたのだが、ふと携帯のディスプレイを見ると既に昼前になっていた。
流石にコインランドリーに置いている服の事が気になりマリアは『そろそろ帰らなきゃ』と席を立つ。
「あら?もう行っちゃうのマリアちゃん?」
『うん…本当はもうちょっと話してたいんだけど、コインランドリーに服いれっぱだからそろそろ取りに行かないとだし』
マリアの言葉にルッスーリアは残念そうに「そう…」と呟く。
名残惜しくて仕方がないルッスーリア、マリアもまた名残惜しいのでルッスーリアの気持ちが痛いほど分かってしまう。
普段ディーノやスクアーロ、キャバッローネ・ファミリーのメンバーしか主にかかわりがないためルッスーリアと話す事はマリアに取って新鮮な物だった。
折角仲良くなったのにと言う気持ちに、マリアはルッスーリアに自分の携帯を見せる。
『そんな頻繁に返せないかもだけど、メールでよかったら』
「絶対するわ!」
パアァと先ほどまで沈んでいた表情が笑顔になり、ルッスーリアは自分の携帯を取り出しマリアとアドレス交換をしたのだ。
『じゃあまたね、スクアーロとルッスーリア』
「は~い、またねマリアちゃん」
「迷子になるんじゃねぇーぞ」
『ならないわよ!アホスクアーロ!!!』
そう叫びながら、マリアはトレーを返却し、カフェを後にした。
「それにしてもスクアーロ」
マリアの去ったテラス席で、ルッスーリアはスクアーロに声をかけた。
注文した具沢山のサンドイッチは全て食べ終え、残るはアイスコーヒーがコップの半分くらい残っている。
カランと氷が音を立て、コップの中で上下に揺れ動く。
「あ゙ぁ゙、何だ?」
「スクアーロってマリアちゃんの事好きよね」
「なっ…?!」
ルッスーリアの言葉に、スクアーロは顔を赤くしながらガタリと立ち上がる。
見る見るうちに頬が赤くなるのを見れば、ルッスーリアが察した通りの反応をするのでニヤニヤと笑みを浮かべながらスクアーロを見る。
「ゔお゙ぉい!!何でそのことを…」
自分らのボスであるXANXUSに出会い、彼の“怒り”に惚れ着いていく事を決めたスクアーロ。
願掛けのように伸ばされている銀色の髪も、もう随分長くなっている。
XANXUSと出会って彼以外の人間は眼中にないものとばかり思っていたが…実際には違うらしい。
思春期の子供のような反応をするスクアーロに、ルッスーリアはある意味で安心した。
「ふふ、乙女の勘よ」
「ゔお゙ぉい!!何処が乙女だぁぁあああ!!!」
はぁっと息を付き、スクアーロはルッスーリアを見る。
気付かれてしまっては仕方がないと思ったのだろう。
観念したかのように、スクアーロは呟く。
「…ルッスーリア分かってると思うがな…」
「言わないわよ」
ルッスーリアはそう言い、残っていたアイスコーヒーを飲み干した。
人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえと言う慣用句がある位だ。
邪魔するつもりはないが気にかけるくらいなら許されるだろうと思いながらコップをトレーの上に戻し「行きましょうか」と任務に戻るのだった。
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