不器用な恋
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※【スクアーロside】
「あぁ…了解だ」
そう言いながらカフェから少し離れた樹に寄り掛かっていたスクアーロは通話を切り、大きな溜息を付いた。
今スクアーロ達が引き受けている任務の進捗についての電話だったが、やはり進捗具合は著しくない。
ボンゴレ九代目からの直々の任務であるが…まさかここまで難航するとはスクアーロ自体思ってもみなかった。
単なる人探しだ、探し人は通り名ではあるが名も知れたただの科学者だ。
だが全く見つからず手がかりと言えば、二十年以上昔から言われている事ただそれだけだった。
透き通るような肌に白青色の長い髪、月を思い浮かばせるような金色の瞳。
まるで女性のような容姿でありながら、性別は男性。
月の女神にあやかり、ルーナ・ブルと言う通り名。
何処に住んでいてどこのマフィアと取引があるのかは全く分からない。
上記に述べたこと以外全てが謎に包まれている探し人に、スクアーロは再びため息を溢した。
「ゔお゙ぉい…本当にルーナ・ブルなんて人物が存在するのか…?」
これだけ探しても見つからず、ヴァリアー幹部の大半がこの任務に駆り出されている。
人間業では到底クリアできないような任務をいかなる状況でも完璧に遂行する…それがボンゴレ最強と謳われる独立暗殺部隊ヴァリアーだ。
そんじゃそこらの暗殺部隊とは格が違う。
だがこれほどまでに探すのに骨が折れるとはスクアーロ自身思わなかった。
頭をガシガシと掻き、また食事が終われば人探しの任務に戻らねばならない憂鬱にスクアーロは何度目か分からない溜息を付く。
(にしても…偶然とはいえマリアの奴が日本に居るとはなぁ…)
現実逃避するかのように、先程まで一緒に食事をしていたマリアの事を思い出し、スクアーロは久々の再会にほんの少しだけ頬が緩む。
普段見慣れないマリアの格好に、スクアーロ自身似合っているとすら思った。
シンプルで動きやすそうな服装に必ずと言っていいほど白衣を纏っているマリア。
それが今日に限っては全く正反対の服装だ。
物珍しく似合っている、可愛いと言葉を紡ぎたくなったがスクアーロはそれをしなかった。
服装には触れるなと言う圧を感じたため、その言葉は自身の胸の内に隠すしかない。
マリアとはマフィアと繋がりがある子供が集められた学校で出会った、いわば同級生だ。
学生時代のマリアを思い出せば、確かに普通の一般校に通うのは難しいだろうと納得する。
成績は確かに優秀だが、それは勉学においてのみだ。
実技や身体を動かすと言った科目には一切参加せず、見かねた教師がマリアに参加するようにと言えばマリアは教師相手に『この問題が解けたら参加してあげるわよ』と上から目線でものを言い問題を突きつけた。
無論教師は問題を解こうとするが全く分からず、卒業までその問題は解けずに頭を悩ませていた。
また学生時代から何やら怪しげな薬を作ってはよく、ディーノと共にマリアの薬の実験台…もとい実験の餌食になっていた。
否、ディーノとスクアーロだけではない。
時には他の生徒…先輩後輩同級生問わず、教師ですら実験台として扱いある意味マリアは学校内で恐れられていた。
(今思い返してもとんでもねぇーガキだな)
大人顔負けの知識量が故に、教師ですら実験台にする。
だからこそある意味で問題児ではあったがスクアーロはそんなマリアの事が嫌いではなかった。
何度も実験台にされた経験があると言えど、憎む事も恨むこともない。
それは単に惚れた弱みだと言う理由も…スクアーロ自身よく理解している。
「あらぁ?こんな所に居たのスクアーロ」
「…ルッスーリアか」
ふと、声をかけられスクアーロは背後を見る。
そこには同じく暗殺部隊ヴァリアー幹部であるルッスーリアの姿がスクアーロの瞳に映った。
自分と同じく日本での任務に派遣されているルッスーリアだ。
先程まで自分と同じ任務をこなしていたのだろう、どこか疲れたような表情でルッスーリアは言葉を紡ぐ。
「珍しいわね~、スクアーロが笑ってるなんて。何かいい事でもあったのかしら?」
「うるせぇーぞ、ルッスーリア…そっちはどうだ?」
「もうお手上げよ~、何処探しても見つかりもしないし追加の手がかりすらないんだもの」
お手上げと言わんばかりに両手を広げ、ルッスーリアも溜息を付く。
日本に来るまでにいくつかの国を周ってきたがそれでも見つからないのだ。
手掛かりになる情報も増える事なく、最初から知りえている物以外には何一つ見つからない。
スクアーロ同様にルッスーリアも「本当に実在する人物なの?」と疑念の一つや二つ抱きたくなる。
「こっちも似たようなもんだ…」
「やっぱり?はぁ…何で九代目もこんな任務出したのかしら?」
「そいつは任務書に書かれているからだろーが…」
「分かってる、分かってるわよそんな事っ!でも、こんだけ探して見つからないのよ?本当にこの任務書信じて良いのって思うじゃない」
ルッスーリアの言葉に、スクアーロも少なからずそう思っていた。
だがどれだけ疑念や疑問を抱こうと、スクアーロ達はどうする事も出来ないのだ。
与えられた任務をこなす、ただそれだけだ。
「はぁ…まぁいいわ…お腹空いちゃったし、わたしもご飯にしましょう」
気を取り直すかのようにルッスーリアは両手を重ね目の前のカフェを見る。
その瞬間、スクアーロは嫌な予感がするがそれよりも先にルッスーリアが言葉を放つ。
「スクアーロも食べてる最中よね?相席でいいかしら?」
「ゔお゙ぉい!!!ちょっと待てルッスーリア!!!!勝手に話を進めるんじゃねーぞ!!!」
「あらいいじゃない?何か問題でもあるの?」
「うっ…それは…」
その問いに、スクアーロは言葉を噤む。
問題があるかと問われれば大なり小なり問題はある。
スクアーロと相席と言うのはとどのつまり、ルッスーリアを知らないマリアとも相席になると言うわけだ。
お互い面識がない上にルッスーリアの性格上あれこれとマリアを質問攻めする事位は安易に想像できる。
だが変に反論すればするほど墓穴を掘る予感しかしなかったので、スクアーロは考えるのを諦め「分かった…」と仕方なく呟くのだった。
2024/09/09
「あぁ…了解だ」
そう言いながらカフェから少し離れた樹に寄り掛かっていたスクアーロは通話を切り、大きな溜息を付いた。
今スクアーロ達が引き受けている任務の進捗についての電話だったが、やはり進捗具合は著しくない。
ボンゴレ九代目からの直々の任務であるが…まさかここまで難航するとはスクアーロ自体思ってもみなかった。
単なる人探しだ、探し人は通り名ではあるが名も知れたただの科学者だ。
だが全く見つからず手がかりと言えば、二十年以上昔から言われている事ただそれだけだった。
透き通るような肌に白青色の長い髪、月を思い浮かばせるような金色の瞳。
まるで女性のような容姿でありながら、性別は男性。
月の女神にあやかり、ルーナ・ブルと言う通り名。
何処に住んでいてどこのマフィアと取引があるのかは全く分からない。
上記に述べたこと以外全てが謎に包まれている探し人に、スクアーロは再びため息を溢した。
「ゔお゙ぉい…本当にルーナ・ブルなんて人物が存在するのか…?」
これだけ探しても見つからず、ヴァリアー幹部の大半がこの任務に駆り出されている。
人間業では到底クリアできないような任務をいかなる状況でも完璧に遂行する…それがボンゴレ最強と謳われる独立暗殺部隊ヴァリアーだ。
そんじゃそこらの暗殺部隊とは格が違う。
だがこれほどまでに探すのに骨が折れるとはスクアーロ自身思わなかった。
頭をガシガシと掻き、また食事が終われば人探しの任務に戻らねばならない憂鬱にスクアーロは何度目か分からない溜息を付く。
(にしても…偶然とはいえマリアの奴が日本に居るとはなぁ…)
現実逃避するかのように、先程まで一緒に食事をしていたマリアの事を思い出し、スクアーロは久々の再会にほんの少しだけ頬が緩む。
普段見慣れないマリアの格好に、スクアーロ自身似合っているとすら思った。
シンプルで動きやすそうな服装に必ずと言っていいほど白衣を纏っているマリア。
それが今日に限っては全く正反対の服装だ。
物珍しく似合っている、可愛いと言葉を紡ぎたくなったがスクアーロはそれをしなかった。
服装には触れるなと言う圧を感じたため、その言葉は自身の胸の内に隠すしかない。
マリアとはマフィアと繋がりがある子供が集められた学校で出会った、いわば同級生だ。
学生時代のマリアを思い出せば、確かに普通の一般校に通うのは難しいだろうと納得する。
成績は確かに優秀だが、それは勉学においてのみだ。
実技や身体を動かすと言った科目には一切参加せず、見かねた教師がマリアに参加するようにと言えばマリアは教師相手に『この問題が解けたら参加してあげるわよ』と上から目線でものを言い問題を突きつけた。
無論教師は問題を解こうとするが全く分からず、卒業までその問題は解けずに頭を悩ませていた。
また学生時代から何やら怪しげな薬を作ってはよく、ディーノと共にマリアの薬の実験台…もとい実験の餌食になっていた。
否、ディーノとスクアーロだけではない。
時には他の生徒…先輩後輩同級生問わず、教師ですら実験台として扱いある意味マリアは学校内で恐れられていた。
(今思い返してもとんでもねぇーガキだな)
大人顔負けの知識量が故に、教師ですら実験台にする。
だからこそある意味で問題児ではあったがスクアーロはそんなマリアの事が嫌いではなかった。
何度も実験台にされた経験があると言えど、憎む事も恨むこともない。
それは単に惚れた弱みだと言う理由も…スクアーロ自身よく理解している。
「あらぁ?こんな所に居たのスクアーロ」
「…ルッスーリアか」
ふと、声をかけられスクアーロは背後を見る。
そこには同じく暗殺部隊ヴァリアー幹部であるルッスーリアの姿がスクアーロの瞳に映った。
自分と同じく日本での任務に派遣されているルッスーリアだ。
先程まで自分と同じ任務をこなしていたのだろう、どこか疲れたような表情でルッスーリアは言葉を紡ぐ。
「珍しいわね~、スクアーロが笑ってるなんて。何かいい事でもあったのかしら?」
「うるせぇーぞ、ルッスーリア…そっちはどうだ?」
「もうお手上げよ~、何処探しても見つかりもしないし追加の手がかりすらないんだもの」
お手上げと言わんばかりに両手を広げ、ルッスーリアも溜息を付く。
日本に来るまでにいくつかの国を周ってきたがそれでも見つからないのだ。
手掛かりになる情報も増える事なく、最初から知りえている物以外には何一つ見つからない。
スクアーロ同様にルッスーリアも「本当に実在する人物なの?」と疑念の一つや二つ抱きたくなる。
「こっちも似たようなもんだ…」
「やっぱり?はぁ…何で九代目もこんな任務出したのかしら?」
「そいつは任務書に書かれているからだろーが…」
「分かってる、分かってるわよそんな事っ!でも、こんだけ探して見つからないのよ?本当にこの任務書信じて良いのって思うじゃない」
ルッスーリアの言葉に、スクアーロも少なからずそう思っていた。
だがどれだけ疑念や疑問を抱こうと、スクアーロ達はどうする事も出来ないのだ。
与えられた任務をこなす、ただそれだけだ。
「はぁ…まぁいいわ…お腹空いちゃったし、わたしもご飯にしましょう」
気を取り直すかのようにルッスーリアは両手を重ね目の前のカフェを見る。
その瞬間、スクアーロは嫌な予感がするがそれよりも先にルッスーリアが言葉を放つ。
「スクアーロも食べてる最中よね?相席でいいかしら?」
「ゔお゙ぉい!!!ちょっと待てルッスーリア!!!!勝手に話を進めるんじゃねーぞ!!!」
「あらいいじゃない?何か問題でもあるの?」
「うっ…それは…」
その問いに、スクアーロは言葉を噤む。
問題があるかと問われれば大なり小なり問題はある。
スクアーロと相席と言うのはとどのつまり、ルッスーリアを知らないマリアとも相席になると言うわけだ。
お互い面識がない上にルッスーリアの性格上あれこれとマリアを質問攻めする事位は安易に想像できる。
だが変に反論すればするほど墓穴を掘る予感しかしなかったので、スクアーロは考えるのを諦め「分かった…」と仕方なく呟くのだった。
2024/09/09
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